奇妙なカメムシがいる。コガシラコバネナガカメムシという種類。
どんな種類であろうともムシはそれぞれに奇妙なので、わざわざ奇妙という言葉を使うのはオカシイけど、やっぱり奇妙なカメムシといいたい。しかも、このあたり(関西)ではみかけねーヨソモノという感じにみえる。そのはずでヤポニクスという純国産ぽい種小名がついてはいるが外来種らしい。
神戸市北区有野中町付近で、去年の春に建物の周りで死骸が拾われていたが、今年も、同じ場所で同じ人間が死骸を拾って嬉しそうにしているのを目撃した。
このカメムシは、アズマネザサの茎の中で亜社会性というよくわからない社会を形成して、暮らしているらしい・・・という情報をものすごく詳しく解説しているサイトで仕入れていたが、このムシが拾われている場所の周辺は住宅や倉庫、工場などが並ぶ場所で少なくとも半径200m圏内に、タケやササなんかみあたらない。そこで、5月14日に1kmほど離れた場所の竹やぶにいってみた。驚いたことに発育不良のマダケと思われるタケの茎の中から成虫がみつかった。中国ではモウソウチクにいるらしいが、タケでもササでも何でもいいのかもしれない。
このムシについて、私が最も気になっている点は、カメムシの巣の入り口にある穴である。生きたタケの茎は硬く、知っている限りのタケの害虫(コウチュウ類)も乾燥材でないと食害しない。中国ではヤガの一種ということだが、日本でもたぶん同じようにガの一種が、穴を開けているのかもしれない。タケが成長する途中で穿孔されたと思われる痕跡が、穴のまわりにみられた。痕跡というのは、穴の上下方向に伸びて節に至る細い線のことで、こんな線はタケノコの段階でないと形成されないだろう。となるとタケノコを加害するガの仲間のどれかという線がイチバン怪しいということになる。マダケにしてはヤケに細いというのも、タケノコ期に虫害に遭っているせいかもしれない。
そういえば、何年もタケノコ堀りしてないなとぼんやり考えていたが、そのうちに、竹やぶの端でしゃがみこんでいるオッサンといえばどうみてもタケノコ泥棒やん!ということに気がついてその場を退散した。
コガシラコバネナガカメムシの体表には、ヒポプス(移動若虫)っぽいダニが結構付着していた。成虫が潜んでいる茎の中には、コナダニ亜目の一種のダニがたくさんみられたが、私にはこちらのほうが面白そうな研究素材という気がする。