泉州は、だんじりで超もりあがり中。買い物に出かけるのも苦労するというわけで、家の中で古いツメダニの文献を少し読んだ。
ダニ類の形態を観察してると、同じ星の生き物とは思えない違和感を覚えるものがいくつかある。ツメダニ科の体毛にも、なじめない形状パターンがいくつかあって、そのひとつに不規則なカビのごとき胴背毛なんてのがある(下の写真の矢印位置が毛の根元)。
「ヒエログリフ(神聖文字)のような剛毛」などと、Volgin先生は、分類検索で表現されているが、少なくとも私の目にはヒエログリフに全然みえない(もしかしたら「ワケワカランかたちの毛」という意味?)。アラベスクとか唐草模様というあたりが少しかすっているかもしれない。コケムシの群体にもこんなのがいたような気がする。
メクセケレスでは、この神聖文字が後部背板上に何対あるかということが、重要な分類のカギだとVolgin先生は考えておられるのだけれど、私はあんまり当てにならない形態だと考えている。飼育個体群をみていると異常な個体が結構な頻度で見られるのだ。
つついても壊れにくい口吻の背面の微小なパターンなどの形態のほうが、安定した区別点として利用できると思う。
胴背毛の長さとか数などは、プレパラート作るとき変になりやすい部位なので、重要なキーとして扱うのは勘弁してほしいと思う。
それにしても、若虫のときは普通っぽい毛なのに、成虫になるとモヨモヨした形になる神聖文字の毛ってのは、いったい何の役割があるのだろう?