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ロシアへのリトアニアの禁制品禁輸措置-カリーニングラードEU欧州連合のロシア制裁が引き起こす次の緊張

2022-06-22 07:01:49 | 国際・政治
■臨時情報-バルト海情勢
 核兵器禁止条約初の締約国会議がウィーンにて開幕されましたのと同じころ、ロシアバルチック艦隊司令部の置かれるカリーニングラードを中心に危機が醸成されている。

 ロシア軍ウクライナ侵攻に伴うEU欧州連合の制裁措置が、ウクライナに撃づいてロシア軍が侵攻する蓋然性が高いとされた地域に緊張を増大させています。ロシア大統領府のぺスコフ報道官は6月20日の記者会見において、ロシア飛び地であるカリーニングラードへ向かう貨物列車の一部を路線が通るリトアニアが通過拒否した問題を強く批判しました。

 リトアニア政府は6月18日現地時間0000時を以て、EU欧州連合禁制品を積載した貨物列車のカリーニングラード搬入を認めないとの通知をロシア政府へ行いました。注意すべき点は旅客列車の運行は維持されている点ですが、EU禁止している物資には建築資材やセメントが含まれ、貨物列車手続き等煩雑化します。ただ、海上航路は封鎖されていません。

 ぺスコフ報道官はリトアニア政府の貨物列車によるEU禁制品輸送禁止を受け、リトアニア国民に痛みを与える報復措置を行うと警告しました。これに対し、リトアニアのシモニテ首相は、カリーニングラードを封鎖している訳ではないと反論し全ての国際条約に違反している国からリトアニアが条約に違反したと非難を受けるとは皮肉だ、と発言しました。

 ロシア政府のリトアニアによる貨物列車制限を受けての事実上の報復措置検討ですが、重大な意味があります、それはリトアニアは元々、NATOがロシア軍侵攻の蓋然性が高い地域として、カリーニングラードとロシアの衛星国であるベラルーシに挟まれた地域にあり、その幅は100km、スヴァルキギャップとしてロシア軍の動向を警戒している地域です。

 カリーニングラードにはロシア第二の都市であるサンクトペテルブルクがあり、この都市の人口だけで540万、そしてロシアはNATOに囲まれている訳ではありませんが、カリーニングラードについては、バルト三国とポーランドのNATO加盟により囲まれているという状況にあり、ここにロシア軍が侵攻した場合は駐留NATO軍との戦闘開始を意味します。

 リトアニアによるカリーニングラードへのEU近世物資輸送禁止経済制裁ですが、ロシアが過剰反応を起こす懸念があります、それは二つの歴史によるもの。先ず一つはカリーニングラードにあるロシア第二の都市サンクトペテルブルクが、プーチン大統領の出生地である事、指導者の出生地は第二次大戦中のスターリングラードのような政治問題となる。

 サンクトペテルブルクはもう一つ、第二次大戦中のレニングラード包囲という苦い経験があります、繰り返しますがリトアニアは今回封鎖はしていません、しかし、第二次大戦中にレニングラードがドイツ軍に包囲され数十万の餓死者を出したという歴史があり、EU制裁にて過去の歴史を抉られる事で過剰反応を招く可能性がある、こうした認識も必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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4 コメント

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おねがい (Unknown)
2022-06-22 11:09:58
「カリーニングラード(旧 東プロイセン域内のケーニヒスブルク市) にある サンクトペテルブルク(市)」とは??
もう少し整理して記述(読み直しもね)してくださいませ。
返信する
お恥ずかしい (はるな)
2022-06-22 23:44:56
ラドガ湖畔と素で勘違いしていました

ご指摘感謝
返信する
Unknown (Unknown)
2022-06-23 10:56:40
霞ヶ関と霞ヶ浦を間違えたアノニマス並に恥ずかしい
返信する
お恥ずかしい (はるな)
2022-06-23 23:49:08
その通りです、返す言葉もございません

今後もお気付きの点、お知らせの形でお力添え頂ければ、と、よろしくおねがいします

みなさまが頼りです
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