ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『人魚の石』

2018-05-09 20:26:51 | 
『人魚の家』 田辺青蛙 徳間書店
 小さい刻の愉しい記憶をもう一度味わうために、私は誰もいない寺に帰ってきた。私が池で見つけたのは、真っ白な自称人魚の男『うお太郎』。人魚にも見えないが、人間とも思えない不思議な生物だった。うお太郎は「この寺の周辺には奇妙な石が埋っており、私にはそれを見つける力がある。石には記憶を忘れさせたり、幽霊を閉じ込めたりする力が宿っている。早く見つけろ」と言うのだが……。
 不思議な話。後半になり、おぼろげに真相がわかってくるが、石のせいで皆がわけわからなくなってきたように、読んでいる私もなにがなんだか わからなくなる。「どういうこと?」と前に戻って読み返すうちに、うっすらと気味が悪くなっていく。「人魚は禍を呼ぶから気をつけて」という言葉が段々と効いてくる。ラストは、幻想的だが、ザラリとした感触を残す。この感じ、嫌いではない。
コメント
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