ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『せなか町からずっと』『さかさ町』

2016-09-16 22:17:50 | 
 何日か前、電車に乗ると、2、3歳の男の子のぐずっている声がしていた。「どうしたのかな」と思っていたら、男性の声が。叱るのかと思って少しピリつく。「いやあ、子どもはぐずることがあるのよ、怒らんといて」と思う。
 すると、男性は「お母さんの言うこときかなあかんで。サンタのおじさんは見てるで」と言って電車から降りて行った。子どものぐずり声がピタリと止む。
 子どもがサンタさんと聞いて、必死に我慢している姿が目にうかび、思わずニッコリとしてしまった。車内にもクスクス笑いが広がった。


『せなか町からずっと』
 斉藤倫 福音館書店
 大きなエイが気を失い海を漂っているうちに、エイの背中を島と勘違いして人が住みつくようになった。その背中で起こった物語。
 やさしく不思議なお話。私は「ひねくれカーテン」が好き。風がふいたら石のように動かず、風がなければそよぐカーテン。ひねくれカーテンが風と反対の動きをする理由を知った時、涙が出そうになった。どう扱えばいいのかわからない楽器「麦の光」の話も美しい。
 junaidaさんの絵がいい。温かみがあり、きれいな絵でお話にあっている。

『さかさ町』 F.エマーソン・アンドリュース作 ルイス・スロボトキン絵 小宮由訳 岩波書店
 リッキーとアンは、おじいちゃんの家にむかう汽車の旅のとちゅう、思いがけず、見知らぬ町で一泊することになる。そこは〈さかさ町〉。建物も看板も上下ひっくりかえっていて、ホテルや病院、学校での常識も、野球の試合や買い物のルールも、いちいちふつうとは反対なのだ。課題図書。
 さかさ町では、家は逆さま。子どもが働き、年寄りは遊ぶ。病院の薬はおいしいし、野球は点が少ない方が勝ち。ワハハと笑っているうちにいろいろ考えさせられることになっていく。
 買い物をすると商品だけでなく、商品の代金がもらえる。いいものをつくることが物を作る人の喜びだから、物をおいてもらうために店にお金を払うというのだ。学校では忘れることを学ぶ。人からされた嫌なことを忘れることができたら、世の中の口げんかや争いが少なくなるから。と皮肉がきいて大人が読んでもおもしろかった。
コメント
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