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【防衛情報】US-2救難飛行艇関心寄せる米空軍とアイアンドームグアム展開,洋上のAH-1Z

2022-02-21 20:01:44 | 国際・政治
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はアメリカ軍の太平洋島嶼部での防衛力整備に関する話題を。US-2救難飛行艇は新明和工業が製造維持に苦心していますがアメリカ採用の可能性はあるのでしょうか。

 アメリカ空軍特殊作戦軍団副司令官のエリックヒル少将が岩国航空基地のUS-2救難飛行艇部隊を訪問しました。アメリカ空軍では特殊作戦航空機として飛行艇の有用性を認識しており、日本の新明和工業が生産するUS-2飛行艇に関心を寄せているとのこと。世界には飛行艇や水上航空機はありますが外洋波浪下で運用可能な機種はUS-2を含め僅かです。

 US-2飛行艇に関心を寄せるアメリカ空軍は今年、MC-130J特殊戦輸送機にフロートを装着し水上機化する計画を発表、来年2022年にも試作機を完成させるとしていますが、この開発に際して同盟国からの知見を学び、必要であれば新型機が完成するまでの間に暫定的な既存航空機導入も視野に入れているが、結論を出すには時期尚早、と付け加えています。

 MC-130J特殊戦輸送機水上型については、フロートの装着により海上に発着は可能となるものの、フロートの存在によりカーゴハッチ使用に大きな課題が突き付けられる。そしてフロートの強度から湾内に発着は出来ても外洋上や外洋に面した港湾での運用は厳しい、アメリカ空軍がこの観点からUS-2をどのように評価しているのか、興味は尽きません。
■グアムへアイアンドーム
 島嶼部防衛と云う以前い作戦拠点となる戦略拠点を攻撃から守る段階から着手せねばならないという。

 アメリカ陸軍はアイアンドームミサイル防衛システムをグアムへ展開させました。これは10月19日に実施された機動展開訓練の一環であり、テキサス州フォートブリス基地からグアムへ海上輸送されました。この際に特筆すべきは開発国イスラエルでは固定運用されれていますアイアンドームをオシコシュ製の大型輸送車両に車載化して運用しています。

 アメリカ陸軍ではMk15-CIWSバルカンファランクスを転用したC-RAM-LPWSミサイル防衛システムを採用しています、これは2021年にもアメリカ軍のアフガニスタン撤退作戦においてアフガニスタン国際空港に向け発射されたロケット弾迎撃に威力を発揮していますが、高性能機関砲であるC-RAM-LPWSよりもアイアンドームの同時対処能力は高い。

 アイアンドームミサイル防衛システムはロケット弾や砲弾の同時多数による攻撃を迎撃するミサイルシステムです。グアムに配備の場合も落下速度の速い中国からの弾道ミサイルに対しては、アイアンドームは全く迎撃が出来ません。しかし、巡航ミサイルやドローン攻撃に対しては高い防空能力が期待でき、この実証も展開訓練に含まれていたのでしょう。
■フォートローダーデール
 輸送艦の設計を考えず装備体系は変革してしまいますから頭痛の種でしょうか。

 アメリカ海軍が発注した輸送揚陸艦フォートローダーデールが公試を開始しました。フォートローダーデールはサンアントニオ級輸送揚陸艦の12番艦であり、建造費は15億ドル、満載排水量は25883tで全長は208.5 mであり、ハンチントンインガルスインダストリアル社のインガルス造船所にて建造されていまして、同型艦は最終的に26隻が建造される。

 サンアントニオ級輸送揚陸艦はARG両用即応群では強襲揚陸艦とドック型揚陸艦を補完するべく輸送能力を重視し、ウェルドックにはエアクッション揚陸艇2隻かAAV-7両用強襲車14両を収容、艦内には3層に2323平方米の車両甲板を有しM-1A2主力戦車等を搭載可能としている他、上部構造物には格納庫を有しMV-22可動翼機2機を収容可能である。

 アメリカ海軍の揚陸艦であるが、従来通りの能力構築と作戦部隊の能力維持を進める一方、揚陸艦に依存するアメリカ海兵隊はM-1戦車の全廃と地対艦ミサイルの新規取得、島嶼部作戦を念頭とした海兵沿岸連隊への既存部隊改編を急いでいる。ただ、従来の小さく硬く重い装備から軽いが嵩張る装備への転換へ、海軍の揚陸艦能力にも変革を迫られている。
■JAGMミサイル海上射撃試験
 自衛隊もそろそろAH-1S後継機を真剣に考えなければ次の導入した際の教育訓練費用が莫大な規模となってしまいます、冗談ではないのです。

 アメリカ海兵隊はAH-1Z攻撃ヘリコプターからの海上目標へのJAGM統合空対地ミサイル発射試験を成功させました。これは11月よりフロリダ州のエグリン空軍基地を拠点として実施された試験で、実験はフロリダ州沖のミサイル実験海域、レーザー誘導装置とレーダー誘導方式により、最大7km離れた海上目標に対してミサイルを命中させています。

 JAGM統合空対地ミサイルとして開発されているAGM-179ミサイルは既存のAGM-65マーベリック空対空ミサイル、BGM-71-TOW対戦車ミサイル、そしてAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルを一種類のミサイルにより置換える野心的なミサイルで、既存のAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルシーカー部分を応用し手堅く開発されています。

 AH-1Z攻撃ヘリコプターでの運用は既にユマミサイル試験場にて実証されていますが、海上目標への試験は今回が最初となり、海上目標は移動目標も含め試験は成功裏に終わったとの事です。AGM-179- JAGM統合空対地ミサイルは陸軍のAH-64E戦闘ヘリコプターについては既に初度作戦能力を獲得しており、AH-1Zも2022年内に能力獲得する予定です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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