◆シーレーン防衛最前線
ソマリア沖海賊対処任務、とWeblog北大路機関ではこれまで明記してきたが、以後アデン湾海賊対処任務、と統一したい。海賊行為はアデン湾からアラビア海ソマリア東岸沖に拡大中、今後その方面への派遣の可能性も出てきたためだ。
さて、アデン湾海賊対処任務、この海上自衛隊海賊対処部隊として水上艦部隊が派遣されているが、このほど、第三次派遣隊として派遣されている護衛艦たかなみ、護衛艦はまぎり、が11月7日からアデン湾において、海賊対処海上交通路防衛の任務についたとの旨、12日付朝雲新聞が報じた。
護衛艦たかなみ、は満載排水量6300㌧、2003年に、たかなみ型の一番艦として就役した汎用護衛艦で、127㍉単装砲、対潜・対空装備を速射性に優れたMk41垂直発射器に搭載し、ヘリコプター格納庫は必要に応じて二機のヘリコプターが収容可能、航空支援能力を重視し、弾庫や航空要員区画、発着支援装備を充実させた護衛艦だ。
護衛艦はまぎり、は、あさぎり型五番艦として1990年に就役、三次元レーダーを新型に改めた、あさぎり型後期艦に属する。満載排水量は4950㌧、二本のマストが厳めしいが、ガスタービン推進方式で優れた加速性を有するとともに、緊急時には二機のヘリコプターを格納庫に収容することができる。
派遣部隊指揮官は、第4護衛隊司令の中畑康樹1佐があたる。第4護衛隊は、大湊基地に配属され、隷下に呉基地ひえい、横須賀基地はたかぜ、大湊基地はまぎり、呉基地うみぎり、が所属しており、たかなみ、は第4護衛隊ではなく、佐世保基地第6護衛隊所属で、母港は横須賀となっている。
第二次派遣隊は、護衛艦はるさめ、護衛艦あまぎり、より編成され、7月29日からアデン湾での護衛任務を開始しており、11月2日の任務完了までに護衛任務は実に34回、248隻の商船を護衛している。なお、任務完了により、あまぎり、は舞鶴へ、はるさめ、は横須賀へ、現在帰投中となっている。
海上自衛隊の護衛任務は、護衛希望の商船を船団護衛方式により護衛しているのだが、これは船団が集合するまでの期間が非効率であるとの指摘もあるものの、護衛成功は100%という記録を有しており、各国艦艇が海賊船を個々に警戒、もしくは安全通行路を確保する、という方式よりも、範囲は狭いが確実な護衛は可能となっている。
海事専門家の分析では、アデン湾、そしてソマリア東岸沖での海賊行為は、60隻の水上戦闘艦が協力すれば、基本的に根絶できるもの、とみられているものの、60隻は、海上自衛隊の最盛期における水上戦闘艦数に匹敵しており、米海軍、NATO軍、インド海軍、韓国、中国、パキスタン海軍などを含めても60隻に達しない、という悩みはあるものの、海上自衛隊としての船団護衛任務は確実の達成率を以て現在も進行中である。
HARUNA
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