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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛技術シンポジウム2014 将来戦闘機への展望、航空装備研究所開発官大いに語る

2014-11-13 23:41:15 | 先端軍事テクノロジー

◆早ければ2040年代に第一線配備!

 防衛省技術研究本部主催の防衛技術シンポジウム2014が昨日まで二日間にわたり行われました。

Timg_8502 当方は始発新幹線にて二日目の将来戦闘機セッション傍聴へ。技術研究本部では自衛隊の将来航空戦闘を想定し、その研究に依拠した将来戦闘機を提案、航空自衛隊が将来的に導入を求めるF-2支援戦闘機後継機が具体的に要求された際に対応できるよう各種先端技術を蓄積しています。

Timg_8504 防衛技術シンポジウムでは既にT-4練習機用として500基以上が生産されたF3エンジンをもとにアフターバーナー及び2次元推力偏向ノズルを搭載した試験映像を紹介し、3次元推力偏向ノズルを搭載する 技術実証エンジンの展望を発表しました。将来戦闘機へは、プロトタイプエンジンを平成30年に運転開始を目指し、そののちのステップを踏んだのち将来戦闘機へ応用される、概ね将来戦闘機試作機は早くて2030年代、第一線配備は2040年代、という印象ですね。

Timg_8500  将来戦闘機はステルス性を考慮しレーダー覆域角度やステルス性を前方か側方双方か、航続距離や戦闘行動半径等をどの程度維持すれば将来脅威に対して優位を獲得できるか、というシュミュレーションを繰り返し、航空自衛隊が求めるであろう将来戦闘機要求水準を見極める、自衛隊への提示を目指しているとのことで、このあたりは防衛省の機関としての技術研究本部の位置づけがわかる。

Timg_8497 XF-5エンジンは空虚重量0.64tで推力5t、推力重量比8を実現していますが、分かりにくいのは2008年に完成したF-35用のF-135エンジンは空虚重量1.7tに対し推力18t、2015年に初飛行を迎えるATD-X先進技術実証機に搭載されるXF-5、実用戦闘機用エンジンとして他の有力機種と比較しどの位置にあり、どの水準を目指しているか、ということ。

Timg_8509 防衛技術シンポジウムでは航続距離の延伸が戦闘空域への滞空時間延伸への利点として位置づけられ、航空自衛隊の将来戦闘機は航続距離の大きな機種が想定されているという点、データリンクネットワークを更に向上させ部隊単位で協同するクラウドシューティング運用を技術研究本部が各種シュミュレーションに依拠し戦闘機へ盛り込むことを想定している、など示されました。

Timg_8507   シンポジウムで発表された内容は高推力とエンジン小型化を両立しエンジン直径を抑える次世代ハイパワースリムエンジンを実現させ、ステルス性の向上を図る、この為にエンジンより生じる高熱に耐える新素材研究の推進や、ステルス性に考慮しエアインテイク形状など空気供給体系の改良により均一な吸気がエンジンへ供給されない現象への排気形状工夫による対処、ステルス性を左右するウェポンベイ開閉時間低減や発射時の影響計算など。

Timg_8508  小型高推力エンジンは、結果的に航空機を小型化できるものの、新素材開発の点で触れられたように高熱を排出するため放出赤外線量増大はIRST等で探知されやすくなると共に、騒音増大を招くため有事の際に発進を暴露しやすく、対レーダーステルス以外の側面からのアプローチも必要なのかな、と思いつつ、これら技術は既存戦闘機の改修により試験されてゆく、とのことでした。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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