■日中合同防災訓練を検討してはどうか
最初に事務的連絡、7月27日開催の舞鶴基地自衛艦体験航海応募締切についてhttp://harunakurama.fc2.com/75.に情報へのリンクが掲載されています。ご希望の方はご覧下さい。本日締切なのでお急ぎ下さい。
海上自衛隊の護衛艦“さざなみ”が今月24日から28日にかけて中国広東省の湛江港を親善訪問する。これは昨年の11月に行われた中国海軍艦艇の晴海親善訪問に関連した日中相互交流の一環として行われているもので、海上自衛隊の護衛艦が中国に派遣されるのは初めてのようだ。艦船相互訪問ということは、その行為自体が信頼を醸成する一手段となりえるわけで、特に関係が結ばれている、若しくはそのチャンネルが確保されているという意義は大きい。
日中関係は、特に安全保障や金融、資源、経済などの問題が連環しており一筋縄ではいかないのは自明であるものの、地域安全保障を考える上で例えば軍事的な信頼醸成を進めることにマイナス面は少ない。信頼醸成措置といえば、東西冷戦下における欧州安全保障協力会議ヘルシンキ最終合意文書に示された軍事演習の東西間事前通知を行う信頼醸成措置が有名であるが、例えば日中間の相互演習、日中間が難しいのであれば米軍や他の諸国の軍隊を交えての演習を行ってもよいのだが、こういう演習を通じての信頼醸成が、性急過ぎない北東アジア地域における信頼醸成措置の一形態たりえるのではないか。
他方、例えば上海協力機構の関係改善に依拠して行われたロシア軍と中国人民解放軍との軍事演習で行われたような海峡閉鎖や海上封鎖、空挺降下、更に上陸演習というような形態は、たとえ対テロ、という名目が掲げられていても明らかに憲法問題に示される集団的自衛権の行使を前提としているだけでなく、余りにも国際関係に大きな衝撃を与えてしまうし、相互が行いうる実任務の一形態としては合致していないので、武力攻撃を目的とした軍事演習を日中間で行うことはナンセンスであろう。
こうした中で、すでに一部では考えられているとも聞くが、日中間での災害派遣合同演習というような想定であれば行いえるのではないかと考える。まだ救出活動が行われる中で不謹慎と受け止められてしまうかもしれないが、四川省地震、岩手宮城内陸地震を筆頭に挙げるまでも無く水害や大型台風といった災害は日中間のみならず、各国に等しく脅威を与えている存在である。特に、大規模地震災害に対しては日中間で早急に対処方法を研究するべき命題であり、阪神大震災以来培われた自衛隊の災害派遣に関する技術開発や訓練などは相互を利する内容を供することが出来よう。
更に、防災訓練であれば、自衛隊、人民解放軍以外にも例えば国土交通省の緊急対策チームや消防のハイパーレスキュー、更には世界各地での実績を有するNGO組織とも連携することが可能であろう。また、四川省地震に派遣され大歓迎を受けている報道映像が世界に流された台湾のレスキューチームも、こういった演習であれば参加の余地があるのではないか。
HARUNA
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