■F-15J後継機という視点から
F-2後継機にF-22&F-35,報道に沸く一方、1981年に宮崎の新田原から配備開始のF-15後継機を忘れていないか、と思う今日この頃です。
EA-18Gの自衛隊導入検討報道、中期防衛力整備計画や2018年内に画定する新防衛大綱に盛り込まれるかの段階であり、来年度概算要求にそのままEA-18Gが盛り込まれる可能性は低いのです。ただ、切迫した脅威が認められるのであれば、陸上自衛隊のMV-22可動翼機のように選定手順を省いて、いきなり新規導入という可能性もまた否定はできません。
EA-18Gを仮に導入するとして、課題は多いものです。まず第一に航空自衛隊はF/A-18Eを保有していません。原型機のF/A-18Aは過去に次期戦闘機として提案された事や、F-2開発の際に支援戦闘機の直輸入案としてF/A-18Cが比較検討された事はありますが、結局輸入していません。特にエンジンのGE社製F-414エンジンは航空自衛隊では経験がない。
F-15J戦闘機はプラット&ホイットニー/石川島播磨F100-IHI-100エンジンと、その改良型のF100-IHI-220Eを搭載しています。F-2戦闘機も技術的に発展型であるF110-IHI-129を採用してます。元々F-2の原型であるF-16はF-15用F100を単発搭載した軽量戦闘機で、F110は運用リスク低減へ二重装備体系化を期してGEが開発した同用途のエンジンです。
AN/ALQ-99 TJS戦術妨害装置とAN/ALQ-218-V2無線周波受信システムにCCS対通信装置といった電子攻撃装備を供与されるのであれば、F-15Jに搭載する事も、実は電子配線上言うほど簡単ではなく、電子戦要員用座席が必要で、数が少ない複座型のF-15DJを改造する必要があるのですが、機種が一機種増える事を考えれば、まだ、負担は少ないといえる。
EA-18Gは、航空自衛隊が純粋に電子戦を考えるならば、数の上ではそれほど必要な航空機ではありません。アメリカ海軍の空母航空団へ配備される機体ですが、アメリカ空軍に続く世界第二位の空軍力というアメリカ海軍保有機数でもF/A-18C/Dの318機、F/A-18E/Fの484機、配備開始のF-35Cが17機に対してEA-18Gは実は114機でしかありません。
F-15J後継機、ただ、可能性としてですが、政府は航空自衛隊の戦闘機増強を新防衛大綱へ盛り込む、としています。ここでF-15戦闘機の代替にF-35戦闘機よりは安価なF/A-18E/F戦闘機の取得を考えているのではないでしょうか。新防衛大綱へ戦闘機増強を盛り込んだとしても、厳しい財政状況、急速に増大する社会福祉費を上回る歳入確保は見込めません。
現在の戦闘機定数は280機、対して高価なF-35戦闘機は現在毎年6機を調達しているのが限度です。この調達度合いではF-35戦闘機を47年間運用し続けなければ280機の定数を維持する事さえできないのです。戦闘機定数を350機と冷戦時代並みの水準に置き換えても調達数が毎年6機のままでは運用期間の47年が58年に延伸するのみ、解決策ではない。
F-35A戦闘機については、現在の42機の調達数のみで完了するとは考えられません。三菱重工に三菱名古屋FACOとして最終組み立て施設を完成させ、更に新田原基地へF-35B飛行隊新設という検討まで報じられている中、42機の調達で終了してしまうならば、F-35調達そのものが失敗したことに他ならず、FACO維持費がF-35維持費を肥大化させかねない。
しかし、戦闘機定数を280機から更に300機へ、320機へと増大させるならば、航空自衛隊がF-35を300機以上調達、もまた考えにくいのです。そして1981年から導入開始したF-15Jは着実に老朽化を続けており、まだF-4EJが現役である以上は引退できません。F-35とF/A-18Fのハイローミックスを検討しEA-18Gはその布石という可能性もあるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
