生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(36) 半夏生

2022年07月08日 07時59分51秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(36)         
テーマ;生物の本能
場所;東京の庭 月日;2022.7.6
作成日;2022.7.7 
                                               
TITLE: メジロの子育て

半夏生(夏至の末候で、7月2日から6日まで)

 半夏生(はんげしょう)は七十二候の1つで、Wikipediaには次のようにある。
『半夏(烏柄杓)という薬草が生える頃。一説に、ハンゲショウ(カタシログサ)という草の葉が名前の通り半分白くなって化粧しているようになる頃とも。様々な地方名があり、ハゲ、ハンデ、ハゲン、ハゲッショウなどと呼ばれる。
「半夏生」(はんげしょうず)から作られた暦日で、かつては夏至から数えて11日目としていたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている。毎年7月2日頃にあたる。』

 半夏と同じころに生える別名マムシ草と呼ばれるこの花にはハエ科の小昆虫が誘引され、付属体と仏炎苞の間の隙間を通過して花の周囲の部屋に閉じ込められる。雄花ではこの部屋の下部に雄しべから出た花粉が溜まっており、閉じ込められた小昆虫は花粉まみれになる。雄花の仏縁苞の合わせ目の下端には小さな孔状の隙間があって、花粉をつけた小昆虫はここから脱出する。雌花ではこの穴がないため、閉じ込められた小昆虫は外に出られず、いずれ死亡する。この雌花に閉じ込められた小昆虫の中に花粉を体につけて雄花を脱出してきたものがいたときに受粉が成立する。



 八ヶ岳の我が家の山野草ガーデンの中央でぽつんと一本だけ毎年花を咲かせて楽しませてくれる。里山歩きをしていても、林の中でぽつんと一輪だけ咲いている姿をよく見かける。花がその姿を保っている期間も長く、また実がついて、色づくまでの期間も長い。一輪だけで十分に楽しむことのできる独特の植物なのだ。だが、油断大敵、毎年数株が、庭のあちこちに出てくる。これらがすべて、小さな種の中の細胞内の遺伝子によるものなのだから驚かされる。

 代って、動物の方はどうだろうか。東京の我が家の庭には小鳥が良く来る。今年は巣作りをするものが現れた。メジロだ。
 庭のほぼ中央に沙羅双樹の木がある。高さはせいぜい2メートルの小さな木で、毎年よく花が咲く。



そこに、メジロが巣をつくった。暫くすると、雛がかえったようで、頭が見えるようになった。




 雛がかえってから、飛び立つまではほんの数日だったと思う。他の鳥に襲われないように早めの巣立ちのようだ。空になった巣を枝ごと切り離してみた。 
 驚いたのは、細い二股の付け根に、うまく固定されるようになっている。巣の材質は雑多のようだが、繊維がうまく絡んでいて、丈夫だ。中は、卵の殻はおろか、小鳥の糞も一切なく、きれいだった。
 小鳥の巣作りは、親の動作で覚えられるわけは無く、これら一連の作業は、すべて本能に仕込まれているのだろう。





 動物の本能は、生まれる前に完成するものと思うのだが、人間の場合は、大いに複雑なようだ。他の動物に比べて、脳が異常に発達して大きくなってしまったために、脳が完成する前に、生まれ出なければならなくなった。完成まで待つと,子宮を出られなくなるそうだ。だから、本来は本能だった行動の一部は、生まれてからの環境によって付加される。
 有史以来の人間社会の有様を概観すると、この中途半端な本能は悪いことばかりに影響しているように思われる。例えば、もし倫理的なものが本脳だとするならば、もっと平和な社会になっていたはずである。

立冬(11月7日から21日ころまで)落ち葉;2009と今2021

2021年12月05日 14時40分00秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の20年前と今
立冬(11月7日から21日ころまで)

落ち葉;2009と今2021

 八ヶ岳南麓は、11月に入ると全ての地面が落ち葉に覆われる。道路の上をカラカラと落ち葉が転がる。この辺りは、唐松、赤松、白樺が多い。赤松は常緑樹、唐松は細かい松葉になるので、ともに落ち葉とは言えない。



