ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

2020-03-15 20:47:56 | 
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディみかこ 新潮社
 優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜのイカした「元・底辺中学校」だった。ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。
 「世界一受けた授業」というテレビ番組でこの本を取り上げているのを見た。作者の息子さんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」「人間はよってたかって、いじめるのが好きなんじゃないと思う。罰するのが好きなんだ」という言葉から、息子さんは感受性が豊かに育ったんだろうと思った。しかし、先に読んでいた友達に感想を聞くと「息子より母ちゃんが、スゴイよ。肝っ玉母さん!」という。まさに。
 英国の教育現場の現実や日本での作者の息子への視線やら問題提議をしながらも、読みやすく、考えさせられる内容。英国で学食で万引きをしたり、制服が買えない子もいる現実を知り、人種差別に怒るが、作者の息子は悩みつつも軽やかに複雑な日常をこえていく。その爽やかで力強い息子さんの成長が頼もしい。
 もちろん、作者の「自分たちが正しいと集団で思い込むと人間はクレイジーになる」「(多様性は大変でめんどくさいが、)楽ばっかりしていると無知になるから」「心配という名の偏見」という考え方もいい。
 他人に自分の感情を伝えられない子は、他人の感情を読み取ることが難しいらしい。問題行動の多い子は、そのコミュニケーションの発育が不十分なことが多い。そのため、感情を表現する演劇が有効という。なるほどと思った。
 しかし、レイシスト、ポリティカルコレクトネスとか注釈もなく普通に書かれていて「?」となった。知らないのは私だけ?
 
コメント
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