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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊多用途攻撃用UAVはMQ-9リーパー無人攻撃機か?来年度予算概算要求公示前報道

2024-08-18 07:00:48 | 先端軍事テクノロジー
■AH-1S/AH-64D後継
 MQ-9の写真を撮影に行かなければなあと思いつつ近場で運用されておらずにこうした話題の際には困る次第で。

 陸上自衛隊が導入する多用途攻撃用UAVについて、来年度予算概算要求に盛り込まれる可能性を関係者が示しているとの報道がいくつか出てきました。多用途攻撃用UAVについて、防衛省がイメージ図として公開したをみるかぎり、この導入を計画している機種はアメリカのゼネラルアトミクス社製MQ-9リーパー無人攻撃機を想定しているとみられます。

 AH-1S対戦車ヘリコプターとAH-64D戦闘ヘリコプターの後継機となる多用途攻撃用UAV、AH-1S対戦車ヘリコプターの減勢が続く中で一刻も早い無人機の導入が望まれていましたが、MQ-9Bシーガーディアンについては海上保安庁と海上自衛隊が試験運用を開始しています。この運用実績を陸上自衛隊がどの程度、情報に接しているかは不明ですが。

 MQ-9リーパーは滞空時間が14時間から28時間と長く、巡航速度は313km/hと戦闘ヘリコプターを大幅に上回ります、けれどもCOIN機のような固定翼航空機と同じ様にMQ-9の運用には滑走路が必要となっていて、野戦飛行場において運用される対戦車ヘリコプターとは運用特性が異なり、また匍匐飛行など経空脅威状況下での運用能力はありません。

 しかし、行動半径は、九州を拠点とした場合、中国大陸内陸部まで進出が可能というほどに大きく、これは陸上自衛隊が今後整備を進める反撃能力、射程2000km規模の地対地ミサイルの運用を考えた場合、先ず目標に関する情報を得る場合、情報収集衛星のような手段以外、自衛隊には独自の情報を得る手段が無く、MQ-9はこの点を覆す可能性もあります。

 一方、MQ-9は、島嶼部防衛を考えた場合では、中国海軍は射程100km以上の艦対空ミサイルを標準装備した広域防空艦を多数運用しており、匍匐飛行も行わず高高度を戦闘機などと比べれば低速で飛行し、ステルス性も持たない航空機が、有事の際に多数の戦闘機と防空艦のさなかを、どの程度運用できるのか、という疑問符が生まれないでもありません。

 陸上自衛隊は無人航空機の運用では、標的機を改造した無人偵察機については比較的早い時代から運用していましたが、普及の度合いという事を考えますとまだまだ端緒というところであり、果たして、AH-1Sの後継機として充分な能力を発揮出来るまでどの程度時間を要するのか、果たして可能であるのかも未知数ですが先ずは最初の一歩、となる訳です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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