 一紀荘の庭の落ち葉は、白樺、ヤマボウシ、ジュンベリー、山桜などなど種々雑多になる。芝生の上に散乱した落ち葉を集めるのは骨が折れる。しかし、これをサボると、その下の芝生は一気に元気を失ってしまう。
 落ち葉にも使い道はある。埋め込んで腐葉土にするのが最上だが、焚火をして焼き芋を焼くのも良い。南天とブルーベリーの根元は北風に弱いので、落ち葉をかなり厚く根元に積もらせておくことにしている。一方で、芝生の上の落ち葉は要注意である。以前、固まって芝を覆っていたものを、ひと冬の間ほおっておいたところ、その部分が見事に枯れてしまった。だから、芝生の上の落ち葉は、丹念に取り除かなければならない。いずれにせよ、夏の雑草と、秋の落ち葉はなかなかに大変な代物である。

 数年に一度、烏山の庭に瑠璃タテハが卵を産んでゆく。瑠璃タテハの幼虫は食欲旺盛で、一匹で2本分の葉を平らげてしまう。この幼虫はこの葉っぱしか食べないので、食べ尽くすと大変なことになる。八ヶ岳では、ホトトギスは見事に茂るのだが、瑠璃タテハはついぞ見かけたことがない。第一、あの超グロテスクなとげとげの芋虫はこの辺りの景色には似合わないと思う。



10月24日に、「ルリタテハの蛹」を投稿した。大方の幼虫が消えても、蛹はどこを探しても見当たらない。

 昨日、枯れたルリタテハの葉っぱの下から、あの見事な瑠璃色の羽根が見えたので、慌てて写真を撮った。ルリタテハは、一般に花の蜜は吸わずに、樹液を吸うという。だから、羽化するとすぐにどこかに飛んで行き、他のアゲハ蝶のように、よちよちと、庭を徘徊することがない。


 
 写真の濃度を調整すると、どうやら羽化は無事にできて、羽根も広がり乾きかけたのだが、お尻の部分が蛹の殻から外れなかったようだ。



 つまり、この蛹は、枯れたホトトギスの葉っぱと、全くの擬態になっていたようだ。だとすると、今度、幼虫が現れたときには、蛹を見つけられるかもしれない。


八ヶ岳南麓の20年前と今 ルリタテハの蛹 (2021)

2021年10月24日 07時50分00秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今(2009 – 2020 – 2021)
霜降(10月23日から11月6日ころまで)

ルリタテハの蛹 (2021)
 私が投稿しているブログは、ご親切に1年前の投稿記事をメールで知らせてくれる。最近は、「あれ、こんなことを書いたっけ」と思うことしきりなのだが、この記事もそうだった。

秋の七草(H21からR2)
秋の七草は、万葉集の山上億良の歌に始まるといわれている。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花、萩の花 尾花葛花 撫子の花、女郎花 また藤袴 朝貌の花。
 春の七草は、七草がゆに象徴される食を楽しむものであり、秋の七草は見ることを楽しむものとも言われる。
「尾花」とは、ススキの穂が出ている時の呼び名だそうで、動物の尻尾のイメージとか。



この花々は、風のために庭で倒れたものを集めた。ホトトギスは東京ではとっくに終っているが、こちらでは今が盛りだ。東京よりも葉の茂り方が良い。昨年は、烏山の庭に瑠璃タテハが卵を産んでいった。瑠璃タテハの幼虫は食欲旺盛で、一匹で2本分の葉を平らげてしまう。この幼虫はこの葉っぱしか食べないので、食べ尽くすと大変なことになる。昨年は危機だった。八ヶ岳では、葉は見事に茂るのだが、瑠璃タテハはついぞ見かけたことがない。第一、あの超グロテスクなとげとげの芋虫はこの辺りの景色には似合わないと思う。

 あれから十数年、ルリタテハは一向に現れないが、ホトトギスは健在で、今年も世田谷の我が家の庭で咲き誇っている。以前に比べて、開花時期は少し遅くなっているようだ。



2021年では、
 
 しかし、何故か今年の世田谷の庭には、このルリタテハの幼虫が現れた。十数匹が元気に育っていた。そのことは10月5日に写真を投稿した。そして、現状はこうである。ホトトギスの葉っぱは、見事に食べ尽くされている。しかし、蛹はどこを探しても見当たらない。このことはいつものことで、蛹は全く身動きができないので、とてつもない保護色で、簡単には見つからないのだ。




ルリタテハの幼虫に食べつくされた東側と、全く食べられなかった南側のホトトギスの現状
何故か、昼間陽の当たらない東側だけに集中している。

 今朝の朝刊のコラムに蛹の話が出ていた。都心の大通り沿いの自動扉に蛹がくっついていて、注意を促す張り紙がある、で始まっている。そして『蝶の幼虫と成虫は姿も生息環境も餌も異なり、その中間段階を蛹という。就職活動にせわしい若者も、学生と社会人に挟まれた蛹のような存在である。』(読売新聞2021.10.24)とあった。


八ヶ岳南麓と世田谷の20年前と今 水始涸

2021年10月05日 08時38分11秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の20年前と今
水始涸 (田畑の水を干し始める;秋分の末候で、10月3日から7日まで)

てんなんしょうの実(H19)の今

 秋になると、あのマムシ草の異名のある小昆虫が誘引され部屋に閉じ込められる形の花(仏炎苞)は枯れて朱色や赤の熟した実になる。トウモロコシのように軸の周りに集合してつく液果で赤く、数個ずつ種を持つ。種は鳥が運ぶ。球茎有毒だが、栄養素を多く含むため、アイヌや伊豆七島で食べる工夫がされてきたそうで独特の料理があると云う。また、球茎は漢方の「天南星」としても利用されると云う。
 この花や実は散歩の途中の林の中で見かけることがあるが、なぜか常に一本だけすくっと立っている。群生しているところは未だ見たことがない。
 とにかく、花も実も変わっているので色々なホームページで写真を楽しむことができるのだが、我が家のものは特に立派なようだと思っている。



 20年前に一株だった我が家の実は、毎年増え続けて、今年は庭のあらゆるところに、勝手に生えている。あまり増えると、途中で枯れてしまい、種の保存を保っているようにも思える。
 
 同じ時期の世田谷の庭は、ホトトギスが満開になる。



 この株も、ほおておくとどんどん増えてしまい、庭を占領するので、間引きが必要になる。
 10年ほど前に、ルリタテハの幼虫が、葉っぱを全部食べてしまった年があった。その年には、ルリタテハが数匹庭を舞っていたが、それ以来見かけたことはなかった。今年、突然に20匹弱の幼虫が葉っぱを食い散らかしているのを発見。




 針に毒は無く刺されることはない、とのことだがやはり女性には嫌われている。なぜこの模様なのかと考えると、あることに気が付いた。ごく小さいうちは、花に似ていて、花の周りに居ると、見分けがつかない。つまり保護色になっている。そして、葉っぱを上から順番に食べてゆく。一匹で一株を食べつくすほどの大食いなのだ。
 ルリタテハは、花の蜜は吸わずに、樹液が食料だそうなので、成蝶はめったに見かけることは無い。

 ほおっておくと、どんどん株が増えるもう一つは,シュウメイギクだ。これは、陽当たり次第なのだが、八ヶ岳南麓と世田谷で、ほぼ同じ時期に咲くので、比較するのが面白い。

八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(56) 八ヶ岳南麓と世田谷の庭

2021年09月01日 09時58分04秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(56)   

場所;八ヶ岳南麓と世田谷の庭 
 作成日;2021.8.31                                                

TITLE: 綿柎開 (処暑の初候で、8月23日から27日まで)

 
 「綿のはなしべ開く(綿を包む咢(がく)が開く)」とは、実がはじけて、綿花を摘む時期が来たということ。八ヶ岳南麓の我が家では、遅まきながらブルーベリーの収穫が本格化する。
 小海線の線路は、この辺りでは大体1000メートルの標高を走っている。
線路の上と下では、畑の様子がまるで違う。田んぼやトウモロコシは、線路よりも下に限られている。上には、蕎麦かカボチャなどだが、トマトもかろうじて可能なようだ。我が家の庭でもトマト栽培を一度だけ試みた。ちなみに、我が庵の標高は1130メートル。
 成長は遜色なく、花も十分に付けて、蜂や虫の類が多く、受粉もすこぶる順調で。青い小さな実が沢山付く。しかし、それからが問題で少し天候が悪いと実は一向に大きくならない。そして、徐々に変形をしてそのまま終わりである。しかし、元気の良いいくつかは、どうにか食べられるまでに成長する。うっそうと茂った枝と葉をかき分けて、収穫の貴重な体験ができる。
 日当たりの良いところでは、枝豆ができたし、弦ムラサキは烏山よりも良い葉っぱを収穫することができた。大方のハーブの類も問題はないようだ。



