北大路機関

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ロシア軍ダーティーボム核汚染爆弾使用懸念のウクライナ情勢と福島第一原発事故教訓生かせぬ無防備大国日本

2022-10-27 07:01:44 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 核汚染爆弾ダーティボムが使用される懸念に対し原発事故を経験した日本が除染装備等何かできない後考えた際、日本は次の原発事故さえまったく無防備のままと気付かされました。

 ロシア軍によるウクライナでのダーティボム使用の懸念、こうしたものが高まる中、仮に使用された場合に対処できる除染装備などをウクライナへ供与すべきと、考えたのですが、日本は2011年にあれだけの原発事故を経験していながら、まったく除染装備などが増えていないということに、改めて嘆息と危機感と、そしてもちろん安全保障上懸念を感じます。

 福島第一原発事故、除染は未だに機関困難区域があるのですが、除染は放射性降下物が付着したあと、短時間であればあるほど容易です。それは短時間ならば洗い流せる、放射性物質には水溶性のストロンチウムなど、染み込むものや土壌やコンクリートなどに吸着するなど、付着から時間が経つとともに流すから削り取り除去、時間と共に困難が増すのだ。

 原発事故後、例えば放射性物質が降下している最中であれば、スプリンクラーなどにより建築物に付着することを回避できます、そのまま降下物は流れ出てしまいますが、一カ所に凝集しない限り年間線量許容値をこえるリスクは低く、大量の水で付着を防ぐ方式は例えば海上自衛隊の護衛艦などにも放射能除去装置として採用されている一つの王道と云う。

 日本の除染は、原発敷地内の原子炉冷却作業などに必要な場合をのぞけば空間線量が十分低下したあとで、高圧放水装置による除去と建設機械による汚染土壌除去、という方式で用いられています、故に高線量地域での除染活動を行う能力は、自衛隊の化学科部隊と一部の施設科部隊しか有していないのが現状です。その規模は限られ、また、民間には無い。

 NBC防護能力を有する車両が十分あれば、万一使用された場合に備えウクライナへ供与することも可能なのかもしれません、核汚染から人命を守る装備を、まさか日本の平和団体であっても批判しないでしょう、批判するならばそれは、ウクライナ人はロシアに絶滅されるべき、という差別的な団体が平和団体を自称しているにすぎません。ただ、問題が。

 師団に2000年代までは一個小隊、化学防護小隊があっただけでしたが、現在は特殊武器防護隊という中隊規模の部隊へ強化は為されています。ただ、これとても核攻撃や化学兵器などによる攻撃を受けた際の部隊防護と装備除染などが行える程度でしかなく、もし日本の市街地がダーティボムにより攻撃を受けた場合は、想定されていないという現実がある。

 これは自衛隊の本来任務に核攻撃からの民間防衛が含まれていないためなのですが、そうした場合、国民保護法の観点から地方自治体が責務を負うこととなります。汚染された地域、線量が十分さがるまで帰還困難区域に指定し避難指示を行うくらい、原発事故と異なりその費用や補償金を交戦国から得る方法が非常に限られ、自ら除染するほかありません。

 原発事故さえ、次の原発事故を起こさないことに注力しているだけで、電力会社にはNBC防護能力のある車両や遠隔操作式の建機など、放射性降下物の汚染状況下で行動できる装備が充分、というよりも試験用の若干数さえありません、結局日本は、福島第一原発事故を受けて、補償金というお金で解決する手段以外、学ばなかったというのが残念ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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