北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

那覇基地航空祭2014と南西諸島防空防衛に関する幾つかの備忘録

2014-12-17 00:35:51 | 防衛・安全保障
◆南西諸島の防衛
 那覇基地航空祭特集を続けていますが、此処からEOS-7DとEOS-50Dの写真を幾つか。

 那覇基地には永らくF-4EJが配備され、F-15を配備しない協定でもあるのではないか、在るらしいとの憶測、などがささやかれたのも今は昔、百里基地の第七航空団との飛行隊の交代により沖縄へF-15が配備されましたが、その後の南西諸島への中国機の接近が劇的に増大し、航空祭前日には羆のマークを描いたF-15が対領空侵犯措置任務として発進、千歳基地から応援部隊が必要となるほどの状況を迎えています。

 更にE-2C早期警戒機の配備が三沢基地から飛行隊を分ける形で開始され、E-2Cの後継機としてE-2Dが導入される方針が来年度概算要求と中期防衛力整備計画に明示、早期警戒機による空中警戒を行わなければ低空進入する中国からの国籍不明機を捕捉できないため、恒常的に警戒に当たっている、ここまで厳しい安全保障環境が現出するなど、想定はしていましたがその想定に実感は脅威が現出するまで正直なところありませんでした。

 聞けば、救難隊には既に戦闘救難をかなり意識した運用体系、救難員が万一の場合脅威のある状況下でも墜落航空機の搭乗員を救出できる体制を構築、これは今に始まった訳ではなくかなり前から救難員へのレンジャー訓練として空挺レンジャー訓練への参加を実施してきているようですが、進められ、戦闘防弾チョッキなども展示はしていないが、配備は為されている、とお教えいただきました。

 陸上自衛隊は九州にMV-22可動翼機を配備し、現在の佐世保西部方面普通科連隊を増勢し新編予定の水陸機動団を緊急展開させる体制を大車輪で進めていますが、重ねて那覇駐屯地の第15旅団も飛行隊をヘリコプター隊へ改編させ、普通科連隊へ中距離多目的誘導弾や軽装甲機動車の配備を進めるなど、演習場環境から重装備部隊を配備しにくいとされた防衛上の問題に早速改革を加え、米海兵隊との共同訓練や在沖米海兵隊設備の協同運用など、問題への対処を進めているところ。

 続いて、来年の航空祭は現在の第83航空隊が拡大改編され、F-15二個飛行隊から成る第9航空団を基幹部隊として迎える事となります。既に南西方面航空混成団は司令部設備を地下化し、弾道弾攻撃などから指揮中枢を防衛する体制を構築しているとも言われ、那覇基地の自衛隊基地としての収容限界はどのあたりなのか、と考えさせられるほど増強、その背景に脅威がある訳です。

 那覇軍港等港湾に目をうつせば純白の巡視船がこれでもかと停泊しており、これは言わずと知れた中国公船の日常的な領海侵犯に対処するべく海上保安庁が全国から巡視船を集合させると共に沖縄の巡視船配備態勢を強化の形で再構築しているためで、海上保安庁那覇航空基地の配備航空機も心なしか増大しているようにも。

 2011年に那覇基地航空祭を眺めた際には、実任務にてP-3Cが離陸してゆく様子を、緊迫しているのだなあ、と考えていたものですが、上記のとおり現状ではそれどころではないほどに状況が悪化しており、前政権時代の過度な宥和政策が逆に緊張を高め、現在の危機を醸成したというほか、当方には現状の緊迫度を説明できません。

 なにしろ、電子偵察機が実任務で飛行するということは、その対象となる脅威が存在しているためであり、黙々とその時に備え、その時に犠牲を少なく、仲間も県民も国民も、という意味ですが活動しています。これだけ飛んでいる、ということは、と。特に岩国基地に配備、入間基地に配備、という航空機でも岩国や入間では見たことが無い機種が那覇基地にて目の前を滑走路へすすんでゆくのですから、考えないわけにはいきません。

 他方、我が国は抑止力を強化しているのですが、質的強化に重点を置いている反面、隣国は単に外側の新しさを能力と勘違いする風潮があるようで、能力に対して比例する抑止力が構築出来ているのかが不安となります。抑止力が成り立たなければ、つまり相手が目的を達成するのに犠牲が少ないと判断すれば、こちら側にやってくる、という意味に他ならないのですから。

 併せて、航空掩体、用地の関係上難しければ南西方面航空混成団司令部は標高30mの丘陵地にありますから、地下ハンガーを構築するなど、増強される航空機を中距離弾道弾、海外研究機関などの数字の概数として中国人民解放軍第二砲兵が150発を我が国へ向けているとされる脅威から防護させる手段も併せて整備されるべきでしょう。

 場合によっては飛行場機能を分散させ、一か所を弾道弾で集中されないような態勢も必要とは考えるのですが、これ以上大陸側に基地を構築すれば台湾戦用に600発以上が準備されているという短距離弾道弾の射程内に入るため、ミサイル防空体制を構築し滑走路を相当数予備設備と補修設備を構築しなければ機能不随となってしまうため難しく、しかし、安易に断念すれば、沖縄戦の際のように沖縄を見捨てる構図を再度踏襲してしまう反省もあり、非常に難しい。

 航空祭は活況でしたが、航空機の機種とその任務と、何故配備されているか、ということは、航空機へ興味がある方々は概ね知っている訳でして、航空祭の飛行展示を見上げつつ、こんな航空祭を開催できる日々が続くよう改めて願った次第です。

北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする