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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空救難団 捜索任務に必要なU-125救難捜索機への空中給油はどうするか

2008-06-24 18:24:34 | 先端軍事テクノロジー

■C-130Hへ空中給油機能・UH-60Jへの受油機能

 平成18年度防衛予算概算要求に記されていた“18年度、19年度に分けて行う予定のC-130Hへの空中給油機能・UH-60Jへの受油機能”という記載。この関係で一つ。

Img_1115  6月24日1330時に発生した千葉県沖漁船転覆事故、巻き網漁船第58寿和丸転覆事故は乗員20名のうち3名救助、4名死亡、13名が行方不明となっている中、僚船や海上保安庁、自衛隊により必死の救助活動が続けられている。海上保安庁の発表した映像には航空自衛隊のUH-60J救難ヘリコプターが映っていたが、現場海域が千葉県沖350kmという距離にあるため、通常のヘリコプターでは往復は出来たとしても現場で捜索救難を行う為に長時間飛行することは燃料の関係で難しいのではないか、そういう印象をうけた。この関係で気付いたのが本日の記事。

Img_8788  さて、全国で常時待機している航空自衛隊の航空救難団は、事故が発生した場合、速力に優れた救難捜索機U-125Aが迅速に現場海域周辺に進出し、複合センサーにより要救助者の位置を特定し、救命物資を落下傘により投下、後続する救難ヘリコプターUH-60Jを誘導し救難任務を遂行する。いわば、U-125AとUH-60Jは不可分、協同により任務を遂行するわけだ。

Img_8068  18年度防衛予算概算要求に盛り込まれたC-130Hへの空中給油機能・UH-60Jへの受油機能は、次期輸送機C-Xの配備により国際貢献任務へのポテンシャルに余裕が生じるC-130H輸送機を空中給油任務に就かせることができるよう改良し、救難ヘリコプターの航続距離を強化することに目的があると思われる。

Img_3048  1991年より部隊配備が開始されたUH-60JAは、V-107の代替として全ての救難隊への配備が行われ、V-107は浜松救難隊に残るのみとなっている。気象レーダーと赤外線暗視装置を搭載し、機内と機外の燃料タンクにより基地から半径250km以内の現場に進出し、60分の捜索、要救助者を救助のために10分間のホバリングする能力を有している。UH-60Jが3機、U-125Aが2機を以て救難隊を編成している。

Img_8310  C-130Hから空中給油を受けることでUH-60Jは滞空時間が延長するので、進出距離や現場での捜索時間が延長する。例えば冒頭に記載したような外洋での遭難事故においても現場で捜索する時間が長く採れるわけで、U-125Aでは発見できていない状況や要救助者が既に他の船舶に救助されていない状況のような現場に留まる必要がある状況では、運用の柔軟性が向上しよう。

Img_7243  ここで気になるのは、UH-60Jが空中給油を受けることにより航続距離が延伸する一方で、U-125Aはどうするのか、という疑問。もちろん、UH-60J救難ヘリコプターも救難ヘリというだけあって捜索救難を単機でも遂行することが出来るが、U-125Aとの協同が基本であるわけで、C-130Hに空中給油機能を付与するのであれば、U-125Aへも受油機能を付与させるべきではないか、ということだ。

Img_8343  こう書くと、UH-60Jを救難ヘリコプターとして運用している海上自衛隊は救難捜索機と協同していないわけで、U-125Aは先発進出に重点を置き、後続するUH-60Jが到着すれば任務遂行如何に関わらず撤収していいのでは?と考えられる方もいるかもしれないが、海上自衛隊の場合はP-3Cとの協同を行う(実際P-2Jが遭難捜索に展開した事例がある)、岩国と厚木のUS-1Aもあるわけで、U-125Aの重要性には変わりない。速力差はあるものの、米海兵隊のKC-130TはF/A-18Cに給油を行っており、過去にはKC-130によるA-4の事例もある。能力的には可能では、と考えるわけで、U-125Aへの受油能力付与は検討されて然るべきではないかと考える次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (8)
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