ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「七曲署捜査一係'80」―1

2020-10-26 19:19:18 | 刑事ドラマ'80年代










 
ロッキー(木之元 亮)&スニーカー(山下真司)による若手コンビの体制は、第399話『廃墟の決闘』で早くも終止符が打たれます。

本来なら夏の殿下(小野寺 昭)殉職まで続いた筈が、その後任となるスコッチ(沖 雅也)の復帰が春に前倒しされ、図らずも『太陽にほえろ!』初の8人体制が実現することになりました。

前倒しの理由は、これまで何度となく書いて来た通り。視聴率の急降下を受けてのテコ入れです。

急降下の理由についてもさんざん私なりの分析を書いて来ましたが、えらく内容が暗くて地味になったこともさることながら、描かれる事件の構造がやたら複雑になったのも大きな要因じゃないかと、順を追ってレビューしてみてあらためて気づきました。

'79年夏のスニーカー登場から同年末あたりまで、事件の真相に必ず「裏の裏」、さらに「そのまた裏」まで用意されてるような複雑さで、まさに昨今の『相棒』シリーズみたいな「刑事がただひたすら謎解きするだけ」の作劇を先取りしてました。

ボス(石原裕次郎)や山さん(露口 茂)が主役の回なら構わないけど、若手が主役の時までそんな話ばっかりになったら、そりゃ辟易するに決まってます。まず彼らには似合わないし、動いてナンボの若手が突っ立ってるだけじゃ魅力を発揮しようがない。

事件が複雑になれば当然、捜査過程も複雑になるし長くもなっちゃう。『太陽~』で最も退屈な時間である「音楽オンリーの聞き込みシーン」が1エピソード中に3回も4回もあったりする。録画視聴が当たり前の現在なら確実に早送りされる事でしょう。

'80年に入ってから、その辺りの問題がかなり改善されたように感じます。前回レビューした#398『名残り雪』みたいに地味な回でも、話がシンプルになったことで格段に観やすくなってます。キャストの表情も一時期より明るくなったような気がするし。

特にスニーカーが元気になって来たのが大きな収穫で、続く#399、#400、#401と大暴れしてくれます。最初からそうしときゃ良かったのに!w

でも、それは国民的人気にあぐらをかいて来た結果じゃなくて、むしろ逆なのかも知れません。このままじゃ確実に飽きられる、どげんかせにゃいかんと考えた末に「より大人向けの内容にシフトさせる」道を選択したのかも?

もし時代が違えば成功したかも知れないけど、なにせ日本が最も軽薄だった'80年代の入口という時期ですから、その選択は誤りだったと言わざるを得ないでしょう。

……と、レビューしながらあれこれ考えて来ましたけど、急降下の理由はもっとすこぶる単純で、やっぱロッキーとスニーカーじゃ女性視聴者の眼を釘づけに出来なかった、ただそれだけの事かも知れませんw ストーリーがどうであれ、ボン(宮内 淳)やドック(神田正輝)、ラガー(渡辺 徹)みたいな人が出てりゃ観るんですよ、きっとw

顔を毛むくじゃらにしながら「観ろぉ! 観るんだあーっ!! 観ろぉ! 観るんだあーっ!! 観ろぉ! 観るんだあーっ!!」って、一本調子に叫んだところで女性は振り向いてくれない。

女性客を呼べなきゃエンタメは商売にならない。ちょうどこの時期から、そんな傾向が常態化しつつあった。ただそれだけの話かも知れません。
 

コメント
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