ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ニッポンノワール/刑事Yの反乱』2019

2019-12-23 12:23:38 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2019年の秋シーズン、日本テレビ系列の日曜夜10:30「日曜ドラマ」枠で全10話が放映された、日本テレビ&AX-ONの制作による、キャッチコピーによれば「超規格外の刑事ドラマ」。

公式サイトに掲載された概要は、以下のとおり。↓

☆☆☆☆

これが、刑事ドラマと呼べるのかー。

目が覚めると俺の横には女性刑事の亡骸があった。手には拳銃。なぜか俺の記憶は数ヶ月消し飛んでいた。俺がコイツを殺したのか……。それとも何者かにハメられたのか……。

容疑者は『自分自身』と俺の『目に映るすべての人物』。
俺を疑い追いかける同僚刑事。かつての仲間は一夜にして敵に。相棒は亡き女性刑事の一人息子である幼き少年ただ一人。やがて事件は未解決の「十億円強奪事件」の真相へと繋がっていく……。

女性刑事を殺したのは…? 十億円を奪ったのは…? 疑いが加速し、裏切りが止まらない。究極のアンストッパブル・ミステリーがここに開幕! 一人の刑事が巨悪に反乱を起こす、予想を覆し続ける規格外の刑事ドラマ!!

この物語、一度見たらその結末を見届けるまで、「とんでもないこと」が止まらない。

☆☆☆☆

警視庁捜査一課の癌と呼ばれるやさぐれ主人公=遊佐刑事に賀来賢人、殺された捜査一課のマドンナ=碓井班長に広末涼子、その息子に田野井 健、碓井班の刑事に杉本哲太、工藤阿須加、立花恵理。

そして捜査一課の課長に北村一輝、刑事に水上剣星、細田善彦、公安部の刑事に井浦 新が扮するほか、夏帆、佐久間由衣、笹野高史etc…といったキャスト陣が脇を固めます。

私は常々、斬新でサプライズに満ちた刑事ドラマを待望してます。だから「超規格外の刑事ドラマ」なんて言われると期待せずにいられないんだけど、まぁ五分五分以上の確率で「どうせ裏切られるだろう」とも思ってます。さて、この番組はどうだったか?

上記のあらすじを読む限りだと、どこが超規格外なのかサッパリ分かりません。刑事が罠に嵌まって殺人容疑者になったり、そこに記憶喪失が絡んだり、同僚刑事を含む周りの人間がみんな怪しかったりするサスペンスは、私が子供の頃からいったい何本観て来たか見当もつかないほど、全く新しくも何ともないネタです。「警視庁の癌」と呼ばれる刑事も沢山いたし、小さな子供が相棒になるって話もいっぱいありました。

じゃあ、創り手はどこを指してこれが「超規格外」だと言ってるのか? 驚きました。これは違う意味でサプライズでした。

刑事たちが、同僚(しかも課のマドンナだった女性)が殺された現場で、その遺体を前にしてフザケたりはしゃいだりしてる!

そして捜査会議で下らない縄張り争いから全員で大乱闘をおっ始める! そこにやって来た公安の刑事が拳銃をぶっ放して騒ぎを止める!

まだまだあります。初対面の上役から「遊佐が犯人だ」と聞かされた若手刑事が、その裏もとらずに遊佐を殺そうとする! 反撃してそいつを殺そうとした遊佐を、小さな子供が拳銃をぶっ放して止める!等々、メチャクチャとしか言いようのない描写が初回だけでも枚挙に暇ありません。出てくる刑事が全員、バカばっかり。

規格外って、そういう事ですか……やれやれ……困ったもんです。

違うんだよなぁ……私が求めてるのはそういうサプライズじゃない。それはむしろ、一番やって欲しくない「なんでもあり」の「悪ふざけ」です。ぜんぜん新しくもなければアナーキーでもなく、ただ単に「奇をてらった」だけ。

彼らがやってることは、コンビニや飲食店のバイト店員がふざけて食品にツバをかけ、それを撮った動画をネットにアップするような行為と同じことで、そんなの観たって笑えもしないし、まして「こいつら尖ってて超クール!」なんて微塵も思いませんよ。

ただ単に幼稚で無能でひたすらダサい連中でしかなく、そんなヤツらをドラマの主役として描いてる創り手たちも同じ穴のムジナ。なにがニッポンノワールじゃ、ふざけんな!って、私は言いたいです。

これまでの刑事ドラマがなぜ、そういう事をやらなかったか? 別に誰も思い付かなかったからじゃない。そんな事をしても作品の面白さには全く繋がらないことを、皆が分かってたからです。

マトモな人間が職場でフザケてる動画をネットにアップしないのも、臆病だからじゃない、それが究極にダサくて面白くも何ともない事が分かってるからです。あんな動画を観て笑う人は、アップした人と同レベルのおバカさんだけ。大半の人は怒りもせず、ただ「ああ、可哀想に」って思うだけ。その可哀想っていう意味も、おバカさんたちには解らないんだろうけど。

結局、全くもってありきたりなストーリーを、フザケたり裏をかいて見せることで「新しい」と言い張ってるだけ、としか私には思えません。警察という権威をおちょくったり、人気ジャンルの伝統やルールを壊して見せることがアナーキーでカッコいい、と思い込んでる小学生レベルの発想でしかない。

それは私が大好きな「パロディ」とは似て非なるものです。パロディが面白いのは、ネタ元に対する創り手のリスペクトや愛情が根底にあるからです。「この作者、よっぽど好きなんだな」っていう微笑ましさが笑いに繋がるワケです。

この『ニッポンノワール』って作品からは、刑事ドラマに対するリスペクトや愛情が微塵も感じられません。だからまったく笑えない。

同じ枠で冬シーズンに放映された連ドラ『3年A組/今から皆さんは、人質です』と話が繋がってるような仕掛けがあるらしいけど、そんな小手先の話題作りも上滑りしてます。

最終回まで「とんでもないこと」が止まらないそうだけど、そのたびに私の口から出るのは「驚いた」でも「笑った」でもない、「やれやれ……」っていう溜め息だけになりそうです。刑事ドラマの破滅が止まらない。

セクシーショットはレギュラーキャストの立花恵理さんと佐久間由衣さん。共にファッションモデル出身の女優さんです。
 
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『時効警察はじめました』2019

2019-12-23 00:00:07 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2019年の秋シーズン、テレビ朝日系列の金曜深夜「金曜ナイトドラマ」枠で全8話が放映された、テレビ朝日&MMJの制作による人気シリーズ第3弾。スタート直前に『時効警察はじめました 零号』として2時間スペシャルも放映されてます。

シレっとFBIから総武警察署・時効管理課に戻って来た霧山修一朗(オダギリジョー)が、またもや趣味で時効成立済み事件の謎をシレっと解いていきます。

相棒となる交通課婦警=三日月に麻生久美子、時効管理課メンバーにふせえり、江口のりこ、若松 了、刑事課の刑事に豊原功輔、緋田康人、鑑識課員に光石 研、といったお馴染みの顔ぶれに加え、交通課婦警に内藤理沙、田中真琴、鑑識課員に磯村勇斗、そして刑事課の新人刑事で第2ヒロインとなる彩雲に吉岡里帆、といった新レギュラーが加わります。

チャーミングな面々による独特のネアカなノリは健在で、ストーリー自体はよくあるコールドケースの謎解き物でも、全編に隙間なくユーモアが仕込まれてるので退屈はしません。

そのユーモアがウケようがスベろうが、意味が通じようが通じまいがお構いなしの、視聴者に媚びない制作姿勢が魅力で、そこがファンの心を掴んで離さないポイントなのかな?と、続けて観てる内に何となく解って来ました。

主演のオダギリジョーくんがそういうタイプの役者さんだと思うし、シリーズの世界観を創り上げた三木聡さんや園子温さん等も多分そういうクリエイター。深夜枠でこそ本領を発揮する人達ですよね。

それと、意外にミステリーとしてのクオリティーも高いかも知れません。基本はよくある謎解き物って書きましたけど、扱うのは既に時効が成立してる事件であり、だいたい真犯人の目星は最初からついてる。

言わば完全犯罪を成し遂げた知能犯によるトリックを、主人公が見抜いていく過程を見せ場にした『刑事コロンボ』式(倒叙法)の作劇。犯人当てゲームよりもずっとハードルの高いジャンルで、日本での成功例は『古畑任三郎』や『実験刑事トトリ』等、ほんの数本しか思い当たりません。

謎解きの面白さだけじゃなく、いかに魅力的なキャラクターを描けるかが倒叙ドラマの勝負どころで、その点『時効警察』シリーズは成功してると思います。退屈せずに観てられるのは、決して小ネタが笑えるからだけじゃない。

今となっては珍しい1話完結フォーマットで、やれ主人公の秘められた過去だの失われた記憶だのとわざとらしい「謎」設定で引っ張らなくたって、人物を魅力的に描きさえすれば視聴者はついて来るんだって事を、本作が証明してくれてます。

勿論そこにアクティブな描写(チェイス&バトル)が加われば言うこと無しだけど、このシリーズに限っては必要ありません。霧山くんがあくまで趣味でやってる捜査であり、時効済みで犯人を逮捕する必要も無いワケですから。

ボインぼよよん画像は、言わずと知れた本作のWヒロイン、吉岡里帆さんと麻生久美子さん。おっぱい星人な方にはたまらん組み合わせかと思います。
 
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