 ところが、今年は事情が大分変っていた。中々花が咲かない、花が咲いても、実が付かない日々が続いた。しかし、8月になって暑い日差しが続くと、どうにか元に戻ったように思う。異常気象とまでは云えないが、20年間に随分と季節の移ろい方が違ったようだ。
 同じ現象が、世田谷の我が家でも起こっていた。例年、沢山の花を咲かせる朝顔が、弦ばかり延びて一向に蕾を付けない期間が、1か月はあっただろうか。しかし、8月末のある日を境に、一気に花が咲き出した。そのことは、例年のグリーンカーテンとして育てるゴーヤも同じことだった。
 


 しかし、花や実をつけ始めると、今度は極端に沢山の開花だ。やはり、植物は動物よりも生命力が強いことを思い知らされる。そうなると、今年の朝顔は、色まで鮮やかに見えてくる。ちなみに、この朝顔は、夕方まですこぶる元気で、青からムラサキ色に代わって、終日通行人の眼を楽しませてくれる。





 綿花で思い出すのは、アメリカの南北戦争だ。南部のプランテーションは綿花の大生産地だったが、工業力はサッパリだった。一方で、当時産業革命が盛んだった、スコットランドのマンチェスターでは綿織物が大量生産されていた。そこで、綿花貿易が始まるのだが、これが北部による搾取になってしまった。そのことが、奴隷解放云々よりも、大きな問題だったと、何かの本で読んだ記憶がある。この時のいさかいが、南部諸州でのトランプの熱狂的な支持者層を支えているのだろうか。

蓮始開(小暑の次候で、7月12日から16日まで)睡蓮とコウホネ

2021年06月27日 14時58分25秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の24節季と72候

蓮始開 (小暑の次候で、7月12日から16日まで)
睡蓮とコウホネ(H20)


 コウホネはスイレン科コウホネ属の水草。スイレン科には8属100種類があるそうで、この仲間の水草は世界のいたる所にあるのだが、このコウホネだけは原産地が日本なのだ。なぜ、日本原産のスイレンがこのような形になったのだろうか。

 名前の由来は、川骨、河骨など根背が人の背骨に似ることであり、ワサビ状の根で地下茎が白くその所々に葉の跡が点々とあり、根茎が人の背骨に似ていて、それを川の骨に例えたところからきているそうだ。「かわほね」から「こうほね」に変化したようだ。
この写真は、井戸尻遺跡の池のもの。近辺の縄文遺跡の中で一番好きな場所だ。
 


(2021)
 ほぼ毎年訪れる「井戸尻考古館」に、昨年はついにいけなかった。最近は、大賀蓮はどこでも見られるようになり、今日は天気予報(東京は台風5号の影響で終日雨)が外れると思い、世田谷の自宅から20km弱の「府中郷土の森公園」に、この蓮を見に、ミニドライブをした。
 府中市は、かつて3人の子育てをしたところで、土地勘は十分。金持ち市なので、大きな駐車場も無料。

 ここの池には37種の蓮が植えられていて、大賀蓮はややマイナーになっている。お目当ては、「妙連」だったのだが、これは空振りだった。






 『近江妙連は,花びらの先が赤くなる通常のハス<常蓮>が八重化し,1本の茎に,花びらの数2,000~5,000枚,花の数2~12もの花が咲く特殊なハスです。
 インドを源とするハスの突然変異種で,600年以上も前(1406年,近江妙連が室町幕府3代将軍・足利義満公に献上されたという故事)から,滋賀県の田中家代々によって受け継がれて来ました。明治時代以降,68年間開花しない時期もありましたが,世界的に有名なハス博士・故大賀一郎氏によって蘇り,今日に至っています。
 また,常蓮は開花を繰り返し4日で散るのに対し,この妙連は一旦開花すると閉じることはなく,外側の花弁を少しづつ散らしながら20日近く咲いています。』Wikipediaより

