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衆議院総選挙二〇一七:平和安全法(安全保障関連法)視点に野党安全保障政策政権公約を問う

2017-10-02 20:17:47 | 国際・政治
■与野党に問いたい安全保障観
 憲法改正が自民党政権公約重点項目に初めて盛り込まれる事が岸田政務調査会長の記者会見により発表されました。

 平和安全法制所謂安全保障関連法、自衛隊法及び周辺事態法と船舶検査活動法加えて国連PKO協力法等の改正として成立した法律です。この法整備は在外邦人保護や米軍部隊防護への武器使用及び米軍物品役務提供、重要影響事態対処と存立危機事態対処、国際平和共同対処事態協力支援活動等を目的としており、2016年3月29日より施行されています。

 安全保障関連法へのどのような政策を以て対応するか、これは総選挙の大きな論点となり得ます。安全保障関連法については、戦争法案であるとして野党を中心に激しい反発がありましたが、法案は、アルジェリアガスプラント邦人襲撃テロ、PKO任務国連憲章七章措置化、ミサイル防衛任務、南西諸島緊張激化という切迫した情勢を背景に制定されました。

 国際テロに際しての邦人保護という視点からは、杞憂に終わりませんでした。フィリピンミンナダオ島ISIL浸透事案は先月に激戦の末漸くISIL拠点である市役所奪還に成功しフィリピン軍による掃討作戦へ移行していますが、テロ対策の視点からは安全保障関連法制定時に危惧された状況が顕在化し、中華民国台湾と並ぶ南の隣国へISILが浸透しています。

 テロの拡散について、昨日だけでフランスマルセイユ市内サンシャルル駅にて刃物テロが発生し死傷者が出ておりISILによる犯行声明が出された他、カナダ西部アルバータ州州都エドモントンにてISILの旗を掲げた外国人による自動車暴走テロが発生しました。ラスベガスでは無差別銃撃事件が発生し少なくとも50名が死亡し負傷者が200名以上でています。

 PKO任務国連憲章七章措置化という視点からは政府の決断により終了し撤収した南スーダン国連PKO活動UNMISSに際し、事実上の内戦状態が長期化すると共に激化し、自衛隊撤収後も悪化、UNMISSには新任務として文民保護任務が付与されると共に派遣各国は地域防護部隊派遣を開始、9月には情勢が更に悪化し国際赤十字の撤収が本格化しました。

 国連平和維持活動については、上掲の通り現在は安全保障理事会が国連憲章七章措置として決議を行い派遣されており、従来の六.五章措置ではなく国連軍派遣と同じ強制力圧決議を経て派遣されています。これは国連の主任務である国際の平和と安全に対し責任を持つとの意志の表れですが、PKOへ要員を派遣する為には集団的自衛権行使が前提となります。

 ミサイル防衛任務はミサイル情報の共有とミサイル防衛に当たるイージス艦等に対する防護任務が集団的自衛権行使に当る可能性があります。しかし、北朝鮮ミサイル実験は安全保障法整備後更に激化、北朝鮮は水爆実験に続き太平洋上の水爆実験強行を示唆、日本本土核攻撃という脅威が現実化しつつあり、ミサイル防衛は死活的重要性を有してきました。

 違憲の疑いがある、と主張するならば選択肢は、以下の通り。憲法改正を掲げ邦人保護やミサイル防衛やPKO参加が可能となるよう改憲か加憲を行う。憲法解釈を変える事で邦人保護やミサイル防衛やPKO参加が可能とする。自衛隊を大幅に増強し個別的自衛権のみでミサイル防衛に対応し邦人保護やPKO参加は国際孤立主義を執り放棄する、等があります。

 国会では、維新の党が対案として平和安全整備法案と国際平和協力支援法案及び領域警備法案を提出しています。また法整備後に当時の民主党が維新の党との協同提出として領域警備法案と周辺事態法改正案と国連平和維持活動協力法改正案を提出しています。全て否決されましたが、総選挙に際し、改めて安全保障政策を強化する政権公約は必要でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-10-03 11:08:21
政権獲得が現実味ない政党は何とでも言えるでしょうね、共産党とか社民党とか立憲民主党とか、責任を持つ予定も見込みも無いので責任を負う覚悟も気概もない、話し合えばなんとかなる、という無責任を責任といい誤魔化す

自分達が議場で野次以外仕事をしている実感がないので平気で定数削減を公約へ上げて身を切ったと自己陶酔、こうした歳費だけ空費する議場ニート、議場左寄り窓際議員は困ったものです

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