害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

チビナガヒラタムシの探し方

2008-07-06 20:19:11 | 自然観察

昆虫採集が命な友人の一人から、仕事中に電話がかかってきた。
「チビナガヒラタムシ採集してみたいけど、どこにいてるん?」
「なんで、そんなもんいるねん?死ぬほどメクラチビゴミムシ採りまくってる人が、必要とするムシとは思えんが。」
「図鑑の一番目の図に載っているのに、採集したことがないから。」
なるほど、十分な理由である。私も、ゼンゼン採集したことがない種ばかりが載っている図鑑のページを眺めていると、それが興味をひかれないグループのムシであっても妙に悔しい気分になる。

チビナガヒラタムシの幼虫が入っている材についてのメモ。
1)褐色腐朽菌が入り込んでいる木材。マツ、スギ、ベイツガなどの針葉樹が好み。乾燥気味の材でみつかりやすい。野ざらしの古い板塀などをみつけたらチャンスである。
2)素手でほぐすことができる柔らかい部位にいる。幼虫が小さいので見逃しやすいが、慣れてくると簡単。
3)ボロボロに腐って何の木かわからないような街路樹の切株でも採集できる。日本最古の幼虫標本は、御堂筋のイチョウからみつかったモノだそうだ。
4)古い文化住宅が集中している地域。路地を占拠している鉢植えの台で使用されている腐った木の板。
5)古い木造住宅の解体現場。外壁から浸み込む雨水で腐朽した下地板など。こういった現場から、山の中に運ばれて不法投棄された材からもみつかる。で、山の中に「ゴミ捨てるな」と書かれた看板の杭のテッペンあたりでもみつかることがある。

文化住宅周辺はオススメなポイントで、ステテコに腹巻したコワイ感じのオッチャンがサツキに水やりしているトコロなどで、腐った台の端っこをもらうとよいだろう。チビナガヒラタムシという種は、どこか懐かしい古い場所でよくみつかるようにおもう。たぶん侵入種だとしても、ずいぶん昔に日本にはいりこんだのだろう。

本年最初の成虫を、きのう飼育容器でみつけた。和泉市三林町の個体で2♂、1♀。いつも忙しい時期に羽化してくるので、まともに観察できないがチョット撮影してみた。動画はオスの成虫。

オスには、腹端からチョロンと交尾器の一部がみえるという特徴がある。オスの交尾器をみれば、最初はツツシンクイムシ科Lymexylidaeに加えられていたことにナットクする。少なくともナガヒラタムシTenomerga mucida のオス交尾器とは似てない。Micromalthus_male