『でっちあげ』

　台風、すごかった。仕事帰り、小止みだったのだが、降り始めたので傘をさしたら、突風！一瞬で傘が裏返り、骨が折れてクシャクシャに。それから、ひどい降りになり、家に帰りつく頃にはビショビショだった。

『でっちあげ　福岡「殺人教師」事件の真相』　福田ますみ　新潮文庫
　2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、担当教諭は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ。正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった。第六回新潮ドキュメント賞受賞。
　新聞で読んだ記憶ある。耳をひっぱってミッキーマウス。鼻をつまんで振り回してピノキオ。こんな体罰をする教師が本当にいるの？被害児童はかわいそうだと思った。
　しかし、こんな後日談があったとは。裁判では、児童の親の証言の数々が次々と疑問視されるのだ。ぐいぐいと引き込まれて読んだ。
　マスコミが教師を血祭りにあげられるところは、『桶川ストーカー殺人事件－遺言』（ちなみに、この本は警察とマスコミの嘘を暴いて被害者の尊厳を取り戻すところが圧巻で、絶対に読むべき。）を思い出した。マスコミは偏見を持たずに取材するべきだと思うし、流しっぱなしではなく検証することも必要だし、その後の情報もきちんと報道するべきだと思う。
　でも、児童の親はどうして虚言を吐くようになったのかを知りたいところだ。教師も被害者だが、児童も振り回された被害者だ。児童が幸せに育っていることを祈りたい。