ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『ウェデイングドレス』『ツバキ文具店』

2016-09-02 21:25:04 | 
『ウェディングドレス』 玉岡かおる 幻冬舎
 世界中の女性に愛されるウエディングドレスを制作し、国際的なファッションデザイナーとして活躍する佐倉玖美。草分け的な婚礼貸衣装業を展開し、結婚式のひとつのスタイルを築いた服飾研究家の田代窓子。女子高の同級生だった二人が、太平洋戦争、戦後の日本社会での女性が働くことへの偏見、封建的な因習を乗り越え、この国にブライダルビジネスを根付かせていく。
 押し寄せる苦難にもめげず、立ち上り前に進む女性を描く。二人分の人生を描くのに、この本は薄すぎると思う。もっと書き込めば、もっと感動巨編になったのではと思う。
 「(うまくいかずに)つかんだはずの虹がきえてしもたようなむなしさがあったけど、虹は光のあるところにまた現れる。光は、人間の活力と意志や。打たれて傷ついて泣いたからこそ、涙を反射させて、虹は光るんや」力強い言葉だ。
 「お幸せに。あれはあたしのおまじないよ。言霊って、ほんとうにあるのよ。心をこめれば言ったとおりになる。だから幸せを誓う結婚式はしなきゃだめだし、花嫁衣装も着なきゃだめ。セレモニーって、そういうものよ」という言葉に、ウン十年も昔のことを思い出した。私が、結婚前に「結婚式の準備がめんどくさい」とこぼしていたら、職場の先輩が言った。「めんどくさいことをして添い遂げる覚悟をするのよ。二人が幸せになる証人に出席者になってもらうのよ」 今なら、いろいろと思うところがあるが、その話を聞いた時は素直に「そっか、がんばろ」と思った若い私であった。
 本の中に、伊勢神宮や京都が空襲をうけたことが書いてあり驚いた。歴史的建造物が多いから、京都は空襲を免れたと聞いたことがあったから。

『ツバキ文具店』 小川糸 幻冬舎
 家族、親友、恋人⋯⋯。大切に想ってっているからこそ、伝わらない、伝えられなかった想いがある。鎌倉の山のふもとにある、小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。和食屋のお品書きから、祝儀袋の名前書き、離婚の報告、絶縁状、借金のお断りの手紙まで。文字に関すること、なんでも承り〼
 鳩子ことポッポちゃんが、依頼主になりかわって、文面から、便せん、インクまでこだわって代書し、回りの人と縁をつないでいく。代書の文面から、文字から物語が立ち上ってくる。私は、借金の断り状とQPちゃんのお手紙の字が好き。
 依頼主に出す飲み物、あちこちに出てくる食べ物がおいしそうなのもいい。
 こんな優しい話、大好き。人生ってままならないものだけど、それも込みで全部抱きしめるような温かさがある。この本を読むと丁寧に毎日を暮らしていこうと思う。
 
コメント
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