ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『あいつと俺』#10

2020-10-16 00:00:06 | 刑事ドラマ'80年代










 
『あいつと俺』は1980年の3月、東京12チャンネル(現テレビ東京)火曜夜8時枠で放映がスタートし、4話でいったん打ち切りになるも'84年に残りの8話(通算12話)が放映されたという、勝プロダクション制作による異色の刑事ドラマ。

警視庁捜査一課を拠点としながら、主人公の峰山刑事(川谷拓三)と山田刑事(清水健太郎)のコンビが毎回地方へ出張するロードムービー形式で、大自然をバックにして拳銃はほとんど使わず、追跡もパトカーじゃなく馬車に乗ったり(この第10話ではスーパーカブを使用)など、意図的に「刑事ドラマっぽくない」ストーリーと画作りで構成されており、BGMもほとんど使われず、おまけに刑事部屋のチーフが岸田森さんだったり同僚がルー大柴さんだったり、主役の1人である清水健太郎さんが1シーンしか出て来ない回がしょっちゅうあったり等w、何から何までが異色の、良くも悪くも勝プロらしさに溢れた作品です。


☆第10話『霧の町の少女―湯布院―』

(1984.3.28.OA/脚本=池田一朗/監督=江崎実生)

今回も清水健太郎さんの出番は1シーンだけ(そんなに忙しかったの?)。九州は別府市での仕事を終えた山田刑事は序盤で東京に帰り、残った峰山刑事が湯布院で休暇を楽しんでたら殺人事件に巻き込まれちゃうという展開。

殺されたのは東京に住む資産家の令嬢=ミツコと見られ、駆けつけた義母(三条美紀)も遺体を見てミツコだと認めるんだけど、実はその遺体は別人だった!

峰山刑事は温泉でユキコと名乗る若い従業員(新谷由美子)と親しくなるんだけど、ミツコの義母が湯布院に来たと同時に行方をくらましちゃう。

実はユキコとミツコは二人とも曰く付きの家出少女で、お互いの名前を交換して生活していた。死んだのはユキコであり、ミツコと間違えて殺されたのでした。

つまり、峰山と親しくなった女の子こそが本当のミツコ。6歳の時に養子縁組みで資産家に貰われたものの、強欲な義母が遺産を独り占めしたくて自分を排除したがってることを敏感に察知し、いよいよ義父が倒れたところで家出し、この湯布院に辿り着いた。そう、ユキコを殺したのは義母が雇った殺し屋(沖田駿一)なのでした。

それに気づいた峰山が、ライフルで狙ってくる殺し屋からミツコを命懸けで守り抜き、カーチェイス(峰山はスーパーカブだけどw)の末に殺し屋の車は大破します。

「命は助かった? そうですか、それは良かったです。いや、いくら殺し屋でも助かった方がいいですよ」

花形チーフ(岸田 森)からの電話に、そう答える峰山を見てミツコは胸を熱くします。

「ホッとしちゃった。何発も鉄砲で狙われたのに、それなのに、人間ってやっぱりそうなんだなって……そう思った。急に嬉しくなっちゃった」

6歳の時から身の危険を感じながら生きて来て、人間が怖くて仕方なかったミツコだけど、根っから優しい峰山と出逢ったことで少しは人生が変わるかも知れません。

相変わらず「刑事ドラマっぽい」描写は極力排除されてますが、冒頭とクライマックスでライフルによる狙撃が描かれたり、番組初期に比べるとストーリーが解り易くなってたり等、視聴者の反応を見た上での「テコ入れ」があったことが伺えます。

本来なら銃を使ったり説明台詞を入れたりするのは避けたかっただろうけど、沢山の人に観てもらってナンボのテレビ番組ですから仕方ありません。

それでもアドリブ大歓迎のライブ感を重視した演出は健在で、特にチーフ役の岸田森さんや、元刑事のラーメン店主=東兵衛役の伴淳三郎さん等、芸達者な人たちと川谷拓三さんの掛け合いはやっぱり笑えるし、味わい深くて見応えがあります。

勝プロはこのあと、日テレ火曜夜9時のアクションドラマ枠で、いよいよ勝新太郎さんが自ら監督&主演に乗り出す『警視―K』を制作し、さらに徹底して「刑事ドラマっぽい」作りを排除した結果、倒産しますw

冒険や挑戦があればこその失敗ですから、負けて悔いなし。テレビのゴールデンタイムでそれが許された時代が本当に懐かしいです。

セクシーショットは赤いサバンナRX-7を乗り回す雑誌記者=中村ジュン役でセミレギュラー出演された、当時21歳の伊藤咲子さん。今回はなかなか際どい入浴姿を披露してくれました。

『きみ可愛いね』の大ヒットで知られる元アイドルで、女優としては'80年代半ばまで、歌手としては現在まで活躍を続けておられます。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする