ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『W県警の悲劇』2019

2019-12-21 00:00:42 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2019年の夏シーズン、BSテレ東の土曜夜9時「土曜ドラマ9」枠で全8話が放映された、BSテレ東&ホリプロの制作によるミステリードラマ。葉真中顕さんの推理小説を映像化した作品です。

W県警・警務部で「警察内の警察」すなわち監察官を務める警視=松永菜穂子(芦名 星)が、腐敗した県警を改革すべく「女性初の警視正」昇格を目指し、上層部の密命に従って女性警察官たちの「秘めごと」を淡々と暴いていきます。

とある高級中華料理店に集い、主に不祥事の隠蔽について話し合う県警幹部たちによる「円卓会」メンバーに正名僕蔵、大石吾朗、松澤一之、大河内 浩、阪田マサノブ。

そして彼らの密命を受けた菜穂子により尋問を受ける女性警察官たち=各エピソードのメインゲストが、佐藤仁美、佐津川愛美、谷村美月、優希美青、戸田菜穂、鈴木砂羽、床嶋佳子、伊藤かずえ、といった豪華布陣。

同じ「土曜ドラマ9」枠で栗山千明さんが主演された『サイレント・ヴォイス』と同様、必要最少限の登場人物だけで展開される会話劇で、今回も私が求めるアクティブさは微塵もありませんw

しかもクライマックスにおける「どんでん返し」が見所になってる=私が嫌いなゲーム性の強い内容なんだけど、これが意外と面白いんですよね。

もしかすると、少人数しか出てこない舞台演劇的な作りに新鮮さを感じたのかも知れません。ゴールデンタイムのドラマや映画じゃ許されないであろうシンプルさで、BSチャンネルだからこそ出来ることを追究した結果なんだろうと思います。地上波だと深夜ドラマの『時効警察』シリーズですら無駄にキャストを増やしてますからね。

クールな眼差しの奥底に野心を秘め、それでいて女性ならではの柔らかさと可愛らしさも感じさせるヒロイン菜穂子=芦名星さんがすこぶる魅力的だし、そんな彼女が毎回豪華ゲストと女優対決を見せてくれるワケですから、謎解きやどんでん返しうんぬん抜きにしても楽しめます。

その謎解き&どんでん返しも、初回はベテラン捜査官(螢 雪次朗)の汚職と殺人を暴くべく、その娘である婦警(佐藤仁美)から菜穂子が証言を引き出すんだけど、実はその婦警こそが殺人の真犯人で、菜穂子は騙されて気づかないまま終わっちゃうという、一度しか使えないであろう大仕掛けを気前よく見せてくれました。

それは間違いなくバッドエンドなのに、後味は決して悪くないんですよね。婦警の殺人は悪党相手の言わば「処刑」だし、菜穂子が決してスーパーウーマンじゃないことも示されて親近感が沸きます。

第3話では殺人容疑をかけられた女性刑事(谷村美月)を尋問するんだけど、彼女は事件当日に先輩刑事(山田純大)と不倫デートしてたもんでアリバイが言えない。もしそれが公になれば先輩刑事に処罰が下り、家庭も壊してしまうかも知れないから。

菜穂子はそんな彼女の純粋な恋心に共感し、全てを見抜きながら上層部には報告しない道を選ぶ。ただやみくもに真実を追及したい刑事マシーンじゃなくて、県警の改革を最終目標に置いてる政治家気質の人だから、眼をつむっていい事には眼をつむれる人なんです。

事件や謎解き以前に、まず人間をちゃんと描こうとする創り手の姿勢が、そんな菜穂子のキャラクターに表れてます。だから面白いんですよね。

セクシーショットは第3話ゲストの谷村美月さん。ひとめ見ただけで犯人じゃないと判る純白オーラはさすがの一言。その気になれば悪女でも妖女でもパーフェクトに演じて見せるでしょうけど、ごく普通の「いい子」役に説得力を持たせられる稀有なメジャー女優として、その存在は貴重かと思います。ボインぼいぃぃ~ん。
 
コメント
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