 付近には、野球場がいくつもあり、少年野球の声と音が盛んに聞こえた。帰り際の多摩川遊歩道の散歩も、ベンチがそこここにあり、年寄り向きなところでもある。



八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(20年前と今)コガラの巣作り 

2021年05月26日 07時45分40秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(20年前と今)       2021.5.26
小満(5月21日から6月5日ころまで)

コガラの巣作り(H21)

 この日は、本当に驚いた。到着してベランダに出ると、チーチーと鳴き声がする。見回してもなにも居ない。それは、ベランダの隅に昨年取り付けた巣箱の中からだった。コガラのヒナがかえっているようだ。




 まさか、眼と鼻の先でおきようとは思わなかったが、どうせならと、巣箱を軒先に取り付けたのだが、やはり、不在の時が長かったからなのだろう。親鳥としても、住人が突然現れても、子供を連れてお引っ越しするわけにもゆくまい。今回は、ベランダの西半分には近づかないようにしよう。

 しかし、写真を撮るのは一苦労だ。コガラは特にすばしっこい。庭に出てみると、親鳥の餌の運び方にはパターンがある。一旦 地デジのアンテナにとまり、辺りを確認してから向きを定めて巣箱に飛び込む。これならデジカメでも映せそうだ。
次の来訪時、親子の姿はすでに無かった。

 あれから12年が経過した。最近は、コガラの姿は見られなくなった。代わりに庭に常駐するのは、ジョウビタキだ。しかし、この小鳥は、地面の放浪が主で、庭の低い木にしか止まらない。巣作りは期待できそうもない。
八ヶ岳南麓の20年間は、住人の顔ぶれが随分と変ったが、それ以上に野生動物の住人が代わってしまった。もう、走り回るリスの姿を見ることはない。
 
 先日、庭の片隅の折れて落ちた枯れ枝の中に、変わったものがあった。なんと、それは牡鹿の忘れ物だった。



こんな忘れ物ならば、大歓迎なのだが、代わりに黒い玉ころも沢山おいてゆく。


蚕起食桑(小満の初候で、5月21日から25日まで)テントウムシの幼虫

2021年05月25日 08時03分51秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候(20年前と今)   

蚕起食桑(小満の初候で、5月21日から25日まで) 蚕が桑を盛んに食べ始める

テントウムシの幼虫(H21)

 八ヶ岳南麓には、東京ではあまり見かけなくなってしまったテントウムシとテントウムシダマシが沢山いる。春の盛りの大発生の時には、ベランダに干した布団に十数匹が群がることもある。ある年には、陽当たりの良いベランダの机の裏で、集団で冬眠をしていた。テントウムシの冬眠を見つけるのは難しい。
この幼虫の成長は早い。毎日、形が変わって、だんだん丸くなってゆく。長い時には何の幼虫か分からないが、丸くなるといかにもテントウムシだ。




 一方で、烏山の庭には湿った所があり、蚊の発生に悩まされている。テントウムシの親を数匹も持ち帰り、何回か庭に放った。翌年には、期待通りにこの幼虫が庭に現れた。芋虫と違い,葉っぱを食べる気配はない。しかし、蚊の発生は余り減らなかったようだ。もう数年、気長に続けてみようと思う。星の数の多いものは、マダラテントウムシ亜科と云って、こいつは草食なので役には立たないのは分かっているのだが。

 このテントウムシの子孫は、その後順調に受け継がれている。毎年、垣根のブラックベリーの葉には、数十匹の幼虫がくっつく。それらは、毎日体の形が変わり、ある日突然、どこかに向かって飛び立ってゆく。

 ある年、庭の梅の木にカイガラムシが大発生した。幹も枝も黒い塊がびっしりついて、手で削り取っても追いつくものではなかった。しかし、その翌年に、この幼虫が大発生して、カイガラムシはそれ以降もう10年ほど発生していない。
 或る種が大発生すると、次の年には、その幼虫を捕食する種が大発生する。自然界の循環の定理通りのことが、目の前で起こるのを見るのは楽しい。  

