闇の中を急ぎ足。夜9時も過ぎると住宅街は静かだ。
とある住宅の前にさしかかると、小学校低学年の女の子が玄関先で何やらしているところだった。
知ってる子なので「やあ」とか軽く挨拶して通り過ぎると、「なあなあ」と話しかけてきた。歩調を緩めずに手を振りながら遠ざかろうとした(どうせまたポケモンのシールをみせよーってんでしょ・・・)。
すると、「これってセアカゴケグモ?」というか細い声が、相当行き過ぎてから聞こえてきたので、小さく毒づきながら引き返した。
子供が指さす玄関ポーチの隅に、ポケットから取り出したLED懐中電灯の明かりを向けた。白い光の円の中にセアカゴケグモのメスの亜成体がみえた。女の子に踏んで殺すように指示するが、フルフルと嫌がるので私が踏みつぶした。「スゴイなあ。」と感心するのでなんだと思えば、懐中電灯を指差してきた。「あっかるいなー!」としきりに感心していた。
そんなに感心されると、こっちもなんだか闇を退ける魔法でも使ったような得意な気になってくる。
ここのところ、仕事でもLED照明についてかかわることが出てきた。
食品工場や店舗の低誘虫性の照明器具のプランニングで、LED球も検討対象になってきたのだ。
昨年から話題にはなっていたが、死ぬほど高価なのと、いうほど明るくないやんけ的な評価で、実用にはまだまだでしょうと思っていた。でも、この夏から発表された各大手電機メーカーのラインナップには、かなりLEDが進化した状況がうかがえる。
特に、従来の器具の口金に使えるビームランプ型の機種には、ものすごく注目している。ビームランプやハロゲンのレフランプは熱くなるので、近紫外線カットフィルムなどが使用できず、防虫対策上は困った照明器具なのだ。しかも、使用されている場所はとても多い。
直管蛍光管型LED球も、大手メーカーから出ていないが、面白そうな製品だ。割れないことと省エネが売り。紫外線照射LEDもあってライトトラップに使えそうな気がする。
一年中光りっぱなしの捕虫器にこそ、省エネの電球はふさわしいだろう。
でも、虫がどの程度誘引されるのかという点は、実績がまるでないのでかなり不安。
虫を強力に誘引してくれれば、革命的に軽量な山岳用の昆虫採集ライトトラップも作れそうだ。って最終目的はやはりそこか・・・・。
個人的には紫外線LEDの専門メーカーの新型LEDを使用した、従来のライトトラップに装着可能な直管蛍光灯型LEDランプの登場を熱望してます。でも、仕事的には虫が飛来しないLED照明の存在もありがたいのですが・・・。
紫外線照射LEDは出ている波長の幅が狭すぎてライトには不向きではないかと思っています(これもちゃんと調べず適当言ってます)。
蛍光物質を使わず3原色を混ぜた白色LEDをライトトラップに使ってみたことはあるのですが、虫が全然寄ってこなくて悲しくなりました。虫を寄せたくない用途にはいいのでしょうが。