ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#391

2020-10-03 00:50:05 | 刑事ドラマ'80年代










 
☆第391話『黄色いボタン』

(1980.1.25.OA/脚本=小川英&古内一成/監督=櫻井一孝)

高坂(加藤 嘉)という老人が、夜の公園で人を殺したと言って自首して来ます。だけど殺されたのは暴力団系の会社に勤める原田(高山 彰)という言わば喧嘩慣れした男で、老人が1人で殺したとはちょっと考えにくい。

自供にも矛盾点が色々出てきて、そこを突かれても「とにかくワシが殺した」と言い張る頑固者の高坂に、亡き父親の面影を見たロッキー(木之元 亮)は、他にいるであろう真犯人を彼が庇っていると確信し、とにかく闇雲に目撃者を探すのでした。

その聞き込み捜査の中で、現場近くのアパートに独りで暮らす若いOL=杉下啓子(佳那晃子)の挙動に不自然さを感じたロッキーは、顔を毛むくじゃらにしたまま彼女を徹底マークし、怖がらせます。

日々の仕事を淡々とこなす啓子は、真面目すぎるゆえか交友関係がほとんど無く、従って恋人もいません。

ところが! そんな啓子が、時にケバい妖女に変身して夜の繁華街をウロついてること、そして殺された原田がかつて彼女をナンパし、さんざん貢がされた挙げ句に逃げられ、かなり怒っていたという事実が判明します。

おそらく事件の夜、偶然啓子を見かけた原田が公園まで彼女を追い詰め、反撃されて死んじゃった。それを高坂老人が目撃したんだろうと刑事たちは推理します。

でも、高坂が啓子の身代わりになって自首する理由が分からない。二人とも同じ公園でよく散歩しており、顔見知りだったことは間違いないんだけど、チョメチョメしない関係でそこまでするだろうか?

試しに啓子の写真を見せてみたら、それまで何を言われても動じなかった高坂が明らかに動揺します。その反応こそが動かぬ証拠だ!と言ってロッキーは詰め寄るんだけど、うっかり顔を毛むくじゃらにしたままだったもんで高坂は恐怖で心臓発作を起こし、あえなく入院する羽目になるのでした。

山さん(露口 茂)の捜査により、高坂は生き甲斐だった郷土史研究の資料を全て5年前の火事で失って以来、無趣味で過ごしてることや、その事実に家族が誰も気づいてなかったこと等が分かって来ます。

「立派な家で肉親に囲まれて何不自由なく暮らしていても、高坂老人は、淋しかったんだろうな……この事件の大元にあるのは、恐らくそれだろう」

山さんにそう言われて、ロッキーはふと気づきます。高坂が着てる茶色いカーディガンに、1つだけ色違いの黄色いボタンが付いていたこと、そして杉下啓子が黄色いカーディガンをいつも着ていたことに。

「山さん。高坂老人と杉下啓子との間には、何も無かったんですよ。特別な繋がりなんか、何も無かったんです!」

恐らく、公園で会話してた時に高坂のカーディガンのボタンが足りてないことに気づいた啓子が、自分のカーディガンからボタンを1つ外し、付けてあげた。

「チグハグな、小さな黄色いボタン……でもそれは、高坂老人には、何よりも嬉しい贈り物だったんです。どんなに立派な家よりも、遥かに……」

ようやく事件の全貌が明らかになったところで、ロッキーは啓子を説得します。が、当然ながら彼女は「何も知らない」と言い張ります。そりゃそうでしょう。相手は毛むくじゃらだし、認めてしまえば今の平穏な生活がガラリと変わってしまうんだから。

だけどロッキーは食い下がります。

「淋しかったのはキミだけじゃないんだ。あのお爺さんも淋しかったんだ。だから、キミが付けてくれたあの小さな黄色いボタンの為に、あの人はキミの身代わりになろうとした。たとえ行きずりの他人でも、キミの為なら、死んでもいいと思ったんだ」

さすがのロッキーも、今回ばかりは「自首しろぉーっ! 自首するんだぁーっ!」を連呼したりはしません。そんな少しだけ成長したロッキーに付き添われて、啓子は高坂の病室を訪れます。

「ありがとう……でもね、お爺ちゃん。私、もう……」

「………………」

「お爺ちゃんに、長生きして欲しいの」

「……分かった。分かったよ……」

今回ばかりは勘と推理を全て的中させ、容疑者の説得にも成功したロッキーの独壇場でした。一向に人気が出ない彼を何とか格好良く見せなければと、今頃になってスタッフが気づいたのかも知れないけど、ちょっと遅きに失した感あり。ラストシーンでボス(石原裕次郎)がこう言いました。

「ヒゲよ、おまえ相変わらずモテねえな」

さすが、よく分かってらっしゃいますw

まぁそれにしてもまた、今回も地味なお話でした。現在でも『相棒』や『警視庁・捜査一課長』等で繰り返し使われる定番のプロットだし、これと言った感想が浮かんで来ません。

すっかりボケてしまった親と暮らしてるもんで、加藤嘉さんが当時66か67歳でこれだけの演技をされてるのは凄い!って、思ったぐらいでしょうか。

そしてヒロインの佳那晃子さんは当時23歳。芸名を大関優子から改名されたばかりで、この年より映画『ザ・ウーマン』『四季・奈津子』『魔界転生』等に出演され、どんどんメジャーになられていきます。

刑事ドラマは大関優子時代を含めて『Gメン'75』に6回、『太陽にほえろ!』に3回、『特捜最前線』『大空港』にそれぞれ2回のほか、『特別機動捜査隊』『大都会/闘いの日々』『夜明けの刑事』『新幹線公安官』等にゲスト出演。脱ぎっぷりのいい素晴らしい女優さんです。
 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする