生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

八ヶ岳南麓の20年前と今 秋の七草(H21)

2020年10月23日 08時37分09秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今
寒露(10月8日から22日ころまで)
秋の七草(H21)



 秋の七草は、万葉集の山上億良の歌に始まるといわれている。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花、萩の花 尾花葛花 撫子の花、女郎花 また藤袴 朝貌の花。
 
 春の七草は、七草がゆに象徴される食を楽しむものであり、秋の七草は見ることを楽しむものとも言われる。
「尾花」とは、ススキの穂が出ている時の呼び名だそうで、動物の尻尾のイメージとか。
この花々は、風のために庭で倒れたものを集めた。ホトトギスは東京ではとっくに終っているが、こちらでは今が盛りだ。東京よりも葉の茂り方が良い。
 昨年は、烏山の庭に瑠璃タテハが卵を産んでいった。瑠璃タテハの幼虫は食欲旺盛で、一匹で2本分の葉を平らげてしまう。この幼虫はこの葉っぱしか食べないので、食べ尽くすと大変なことになる。昨年は危機だった。八ヶ岳では、葉は見事に茂るのだが、瑠璃タテハはついぞ見かけたことがない。第一、あの超グロテスクなとげとげの芋虫はこの辺りの景色には似合わないと思う。



 あれから十数年、ルリタテハは一向に現れないが、ホトトギスは健在で、今年も世田谷の我が家の庭で咲き誇っている。以前に比べて、開花時期は少し遅くなっているようだ。




メタエンジニアの眼シリーズ(182)三度目の日本

2020年10月14日 11時12分34秒 | メタエンジニアの眼
三度目の日本
書籍名;「団塊の後」[2017]
著者;堺屋太一 発行所;毎日新聞出版
発行日;2017.4.30
初回作成日;R2.10.13 最終改定日;
引用先;メタエンジニアリング



 このシリーズは文化の文明化考える際に参考にした著作の紹介です。『 』内は引用部分です

 だいぶ前に読んだ本なのだが、菅総理の所信表明演説を聞いて、俄かに思い出した。堺屋太一の著書は随分と読ませてもらった。中でも「東大講義録」は、内部経済の外部化を阻止するのが、通産官僚の第1の仕事と書いてあり、大学院の授業で毎年使わせてもらうことにしている。
 読み返してみると、この著書は彼の遺言のように思えてきたので、改めてまとめてみることにした。
副題の「三度目の日本」は、明治維新と太平洋戦争後の日本に続けて、三度目の日本を本気で作らなければならないという、彼の年来の主張を、新総理になった人の口を通じて、細かく述べている。
 
冒頭は、「身の丈の国」と称して、総理と数人の取り巻きの「新春施政講話」で始まる。本全体を通しては、この時の話題を中心に、約30人の登場人物が、色々な意見を言い合う。つまりアメリカ大統領選ではやりのデイベートになっている。経済産業省の官僚がメインだが、大阪都知事(昨日、再投票が始まったが、新聞記事では、大阪市以外からの否定的なアンケート結果が報じられていた)、TVと新聞記者、財務大臣などになっている。
 
この新総理大臣は、「均衡財政派の若き旗手」として名を挙げて、自民から独立した小政党から選ばれた、かつての細川総理を思わせる。
 第1の日本は、西南戦争後の青春期で、第1次産業革命を達成して、軍事大国になった。しかし、第1次世界大戦後に世界が大きく変革したのに、日本は置いてきぼりになった。『世界の変化には学ばなかったんです』(pp.32)とある。
『重化学工業を興したり、アジアに進出して市場を広げたりしたけれど、モトのシステム改革はできなかったんです。』(pp.32)というわけだ。
 