八ヶ岳南麓の20年前と今「上空からの八ヶ岳」

2021年04月22日 07時20分02秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今
雷乃発声 遠くで雷の音がし始める(春分の末候で、3月31日から4月4日まで)
上空からの八ヶ岳(2007)


 羽田から呉工場へ向かう広島行きの飛行機は八ヶ岳の少し南を通過する。花の季節には高遠の桜が見事に眼下に見えたことを思い出す。春先の飛行は高い山の頂上だけに雪が残っており、上空から山々を見分けるのに都合がよい。夏山や、真っ白な冬に比べて、山の形も規模もはっきりと分かるので、天気が良ければ右側の窓際の座席は譲れない。 



 今日は空気が澄んでいる。一番手前が前の岳、そして 山脈が右に折れたところで頂上がとがっているのが北岳だろう。左は千丈で、真中は甲斐駒とそれに続く鋸山。八ヶ岳は少し霞んでいるが、はっきりと山の形を見ることができる。赤岳と阿弥陀に多くの雪が残っているようだ。高倍率の双眼鏡があれば、我が家が見えるかもしれない。

 ここを過ぎると、御岳と遠くの北アルプス、そして岐阜、京都の碁盤の町並みを連続して楽しむことができる。富士山を上空から眺めるには、左側に席を取らなければならないのだが、晴れた日には右側が私の指定席なのだ。
 そして、機体がMD90でエンジンがV2500なら申し分ない

2021年。
 MD90機は、JALが早々に売り飛ばしてしまったので、今はアフリカ辺りで飛んでいるのだろう。エンジンを機体後部胴に付けた機体はもう乗ることはないが、あの離着陸時のGの感覚は忘れられない。
 
 飛行中の雷雲は要注意だ。ある時、テキサスからシカゴへの途中で、巨大な雷雲に遭遇した。高度1万mよりも高くまで伸びている。地上での上昇気流はどれほどであろう。パイロットは大きく迂回をした。
 それにしても、今年の春は世田谷区でもやたら雷注意報が発令される。一体、大気はどうなっているのだろうか。それとも、センサーが代わった為だけなのだろうか。

八ヶ岳南麓の20年前と今 桜始開

2021年04月06日 13時55分40秒 | 八ヶ岳南麓と世田谷の24節季72候
八ヶ岳南麓の20年前と今
桜始開 桜の花が咲き始める(春分の次候で、3月26日から30日まで)
ねこやなぎ(2008)





 この季節、平地ではとっくに春なのだが、こちらは未だ木の芽が堅い。いつの間にやら、北側に猫柳が大きな枝を張っていた。お隣さんに大分はみ出ている。同じ木が諏訪大社の前宮の入り口にあった。それからすると とてつもない高さになってしまう。しかし、この芽はかわいい。切らずに様子を見てみよう。
 この芽は、ちょっと前までは このように普通の形をしているのだが、ある日突然に猫のしっぽになる。ネコヤナギの樹液はカブトムシやクワガタムシ、カナブン、スズメバチの好物である、とのことなので こちらも期待しよう。ただし、スズメバチは困る。やはり、様子を見ることにしよう。

2021.4.3 
13年後の今年は、全国的には桜の開花が異常に早かったが、ここ標高1130mの桜は、蕾の形すら現れていない。開花は、5月になる。
ネコヤナギは、順調でたっぷりと猫の尻尾を付けているようだが、それは屋根のはるか上で、形を確認できないほどに成長してしまった。



歳をとると、夏草むしりが難儀になる。そこで、昨年から通路にはブルーシートを置くことにしたが、これがなかなかに良い。今年は、思い切ってロングのシートを購入して、総ての通路に敷き詰めた。



 作業中に、一羽の小鳥が見物にやってきた。ここ八ヶ岳南麓の小鳥の数は、ここ20年間で4分の1くらいに減っている。しかも、人見知りをしない小鳥は珍しくなった。以前は、ヤマガラなどが手のひらの餌に拠ってきたが、そんな小鳥はいなくなったようだ。今日の訪問者は、最近よく見かけるが、庭作業中の訪問は初めてだ。低い小枝を渡りながら、時折地面に降りて、エサを探しているようだ。作業の手を休めて、思わず写真を撮った。
このような楽しみを、あと何年続けられるだろうか。