害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ミクロなお気に入り

2008-09-05 23:47:58 | 自然観察

少し前に、音信がなかった旧友に久しぶりにメールしてみると、北の某自然観察施設でクワガタムシ展示中で大忙しという返事がきていた。夏になると、日本中がクワガタムシ採りにハマる大人や子供だらけになるのはどういうわけなのだろう。

私もクワガタムシが大好きだが、自分の嗜好を分析してみると、「はさむ」という形態が顕著な生物に過敏に反応する傾向がある。
ダニでいえば、ツメダニ科にハートを直撃されがち。
害虫駆除業界では、フトツメダニや、ミナミツメダニ、アシナガツメダニくらいしか業務のネタにならないが、実は自由生活型のツメダニ科はとてもたくさんの種類がいる。でもってかなりの種類が、世界に広域分布している。日本の室内で見られる種類も、実は結構いろいろいたりする。分類の専門家が少ない(日本じゃS先生1人だけ?)のと、大量発生の事例がないので話題にならないだけだ。
ミナミツメダニは異常に飼育しやすい種類だが、マイナーな種類は飼育に失敗することが多い。正確にいえば餌やりや湿度調節を忘れると、マイナーな種類は絶えやすい。
劣悪な飼育条件の中で、メクセケレス(Mexecheles marshalli)という種類が最近だいぶ増えてきた。メクセケレスは、実体顕微鏡観察などで、死骸をみたりしているとアシナガツメダニの小型個体と間違えそうだ。刺すのかというと、高密度になればヒトにカユミがでるかもという程度の予想しかできない。悪名高いミナミツメダニにしたって、密度が低いと無害種で、意外に多くのご家庭でひっそりと生活しているものである。Mexecheles_marshalli

ツメダニ科がクワガタムシくらいにデカければ、ブームになっているに違いないと思うが・・・。

*Mexecheles marshalli:2006年5月に京都市内で畳から採集した個体群