医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

後期高齢者医療制度を廃止し、老人医療無料制度を復活させよう!

2008年10月01日 | 後期高齢者医療制度

           後期高齢者医療制度を廃止し、
                        
老人医療無料制度を復活させよう!

  福祉国家破壊の攻撃
  1980年代に開始された、第2臨調・行政改革攻撃は、1、福祉国家の担い手である公務員に対する攻撃、2、国(公)営企業の民(私)営化攻撃、3、福祉施策の象徴である老人医療への攻撃、と整理することができます。
  すなわち、この国の福祉国家政策を180度転換する、福祉国家を破壊するという路線であったといえます。そして、マスメディアを臨調側に取り込み、デマ宣伝を展開しながら、大々的にかつ執拗に、この攻撃は展開されてきました。さらに、この路線は中曽根・橋本・小泉政権へと継承され、現在なおその攻撃が継続しているのです。
  小泉の「自民党をぶっ壊す」というフレーズは、福祉国家を支えてきた古い自民党を破壊するということであり、グローバルに世界展開をする多国籍独占資本の利益のために、奉仕することができない自民党であれば、それを破壊するという決意表明でした。
  そして、アメリカ政府の「日本政府に対する年次改革要望書」に盛り込まれている内容をそのまま、小泉構造改革・骨太の方針として強引に推し進めたのです。
  構造改革も規制緩和も、郵政民営化も医療制度改革も、その「年次改革要望書」で毎年要求されていたことであり、アメリカを本拠地とする保険金融資本・化学製薬資本などの利権拡大・利潤増大のための改革でした。
  それらは、直接的にはアメリカを本拠地とする多国籍独占資本の要求ですが、たとえ日本やどの国を本拠地としていたとしても、いずれの多国籍独占資本にとっても、共通の利権拡大・利潤増大につながるものでした。

  現在なお、攻撃は続いている
 
公務員攻撃は、汚染米流通問題・年金記録問題・居酒屋タクシー・職員厚遇問題など、現在なお、手を変え品を変え執拗に続けられています。
  民(私)営化攻撃は、国鉄分割民営化に始まり、三公社五現業と呼ばれたすべての国営企業の民営化が進められ、郵政民営化で完了しました。
  また、国立大学などの独立行政法人化や、地方における様々な形での民(私)営化が進行しています。
  老人医療も、いわれなきデマ宣伝を展開しながら、老人保健法の制定で老人医療無料化をつぶし、その25年の歴史の中で、老人医療の改悪に次ぐ改悪をすすめ、それを梃子に福祉医療・公費医療、さらには一般の医療制度の改悪を進めてきました。
  そして、次なる改悪遂行のための「高齢者医療確保法」なるものが、強行成立させられたのです。その法に基づき2008年4月にスタートしたのが、後期高齢者医療制度なのです。

  高齢者医療で反撃の条件が
  公務員攻撃や民(私)営化攻撃に対して、それぞれ抵抗のたたかいは、粘り強く続けられてはいますが、残念ながら大きな取り組みにはなっていません。
  しかし、小泉政権の置き土産である高齢者に対する犠牲転嫁・負担増が襲い掛かり、その激痛が実感される状況に至ったことから、後期高齢者医療制度については、大きな反発や批判が続出しています。
  さらに、昨年の参議院選挙で、与党が大敗北を喫した原因・要因が、この高齢者への負担増に対する怒りであるとの認識から、参議院選挙直後から「凍結・見直し」の声が与党内から上がり、与党プロジェクトチームでの無節操な見直しが繰り返されています。
  にもかかわらず、国民の批判・高齢者の怒りは収まらないことから、厚生労働大臣が「後期高齢者医療制度の廃止」を言及するまでに至っています。
  ともあれ、この高齢者医療制度改悪反対の取り組みの中で、やっと反撃の条件が生れ、大きなたたかいになる状況が出来てきたのではないでしょうか。

  担当大臣が、代替の医療制度創設を言及
  政府与党PTの見直しは、総選挙対策として、当面負担増を高齢者に感じさせないことを企図して、保険料の減額・減免などの経過・救済措置が取られ、また、窓口負担の引き上げを先送りするなどの措置がとられました。
  さらに、批判が集中した保険料の年金天引きについては、口座振替との選択制にし、さらに、世帯主や配偶者の肩代わり納付も可能にするとしました。
  このような、再三にわたっての与党PTによる見直しが上塗りされていますが、国民の批判や高齢者の怒りが収まる状況にはありません。
  そうしたとから、9月20日厚生労働大臣が、「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に代わる新しい医療制度を創設するとの方針を明らかにした」と伝えられ、そして、9月23日自民党総裁・公明党代表との政権協議の中で、「高齢者の心情に鑑み、前倒しで制度を見直す」との確認がなされたと報道されています。 

  後期高齢者医療廃止から、老人医療無料制度の復活を 
  総選挙対策としての小手先の見直しや、苦し紛れの代替制度の創設、前倒しの制度見直しなどの「目くらまし」に惑わされることなく、後期高齢者医療制度の廃止を、たたかいとらねばなりません。 
  私たちは、老人医療、乳児医療、身障者医療、母子家庭医療の無料化を実現し、健保本人10割給付と扶養家族への付加給付、国保・政管健保での高額療養費の創設など、医療費の無料化へ大きく前進させてきた、1970年代のたたかいを思い起こしながら、この後期高齢者医療制度の廃止を梃子に、老人医療無料制度の再現・復活をさせなければなりません。 
  この高齢者差別の後期高齢者医療廃止のたたかいを通じて、反転・攻勢に転じて、「老人医療の無料化」から、さらに「医療はすべて無料に」と、反撃のたたかいを進めることが重要です。
 
  医療の無料から 介護も無料に! 教育を無料に! 
  小泉構造改革は、周回遅れのサッチャー改革と呼ばれました。その「鉄の女」と称されたイギリスのサッチャー首相でも、国民の医療費が税によって賄われるNHS(ナショナルヘルスサービス)だけは、破壊することはできませんでした。
  ただ、医療予算が大幅削減されたことにより、受診の制約や入院待ちという厳しい状況が作られましたが、急進的で強引なサッチャー改革でも、このNHS・医療費無料制度を破壊することはできなかったのです。
  医療費無料はイギリスをはじめ、北欧などの国々では現実の制度として実施されています。また、先日来日されたアレイダ・ゲバラ医師(チェ・ゲバラの娘さん)の「貧しいキューバでできたことが、豊かな日本でできないはずがありません」との激励にも応えなければなりません。
  そして、それらの国々は教育も無料です。
  新自由主義という、資本主義の「先祖がえり」ともいえる攻撃がかけられていることから、「揺りかごから墓場まで」「大砲かバターか」という、かつてのスローガンを思い起こし、軍事費をなくして、それを福祉に、医療に、教育に、振り向けさせる運動が重要だといえます。
  今こそ、医療を無料に、介護も無料に、教育を無料にと、老いも若きもスクラムを組んで、声を大きくする時機なのではないでしょうか。
                                                                                  2008.09.28 harayosi-2


コメントを投稿