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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

徳島豪雪被害自衛隊災害派遣、道路啓開主軸に善通寺第14旅団出動

2014-12-09 23:59:27 | 防災・災害派遣
◆四国雪害自衛隊派遣 
 12月6日より続く四国雪害へ、現在自衛隊が派遣中です。

 南国との印象深い四国徳島での豪雪は、徳島県山間部の東みよし町及びつるぎ町において倒木による山間部での複数孤立集落が発生するに至り、徳島県知事は県土木課や協力会社による道路啓かいの遅れが人命に係る水準に達していると判断し、同日1400時徳島県知事より第14旅団長へ災害派遣の要請がだされました。

 第14旅団は要請を受けた55分後、第15普通科連隊より初動部隊人員約30名及び車両約10両が善通寺駐屯地を出発、1625時には徳島駐屯地より第14施設隊の人員約15名と車両1両、2000時には後続として第14施設隊人員約10名車両約5両が出発、部隊は倒木の除去など道路けいかいに当たります。更に現地が山間部であり通信状況の悪さを判断し、2100時には中部方面通信群の人員約10名と車両5両が伊丹駐屯地を出発、現地へ向かいました。

 7日日曜日には、第15普通科連隊増援部隊が人員約50名車両約15両を以て駐屯地を出発し増援に当たると共に、0539時と0541時、大阪の八尾駐屯地より中部方面航空隊のUH-1が離陸し情報収集に当たりました。情報収集の結果、孤立地域は山間部に広範囲に分布していることが判明し、0659時、更なる情報収集へ徳島駐屯地を第14飛行隊のUH-1が発進しています。

 0700時には後続の第14施設隊派遣部隊人員約25名及び車両約5両が道路啓かい任務を開始、1259時には第14飛行隊のヘリコプターより偵察隊員がロープ降下し地上情報収集を開始、完全孤立地域はライフラインが途絶しているだけでなく山間部集約には商店などの物資備蓄や防災倉庫への十分な燃料備蓄が無く、急を要するとの状況が確認、1321時にはこの情報を受け完全孤立地域への物資輸送が開始されました。

 8日には、第15普通科連隊及び第14施設隊による道路けいかい作業が継続されるとともに、航空機による情報取集を継続的に実施、0933時には被災者の輸送支援を航空機により実施しました。更に本日1800時には第15普通科連隊寄りの更なる増援を受け、自衛隊は明日以降も災害派遣を継続するとのことです。派遣規模は250名と車両65両及び航空機5機、のべ派遣規模は人員490名車両130両航空機9機、とのこと。

 今回は山間部ではありますが積雪が非常に稀有である気候風土を有する地域への突発的な豪雪災害となっており、脱輪車両からの避難中の凍死や孤立地域での暖房停止が原因と考えられる凍死など、非常に予測が難しい中での災害の発生であり、重ねて限界集落という山間部過疎地位kでの地域コミュニティの限界という弱点を雪害が襲ったかたちです。

 特に幹線道路を離れた三桁国道や三桁県道などは保守整備には平時からの雪害対策を確実な水準とするには限界があり、災害派遣要請が出されることとなりました。四国の部隊ではありますが派遣航空機はスキーを装着し積雪地での運用を念頭としているほか、派遣車両は南国であっても転地機動運用に備えると共に、泥濘地での運用を念頭にタイヤチェーンが充分用意されており、こうした自衛隊の平時の備えが発揮された、というべきでしょう。

 また、四国の旅団に関する位置づけは防衛警備上どう考えるか、との視点が旅団創設時に寄せられましたが、南海トラフ地震を含め防衛警備以外の国家的危機の蓋然性は無視できず、さらに飛行隊等の部隊編成を行ったことが今回、正解であったことが期せずして証明された形となりました。任務は明日も継続されます。

北大路機関:はるな
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