害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

あゆみだすハラワタ(caraboid larva)

2008-07-15 23:49:00 | 自然観察

幼虫の姿のままで子を成すが、子は母の胎内を食い破り姿を現す。
その子には、母にはなかった脚がある。母は無脚のカミキリムシ型幼虫だったが、子はオサムシ型幼虫で活発に歩行する。
やがて子も朽木にもぐり脱皮をすると脚がなくなり、孕んだ子に食い殺されるまで発育する。と、こんな風に書くとワケがわからんが、チビナガヒラタムシ Micromalthus debilis のメスの増え方である。
もう少し続けると・・・・・。
幼虫の姿のメスも、卵を産むことがある。卵は自分の体のうえに産み付ける。その姿は、まるで寄生蜂に卵を産みつけられた何かの幼虫のよう。卵からはオスが孵る。オスは母だけを食べて育つ。寄生蜂の幼虫のように静かに食い進む。朽木を食べるコウチュウだが、オスの幼虫は肉食で、その姿からゾウムシ型幼虫と呼ばることもある。
難解さはアンドレ・ブルトンの詩といい勝負のような気もするが、マジなチビナガヒラタムシの生活史の話である。

Micromalthus_caraboid01 今日は、オサムシ型幼虫が母体の中で蠢いているところを観察した。
小部屋の中にオスが乱入してきているがコレは偶然と思う。
しかし、オスって朽木に潜るんだ。朽木のムシだから当たり前だが、一所懸命に穴掘ってるところをみると意外な気がする。で・・・なんのために穴掘るの?キミらは?

成虫がたくさん羽化してくるけど、ほとんどがオス。ちょっお前ら。専門書では日本ではオスが出ないとかいてあるんだから、もう少し遠慮しろといいたくなる。先達の飼育条件とどこが違うのか分からんが、やはり、常時30℃を超える暑い部屋という貧乏な環境が重要な要因と考える。
Micromalthus_abnormal_2 ついには奇形のオスも現れた。前胸のあたりから、さやばねが1枚余分に出ている。
ハネ3対ムシの古代昆虫パレオディクティオプテラっぽくって好きだが、発育異常に過ぎないと考える。

ところで、オス1個体を使用して飛翔実験をやってみたが、落下途中で少し螺旋を描いたかと思うと視界から消えて、真下に敷いた紙には着地せずにどこかへいってしまった。バミューダ・トライアングルな結果の胡散臭い実験だが、確かにチビナガヒラタムシは飛翔するようである。