つまり、明治の延長のままで、官僚主導で全てが動いていた、というわけである。『権限を分け合う官僚の無責任定見による失敗やったんですね。』(pp.33)この間に欧米も失敗をしたが、それは独裁者の失敗だったので、失敗の原因が、直ちに明らかになったが、官僚機構の失敗は責任の所在すら不明確のままになったということなのだろう。
 敗戦後の日本も、基本的には同じ道を辿っている。『モトを変えなんとあかんというてます。徳永総理の「思い切った改革」程度ではあかんと・・・。』(pp.34)著者が、特に言いたいことは大阪弁になっているのが、彼らしい。
 戦後の日本は、団塊の後でも『3Yない』の世の中と断言している。『欲ない、夢ない、やる気ないの3Yないですね。』(pp.35)つまり、官僚主導のままでは、安全・安心・安定ばかりが行き過ぎるというわけだ。
 そこから、大阪都知事が発言をする。『三度目の日本を造るのには、日本の中で新しいやり様をはじめて新しい仕組みを創り、新しい倫理を育てないとあきません。』(pp.36)
 
「新しい倫理」については、具体的な記述が見当たらない。しかし、私は常々「日本人の伝統的な倫理」が、いかにも現代のグローバリズムに合わないように感じている。それは「和をもって貴しとする、から発する、すべての議論を曖昧なままにして先送りするのが、和の基」という倫理だ。
 そこから、色々な手段が色々な人の口から述べられる。主たるものは、「第4次産業革命を徹底して遂行しなければならない、規格大量生産に縛られていては、世界文明に遅れる、というもので、最後には「文明史観」に行き着く。
 『文明の流れは変わっていました。十年前、アメリカやドイツは、・・・』(pp.263)
 
最後に、このTV中継は徳永総理の次の発言で終わっている。
 『「私が、日本を二都二道八州に分け、それぞれが独自の発想と手法で理想を追求できる体制と実カを与える必要があると考えるのは、このような思考からであります。過ぎし規格大量生童の時代には、全国民の純粋さ、つまり統一された価値観が役に立ちました。
だがソフトウェアは、四十年も前のことです。多種多様な製品を知時間で安価に提供する第4次産業革命の時代には、国も多様性と変化可能な柔軟性を持つ必要があります。常に異なる仕組みと仕掛けからの挑戦を意織する『柔らかな仕組み』が良いのではないか。みんなで考えよう、当たった者の仕組みの真似をしよう、そしたら日本は必ず先頭に立てる―私はそう考えます」
徳永好伸総理大臣は、そう呼び掛けで高い位置にあるテレビカメラを脱んだ。
「国民のみなさん、議員のみなさん、そして官僚のみなさん。この天国、現状の日本から飛び出しましょう。この天国は、時と共に冷えるぬるま湯なのです。是非ともそのことを御理解頂き、今国会で私ども徳永内閣の提案した「三面改革」に御賛同頂きたいものです」
徳永総理は、長い演説をそう結んだ。 一瞬、議場は静まり返り、やがて大きな拍手に包まれた。』(pp.264-265)
 
かなりの理想論で、日本では実現しそうにない。しかし、超現実主義者の著者の言葉なので、それなりの価値はあると思われる。三度目の日本のために、菅内閣は何ができるのだろうか。デジタル化は、目標値さえ見えてこない。

八ヶ岳南麓の20年前と今 蟄虫坏戸

2020年10月08日 13時57分26秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今
蟄虫坏戸 (秋分の次候で、9月28日から10月2日まで)

山ぼうしの実(H19)



 この木の実を初めて見たのは、女神湖のチャペルの前だった。
その時に庭木にと思いホテルの人に聞いたが 木の名前は分からなかった。苗を購入して庭に植えてからの花の付きは非常によく、そして実もびっしりと付く。味はお勧めできないが、一つ二つはかじることができる。マンゴーの味がすると云われている。
 果実酒にも向くそうだが,まだ試したことはない。
 花が終わると、小さな青い実が直ぐについて、だんだん大きくなり赤く色づく様子はベランダから良く見える。そして 秋の紅葉と、ほぼ一年中楽しむことができる。実が落ちたあたりからは、芽生えが幾本も出ている。数本を植木鉢に移して東京にも持ってきた。鉢植えの大きさに揃えて並べたら、見事な塀際の飾りになるに違いないと思う。