F-2後継機にF-22&F-35,報道に沸く一方、1981年に宮崎の新田原から配備開始のF-15後継機を忘れていないか、と思う今日この頃です。
EA-18Gの自衛隊導入検討報道、中期防衛力整備計画や2018年内に画定する新防衛大綱に盛り込まれるかの段階であり、来年度概算要求にそのままEA-18Gが盛り込まれる可能性は低いのです。ただ、切迫した脅威が認められるのであれば、陸上自衛隊のMV-22可動翼機のように選定手順を省いて、いきなり新規導入という可能性もまた否定はできません。
EA-18Gを仮に導入するとして、課題は多いものです。まず第一に航空自衛隊はF/A-18Eを保有していません。原型機のF/A-18Aは過去に次期戦闘機として提案された事や、F-2開発の際に支援戦闘機の直輸入案としてF/A-18Cが比較検討された事はありますが、結局輸入していません。特にエンジンのGE社製F-414エンジンは航空自衛隊では経験がない。
F-15J戦闘機はプラット&ホイットニー/石川島播磨F100-IHI-100エンジンと、その改良型のF100-IHI-220Eを搭載しています。F-2戦闘機も技術的に発展型であるF110-IHI-129を採用してます。元々F-2の原型であるF-16はF-15用F100を単発搭載した軽量戦闘機で、F110は運用リスク低減へ二重装備体系化を期してGEが開発した同用途のエンジンです。
AN/ALQ-99 TJS戦術妨害装置とAN/ALQ-218-V2無線周波受信システムにCCS対通信装置といった電子攻撃装備を供与されるのであれば、F-15Jに搭載する事も、実は電子配線上言うほど簡単ではなく、電子戦要員用座席が必要で、数が少ない複座型のF-15DJを改造する必要があるのですが、機種が一機種増える事を考えれば、まだ、負担は少ないといえる。
EA-18Gは、航空自衛隊が純粋に電子戦を考えるならば、数の上ではそれほど必要な航空機ではありません。アメリカ海軍の空母航空団へ配備される機体ですが、アメリカ空軍に続く世界第二位の空軍力というアメリカ海軍保有機数でもF/A-18C/Dの318機、F/A-18E/Fの484機、配備開始のF-35Cが17機に対してEA-18Gは実は114機でしかありません。
F-15J後継機、ただ、可能性としてですが、政府は航空自衛隊の戦闘機増強を新防衛大綱へ盛り込む、としています。ここでF-15戦闘機の代替にF-35戦闘機よりは安価なF/A-18E/F戦闘機の取得を考えているのではないでしょうか。新防衛大綱へ戦闘機増強を盛り込んだとしても、厳しい財政状況、急速に増大する社会福祉費を上回る歳入確保は見込めません。
現在の戦闘機定数は280機、対して高価なF-35戦闘機は現在毎年6機を調達しているのが限度です。この調達度合いではF-35戦闘機を47年間運用し続けなければ280機の定数を維持する事さえできないのです。戦闘機定数を350機と冷戦時代並みの水準に置き換えても調達数が毎年6機のままでは運用期間の47年が58年に延伸するのみ、解決策ではない。
F-35A戦闘機については、現在の42機の調達数のみで完了するとは考えられません。三菱重工に三菱名古屋FACOとして最終組み立て施設を完成させ、更に新田原基地へF-35B飛行隊新設という検討まで報じられている中、42機の調達で終了してしまうならば、F-35調達そのものが失敗したことに他ならず、FACO維持費がF-35維持費を肥大化させかねない。
しかし、戦闘機定数を280機から更に300機へ、320機へと増大させるならば、航空自衛隊がF-35を300機以上調達、もまた考えにくいのです。そして1981年から導入開始したF-15Jは着実に老朽化を続けており、まだF-4EJが現役である以上は引退できません。F-35とF/A-18Fのハイローミックスを検討しEA-18Gはその布石という可能性もあるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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