害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ツメダニ拾い

2009-01-11 23:51:00 | 自然観察

食品工場においた昆虫調査用の小型粘着板に、ツメダニが捕獲されていることがある。

昨年12月に、同僚がトラップの捕獲個体を同定中に、「メクソ?」とかいいながら粘着剤から取り出してくれたのは、チョット変わったツメダニだった。ポリブテンにくっついて死んで乾燥しているダニを、バラバラにならないように取り出すのはとても難しい根気のいる作業。ダニにまとわりついている粘着剤をキシレンで気長に溶解させてから、乳酸で漬物にしておくと比較的透明度の高い標本になる。ってことで長いこと放置しておかないとうまくいかないので、普通はゴキブリホイホイなんかにくっついてるダニなどは同定しない。Cheyletia_papillifera01

メクソ(メクセケレス属の勝手な略称)かもといわれて前処理中だった個体を、年が明けてからプレパラートにしてみると、みたことのない種だった。
まず目につく変わった点は、頭の方の先の大きなツメの歯だ。非常に独特な形状の発達した歯がみられた。大きな扇状の胴背毛、胴背毛の付け根が盛り上がっているところ、脚の毛の生え方などから、Volginの線画と絵合わせでCheyletia papillifera と決定した。採れた場所は大阪府東部の建物の1階で、大型冷蔵庫があって、夏場は結露による水溜りなんかができているような環境である。ヨーロッパでも室内塵などから出てくる種らしい。新年早々お初に見ることができた属なので、なんだかメデタイ。Cheyletia_papillifera02