ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#390

2020-10-01 00:10:04 | 刑事ドラマ'80年代










 
☆第390話『二十歳の殺人』

(1980.1.18.OA/脚本=小川 英&尾西兼一/監督=木下 亮)

平田という男が殺され、目撃者の証言などから容疑者は二十歳になったばかりの森口吾郎(清水昭博)という若者にほぼ確定され、殿下(小野寺 昭)とスニーカー(山下真司)が逮捕に向かうんだけど逃げられちゃいます。

森口にはみどり(斉藤とも子)という19歳の妻と、生まれたばかりの娘=ひろみがいて、生活が苦しいというのに平田に10万円の借金を踏み倒され、取り返そうとして争った弾みで死なせてしまったらしい。

で、夫の代わりに事情聴取を受けたみどりは、こんなことを主張します。

「吾郎ちゃんはまだ19歳だったんです! 未成年だったんです!」

つまり平田を殺した時、森口は誕生日イブでまだ成人してなかったと彼女は言う。それが本当なら、量刑がかなり軽減されることになります。

確かに、犯行時に壊れた置時計は夜の11時55分で止まってる。だけど現場から逃げる森口が目撃された時刻は、その約20分後。この誤差はいったい何なのか? 森口が犯行時刻を誤魔化すために時計の針を動かした、としか考えられません。

だとしても、森口は内面的にまだ子供だし、妻子を抱えてる事情も考えれば、たった数分の違いぐらい見逃してやりゃいいじゃん!って、若いスニーカーは言うんだけど、勿論そんなワケにはいきません。平田が午前0時にはまだ生きてた事実も証明され、森口の「二十歳の殺人」はいよいよ確定となります。

そんな折り、赤ちゃんのひろみが急性肺炎を起こして入院し、藤堂チームは街宣車を使って「すぐ病院に連絡しなさい」と森口に呼び掛けます。

罠じゃないかと疑いつつ、やっぱり心配で森口は病院に電話します。対応したのは殿下でした。自首を促す殿下に、森口は泣きながら訴えます。

「なにが成人だよ! たった2~3分のことじゃねえか! それだけで、たったそれだけで、俺がなんでそんな重い罪を背負わなきゃなんねえんだよ!?」

「森口!」

「今まで大人たちは俺たちをどんな眼で見てきたと思う? 若いのに結婚してうまくいく筈がねえとか、子供に子供が育てられるワケがねえとかよ……それがどうして、どうしてたった2~3分の違いで大人の法律で裁かれなきゃいけねえんだよ!」

「甘ったれるな森口!」

「なにぃ!?」

「お前は、ひろみちゃんの父親なんだぞ! 成人してようがしてまいが、お前は夫であり父親なんだ! 一人前の大人なんだぞ!?」

「…………」

「だったら、ちゃんと一人前に、犯した罪を償うんだ。それでこそお前は、誰にも恥ずかしくない、ひろみちゃんに対しても恥ずかしくない、立派な男と言えるんじゃないのか?」

「…………」

森口は何も言わずに電話を切ってしまいます。深夜、雪(ホンモノ)の降る中、殿下は病院の玄関で森口が現れるのをひたすら待つのでした。

今にも雪まつりの氷像と化しそうな殿下に、スニーカーが問います。

「来るでしょうか、森口……」

「来る」

そんな凍死寸前の殿下の優しさに応えたのか、夜明けになって森口はやって来ました。ロビーで待ってたみどりが、泣きじゃくりながら抱きつきます。

「ひろみちゃんのそばにいてやるんだ。あまり時間は無いがな」

殿下にそう言われて、森口はみどりと寄り添いながら病室へと向かうのでした。

まぁ相変わらず地味な話ではあるんだけど、殿下のキャラクターがよく活かされて良かったんじゃないでしょうか? これが山さんや長さんだと説教臭くなりそうだし、ゴリさんには似合わないし、ましてやロッキーが顔を毛むくじゃらにしながら「自首しろぉーっ!自首するんだぁーっ! 自首しろぉーっ!自首するんだぁーっ! 自首しろぉーっ!自首するんだぁーっ!」って説得しても森口は一生現れなかった事でしょう。

しかし今回はストーリーよりも、若手清純派女優として注目されてた斉藤とも子さんが、初めて母親役を演じたことで話題になりました。

しかも夫の森口を演じたのは学園ドラマ『青春ド真中!』と『ゆうひが丘の総理大臣』で斉藤さんのクラスメイトだった清水昭博さん。お二人の確かな演技力とコンビネーションが、本作を見応えあるものにしてくれました。やっぱり、当たり前だけど演技力は大事です。

斉藤とも子さんは当時18歳。デビューは'76年のNHK少年ドラマシリーズ『明日への追跡』で、土曜ドラマ『男たちの旅路』で演じられた車イスの少女も忘れ難いけど、ブレイク作は何と言っても前述の学園ドラマ2本。たぶん『太陽にほえろ!』にゲスト出演された頃は一番多忙だった時期で、当時放映中の『あさひが丘の大統領』には残念ながら出演叶わず。その代わりに(?)ちょっと前にヒロインを務められた映画『悪魔が来りて笛を吹く』で宮内淳さんと共演されてます。

刑事ドラマのゲスト出演は、同じ'80年の6月に放映された『大捜査線』第20話と、翌'81年放映の『部長刑事』第1202話、それと2015年放映のNHK土曜ドラマ『64/ロクヨン』がWikipediaに記載されてます。
 

コメント (2)
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