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ひゅうが&いせ掃海隊群移管可能性(5)F-35B艦上運用巡る護衛艦ひゅうが型いずも型の比較

2019-04-09 20:08:16 | 防衛・安全保障
■F-35B運用は可能であるはず
 ひゅうが型護衛艦でもF-35B運用は可能であるはずなのですが、最大限の能力を発揮出来ないとして難ありの評価があります。ここが掃海隊群移管可能性の論拠でもある。

 ひゅうが型護衛艦の掃海隊群移管可能性、掃海隊群の機雷戦と水陸両用作戦という二大任務を軸に、機雷戦へはMCH-101掃海輸送ヘリコプター、水陸両用作戦へはAH-64D戦闘ヘリコプターにCH-47J輸送ヘリコプター等、ひゅうが型という全通飛行甲板型護衛艦が有する航空機運用能力の高さが如何に寄与するか、という視点を此処まで強調しました。

 30FFM、掃海隊群へ将来的に22隻が配備されるという新しい3900t型護衛艦と共に今後急速に第二の護衛艦隊へ発展してゆく掃海隊群について、特に平成31年度/令和元年度新防衛大綱では掃海隊群が二個隊群化される点から、その旗艦となる二隻の艦艇が必要となり、当面は掃海母艦うらが型が、としたうえで護衛艦ひゅうが型も二隻である点も重要です。

 F-35B,ひゅうが型護衛艦が掃海隊群へ移管される可能性を着眼した背景の一つに、この満載排水量19000tの護衛艦を母艦として運用する検証があまり為されず、能力的に不充分である、という結果のみを示された事で海上自衛隊にはF-35Bを運用する母艦として、満載排水量27000tの護衛艦いずも2隻のみに注視している事への不自然さも根拠の一つです。

 F-35B,最大限の燃料と兵装を搭載した場合には、ひゅうが型の全長198mという甲板では十分な運用を行う事は出来ない、これが現段階での研究結果となっていますが、もともとF-35Bは第五世代戦闘機として、また統合打撃戦闘機として非常に大きな兵装搭載能力があり、政府が説明するような局地防空任務に充てるならばF-35Bはそれ程重くなりません。

 ひゅうが型でも、F-35Bは軽量装備であれば垂直離陸さえ可能な航空機なのですから30ノットという高い速力を有する護衛艦、ワスプ級強襲揚陸艦やアメリカ級強襲揚陸艦の速力は22ノット、この高い速度を発揮するならば、F-35Bは無風状態で艦上に停止している状況でも30ノット合成風を受けられ、100m程度の短距離滑走でも一定装備を積めましょう。

 42機のF-35Bを航空自衛隊は導入します。いずも型護衛艦の搭載能力ですが、概ね18機程度は余裕を以て搭載できる事は考えられます。ただ、アメリカ海軍空母航空団の飛行隊定数は10機、妙な表現ですが、いずも型に搭載するだけですべての艦載機を使い切る、という可能性も、また低いのですよね。なによりも護衛艦には稼働率というものがあります。

 整備補給や定期整備は護衛艦にとり不可欠です、このため海上自衛隊は、ひゅうが、いせ、いずも、かが、四隻のヘリコプター搭載護衛艦を運用していますが四隻が同時に稼動状態で一度に揃う事は非常に稀有であり、記憶する限り先代の、はるな、ひえい、しらね、くらま四隻が揃った事も1998年の呉基地護衛艦隊集合訓練くらいではなかったでしょうか。

 42機のF-35Bを取得する計画ですが、ひゅうが型を意図的に外したような決定は、ひゅうが型に新任務がある、という印象を強調するようでもあります。そして前述の通り、強襲揚陸艦やコマンドー空母としての能力も、掃海母艦としての能力も護衛艦部隊の航空中枢艦や指揮中枢艦としての能力も、更にはFCS-3搭載で僚艦防空能力さえ、有しています。

 F-35B母艦の必要性は、現在護衛艦隊を構成する護衛隊群は四個護衛隊群体制、四隻です。しかし強調される、ひゅうが型のF-35B運用への限界、言い換えれば、現在第二護衛隊群と第三護衛隊群へ配備の、ひゅうが型に代えて、充分な大きさ、いずも型かその改良型を更に建造し、その上で、ひゅうが型掃海隊群移管、とはありえるのではないでしょうか。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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4 コメント

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Unknown (ねこまんま)
2019-04-09 23:37:10
30FFM関連の研究で、船首と船尾をFRPで、中央はステンレス船体を作ってました。 研究目的はステルスですが、船体の一部を軽い資材で作れるなら、従来より大きな船が作れないかと?

なので、30FFMの機雷戦い向け船体は、大型ヘリを搭載するために、ひと昔前のDDH風になるといいな。
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Unknown (ながと)
2019-07-11 20:57:41
いずも型を1隻増産し、いずも型3隻、ひゅうが型2隻体制を構築。F-35Bはいずも型へ搭載。戦闘機を搭載する軽空母は最低3隻は必要なため。新造する3500トン型護衛艦22隻のうち7隻を護衛隊群へ、第5護衛隊群を編成。この機動部隊でシーレーンを防衛。
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DDH (はるな)
2019-07-12 23:57:01
ねこまんま 様 こんばんは

30FFMの疑問符の一つなのですが、水上戦闘艦に機雷戦を担わせるオーガニック方式、これ、水上戦闘に加えて機雷戦の訓練を行う必要があり、乗員の構成がどうなるのかな、と
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4個護衛隊群と2個水雷隊群 (はるな)
2019-07-13 00:01:52
ながと 様 こんばんは

掃海隊群は30FFMの配備で2個群体制となりますので、その上で護衛艦隊を増強する余裕はないと考えます。ただ、掃海隊群が仮称で2個水雷隊群となりますと、かなり強力になるようにも

その上で、ひゅうが型移管の可能性を示唆したのは、固定翼機の運用に限界ある護衛艦ひゅうが型を水雷隊群に移行させ、その上で固定翼機を充分に運用できる新しい護衛艦が二隻建造、という可能性を考えているのがこの特集です
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