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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新航空総隊司令官に杉山良行空将、南西方面航空混成団司令より昇任

2014-12-10 23:54:00 | 防衛・安全保障
◆新航空総隊司令に杉山良行空将 
 政府は今月9日の閣議において航空総隊の新司令官人事として杉山良行空将を承認させる人事を了承しました。

 新しい航空総隊司令官となる杉山良行空将は、現在、那覇基地の南西方面航空混成団司令です。航空総隊司令官は航空総隊司令官は航空幕僚長の指揮下において、全国の北部航空方面隊、中部航空方面隊、西部航空方面隊、南西方面航空混成団、といった第一線部隊の隊務を総括する職責を追う指揮官です。そして、人事令では航空幕僚長と同格扱いとのことで、航空方面隊司令や航空幕僚副長からの昇任人事が多い中、異例ともいえる昇任人事となります。

 杉山良行空将の第43代航空総隊司令官への着任ですが、これまで航空自衛隊の歴史にあって南西方面航空混成団司令からの航空総隊司令官への直接の昇任は第20代司令官の松尾宣夫空将以来28年ぶり二度目であり、この点一つをとっても異例の人事である、と言えるかもしれません。

 特に近年、航空自衛隊に合って最大級の対領空侵犯措置任務への緊急発進を担う南西方面航空混成団を指揮する能力は、航空総隊司令官に付けるほどの実力を要するものであった、と言える一点がある。そして那覇基地での厳しい対領空侵犯措置任務を経験した指揮官でなければ航空総隊司令官を担えないほど状況は緊迫化している、という二つの視点から見る事が出来るでしょう。

 もちろん、沖縄は在日米軍基地がおかれ、極東最大規模の米空軍根拠地である嘉手納基地に加え、冷戦時代は我が国への軍事脅威を与えていたソ連からの距離が最も大きく、安定した防衛環境にあった、ともいえるのですが他方、航空自衛隊機による対領空侵犯措置任務での初の警告射撃実施は那覇基地からの緊急発進と、沖縄県内にて領空侵犯したソ連機に対する実施であり、常に安定していたわけでは無かった点は留意するべきでしょうが。

 一方で、那覇基地の南西方面航空混成団は近く西部航空方面隊隷下より第304飛行隊を編入し航空団編成に移行し防空能力を強化しますが、中国空軍の爆撃機より投射される巡航ミサイルは沖縄県及び九州西部の自衛隊施設を射程に収めており、有事の際にはこの状況下での航空優勢確保を行わねばなりません。限られた装備や次期戦闘機F-35の納入遅れの中、如何に防空戦闘を展開し航空優勢を維持するかは容易なことではなく、その手腕が求められることでしょう。杉山良行空将の第43代航空総隊司令官への着任は12月15日に制式に人事発令を経て着任します。

北大路機関:はるな
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