河内平野を流れる小さな川で、サカナの観察をしながら歩いた。釣りに関しては、当社一の専門家に同行してもらい、様々な解説をしていただいた。
異常にでっかいコイと思ってた個体は「あれはソウギョですわ。」と訂正されたり、コイが水面で騒いで産卵行動をしているのをみて、「スポーニングやな」と知らない用語で解説されたりしながら、川の中の生き物たちをみていた。最近の釣り好き達はカタカナ言葉をよく使うので、会話をしててもオッサンには理解できないことが多い。
これは、趣味の世界ならどの分野でもあって、私も学名を省略して他のムシ屋と語り合ったり、エリトラだのテネラルだのと何語かワカランことをしゃべりまくっているので人のことはいえない。もし、ムシ屋版ジャーゴンファイル(隠語風味の用語集)ってものをつくったら、結構ブ厚いものになりそうな気もする。あまり欲しいとは思わないけど。
今の時期には、川の護岸にガガンボがかなりたくさんとまっている。このガガンボは大部分が同じ種類で、よくみると独特の顔つきをしている。口器が長くなっていて、なんだかアカイエカを3倍くらいに拡大したみたいな感じのムシだ。
手持ちの属までの絵解き検索で調べて、ヒメガガンボの一種Limonia (Geranomyia) と考えた。口がこんなにトンガッててもヒメガガンボとは・・・。分類が苦手な目はいろいろあるが、双翅目は特にキツイ。
そういえば、このヒメガガンボは以前に相談事例があった。蚊に似ているので知らない人はビビるのだろう。口器が長いのは花に集まって蜜を吸ったりするためのようで、血をすったりはしない。でも、ドブ川の成虫を眺めていると、川面に近いコンクリートの表面を行ったり来たりしてるだけで、長い口を役立てているようなところは観察できなかった。
どんなムシでも分からないことが多過ぎる。ほんの少し何かがわかっても、標本と文献から倍返しのようにナゾが吹き出てくるというパターンに、ここのところはまりがち。