北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

事業仕分作業:防衛省の対象事業を仕分けるには、後日の覚悟が必要

2009-11-15 22:46:04 | 国際・政治

◆現政権に国の平和と安全は無駄な支出なのか?

 平成22年度防衛予算概算要求の修正版を昨日掲載したが、政府の行政刷新会議による事業仕分が進んでいる。本日は、この点について掲載。

Img_0549  財政再建は、必要なことではあるものの、仕分け作業では、十分な議論を行えないまま、次世代スーパーコンピュータ技術など今後の技術立国としての地位を左右するものが対象となっている。そして防衛省もその例外ではない。防衛省関係のもので事業仕分け対象となっている事業を列挙すると以下のようになる。

Img_63691  【防衛省】自衛隊の広報事業▽自衛官の実員増要求▽装備品の調達▽銃器類・弾薬のコスト削減▽情報システム借料、開発・改修経費のコスト削減▽自衛官の若年齢化による人件費の効率化▽退職予定自衛官就職援護業務費補助金▽自衛隊の募集事業▽国際平和協力センター

Img_9149  ▽備品のコスト削減▽装備品の選定段階でのコスト抑制▽被服のコスト削減▽基地周辺対策(特定防衛施設周辺整備調達交付金)▽基地周辺対策(民生安定一般助成)▽基地周辺対策(住宅防音)▽防衛施設の用地借料の水準▽駐留軍等労働者の給与水準。事業仕分けの対象となっているのは以上だ。

Img_1909  自衛隊の広報事業、これは徴兵制を採らない我が国においては新隊員の募集に不可欠な要素だ。装備品の調達、中断すれば富士重工のように不当な損害を民間企業に与えることとなり、結果莫大な賠償金を要求されることに。弾薬のコスト削減、量産して輸出でもしなければコスト削減は不可能。

Img_5712  情報システム賃料、開発改修経費のコスト削減、多少ならば可能だろうが抜本的には無理。自衛艦の若年齢化による人件費の効率化、指揮官がいなければ部隊は動けないし、曹がいなければ柔軟に訓練や実任務が難しくなる。退職予定者就職援護費、軍事任務に就いていた自衛官の再就職支援は現在のハローワークでは不可能。

Img_4092  自衛官募集事業、統合運用とポスト新設による部隊スリム化を目指して地方連絡部を地方協力本部に格上げした理由を考えれば、元に戻す方が非効率。備品のコスト削減、一度駐屯地に行けば難しさがわかる、私物PCで官品PCの不足を代用したことが招いた情報流出という教訓をお忘れのようで。

Img_1628  装備品の選定段階でのコスト抑制、要するに使えるかどうかを調べずに調達しろということになる、不具合が出る前に選定するのに、此処のコストを抑制すれば、あとで余計な出費になる。被服のコスト削減、熱戦暗視装置などを避ける防衛省の要求水準の被服が市販されているならば、それを買うのもあり、普通の市販被服はそういう機能は無い。

Img_4338  基地周辺対策、ようするに基地周辺に住居が増加するのを防いだりする事業と既にある住宅の防音工事その他、住民が基地のそばに住む場合は騒音を我慢させることを民主党が納得させ、既に済んでいる住民には我慢してくれるよう民主党が説得すれば問題なし、できるものならば是非。防衛施設の用地借料・駐留軍等労働者の給与水準、此処に労使関係はやってくれ。

Img_6057  1億2億は確かに個々人には大金、しかし、防衛関係のものはざっとあげたように、1億削れば数年後に数億円必要となるものばかり。例えは悪いが今日の金策にこまり、闇金に走り、違法金利に泣く方と同じ道に入ってゆくようなものか。見栄でマニフェストに掲げたものを達成するべく、変な支出を出さなければなんとかなるものを、と思う次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (8)
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