 あれから15年、この木はすっかり衰えたので抜いてしまった。実は、この木の子や孫が庭中にはびこっている。つまり、繁殖力が抜群なのだ。しかし、子と孫はちっとも実を付けない。
 この木の並木は、八ヶ岳南麓ではよく見かける。一見するとハナミズキとそっくりで、近づかないと葉っぱのわずかな違いが分からない。

 処で、「蟄虫坏戸」とは、「虫が土中に掘った穴をふさぐ」とあるのだが、この虫は何であろうか。今年の夏は。蝉が異常発生していた。我が家の近くの芦花公園の木の周りには、無数の穴があいていた。しかし、実際の意味は、寒くなったので、虫たちは穴を掘ってもぐるの意味だそうだ。そういえば、数年前に我が家のライラックの木に数十匹集まったカブトムシとクワガタの幼虫はどうしているのだろうか。

八ヶ岳南麓の20年前と今、秋分(9月23日から10月7日ころまで)

2020年10月06日 10時01分44秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今
秋分(9月23日から10月7日ころまで)

コスモスとレンズ雲(平成19年)
 
 八ヶ岳に穏やかに西風が吹く夏から秋にかけて、時々この雲を見かける。このように親子のレンズになることもある。動きが早いのでシャッターチャンスを見逃すこともしばしばで、見つけた時にコスモス畑(車で10分ほど山を下って、東の空が十分に見えるところ)まで辿りつくのは難しい。



 山のてっぺんにできる雲は、傘雲だが、同じものらしい。山から離れた場所で発生するものは、山岳波が原因とある。風が山を越えた際に、その上下運動が波となって、減衰しながらも形を保ったまま風下側に流れ、定在波となって山と同じ作用を及ぼすために同じ形にできるようだ。山の高さ付近を伝わる山岳波の振動が上空の気流にも影響して、上空に別のレンズ雲が現れ、時に二重のレンズ雲になることもあり、この上空の雲だけを指す呼称として「レンズ雲」を用いる場合もあるとか。上空の風が強いときに発生することが多い。多くの場合、風が強く吹く前兆、あるいは天候が悪化する前兆だとされるが、ここではそんな事はなく、晴天が続くことは多い。
 
 20年後の今、我が家の庭のコスモスは、すっかりブルーベリーにやられてしまったが、ここのコスモスはまだ健在だ。撮影場所は、通商「トマト屋さん」の駐車場で、この店のトマトはなんと言ってもすべて朝取りで、量も豊富で値段が安い。朝8時には半分ほど売れてしまうので、先日も、帰京の時刻を早めて8時前に出発して、お土産用にかなりの量を買ってしまった。あいにく、八ヶ岳にはかなりの雲がかかっており、レンズ雲は見られなかった。

玄鳥去(白露の末候で、9月18日から22日まで)

2020年10月01日 15時26分02秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
玄鳥去 燕が南へ帰ってゆく(白露の末候で、9月18日から22日まで)

白いアイスキャンディー(H19)



これは、キンポウゲ科、サラシナショウマ属、和名は晒菜升麻という薬草の一種。
春先に、まだ花茎が伸びないころの若葉を、1~2日間小川の清流などで良く晒してアク抜きをしてから茹でて、おひたしなどの山菜料理にするところから「晒し菜升麻」という和名がついたという。まだ、試したことはない。

秋に根茎を掘り取り、水洗いして、ひげ根を取り天日で乾燥をすると生薬となる。これを升麻と云い、漢方処方で発汗、解熱、解毒薬として配合されるそうだ。 これも、勿論試していない。

家の東斜面は山野草ガーデンと呼ぶことにしているが、わざわざ苗を移植しなくても、風や鳥が次々に種を運んでくれる。この草は、建築時にお隣さんとの境に生えていたものだが、毎年いつの間にか伸びて花を咲かせる。山野草は、一旦根付くと本当に生命力が強い、だから自然界の中で生き残っているのかも知れない。なよなよせずに、まっすぐに伸びるので、見ていて気持ちがよい。

しかし20年たった今、この姿を見ることはない。平均気温が変わってきたためなのかもしれない。今年の夏は、標高1130mのこの地でもことのほか暑かった。定住のお隣さんは、とうとうクーラーを入れたようだ。