メタエンジニアの眼シリーズ(157)
TITLE: これからの優良企業
書籍名;『これからの優良企業』 [2001]
著者;安井孝之
発行所;PHPビジネス新書 発行日;2008.7.2
初回作成日;R2.1.22
このシリーズは企業の進化のプロセスを考える際に参考にした著作の紹介です。
『』内は,著書からの引用部分です。
副題は「エクセレント・カンパニーからグッド・カンパニーへ」で、その後有名になったこの言葉の違いを、具体的な代表例を挙げて丁寧に説明している。
「あとがき」には、次のようにある。
『この本の内容は、一記者が会社やそこで働く人の姿や考え方を見聞きし、そこから感じた思いをつ づったものだ。多くの研究者らの経営論や経営者論のような普遍性や学術性があるわけではない。筆者の思いこみや、勘違いをしている点が多々あるかもしれない、その場合はご容赦いただきたい。』(204)
表紙の裏に印刷された次の言葉は、後半にある。
『21世紀の会社はどちらを目指すべきなのか。
経営指標が優れ株価は高く、市場で評価されなければ、利益を追求するための法人である株式会社としての存在価値が薄れるのは当然のことである。エクセレント・カンパニーになることは、いわば会社として存在るための必要条件である。その上で、会社がグッド・カンパニーを目指すことは、株主にとどまらず、社員、消費者、地域住民など多くのステークホルダー(利害関係者)から信頼を受け、尊敬され
る存在に進化することを意味する。会社が目指す目標は「エクセレント」にとどまるのではなく「グッド」に上げるべきなのだ。それが21世紀の会社の存在意義である。』(pp.142)
このことについては、「社是・社訓」が重要なのだが、それが守れない場合が多々ある。例えば、
『ほとんどの会社には社是や社訓、企業理念といったものがある。いずれもなるほど立派だと思うものが多い。だが、社員が社是、社訓を意識するのは入社時の研修ぐらいで、その後は見たこともない、ということになりがちだ。 住友家の家訓には「浮利を追わず」というものがあったが住友銀行(現三井住友銀行)がバブル時に「浮利」に走りイトマン事件に関わったのはあまりに有名だ。
なぜ社是や社訓は守られないのか。企業理念を実現し、グッド・カンパニーになるにはどうすればよいのかを考えてみたい。』(162)
住友の例と反対に、グッド・カンパニーの代表例は「リッツ・」カールトン」だった。
『ドアボーイら5人が集まっていた。「ラインナップ」と呼ばれる就業前の会議である。毎日15分程度、全世界66の同ホテルチェーンで同じテーマで「ラインナップ」が開かれる。
ゴールド・スタンダードは経営理念や客へのサービスの眼目を示したもので、16項目ある。そのうち12項目は「サービスバリューズ(サービスの価値)」。少し長いが紹介する。』(163)として、12項目が並べられている。いずれの文章も「私は、・・・します。」となっている。
つまり、「社是・社訓」をより具体化して、日常常に心に留め置かないといけないことを、繰り返し唱えることとしている。しかし、このことは日本企業の多くの現場で行われている。では、そこでの違いは何であろうか。
そこには、「なぜ」を理解しているかどうか、だと思われる。何故を理解せずに、ただ標語を唱えていては、何も良くならない。社是・社訓と標語の間が、Whyで繋がっているかどうかの違いがあるのではないだろうか。
トヨタの社長が、常に背広のポケットに入れて持ち歩いていると云われる「豊田綱領」が示されている。
『一、 上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
一 、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
一、 華美を戒め、質実剛健たるべし。
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。』(168)
なんと、具体的なことであろうか。
TITLE: これからの優良企業
書籍名;『これからの優良企業』 [2001]
著者;安井孝之
発行所;PHPビジネス新書 発行日;2008.7.2
初回作成日;R2.1.22
このシリーズは企業の進化のプロセスを考える際に参考にした著作の紹介です。
『』内は,著書からの引用部分です。
副題は「エクセレント・カンパニーからグッド・カンパニーへ」で、その後有名になったこの言葉の違いを、具体的な代表例を挙げて丁寧に説明している。
「あとがき」には、次のようにある。
『この本の内容は、一記者が会社やそこで働く人の姿や考え方を見聞きし、そこから感じた思いをつ づったものだ。多くの研究者らの経営論や経営者論のような普遍性や学術性があるわけではない。筆者の思いこみや、勘違いをしている点が多々あるかもしれない、その場合はご容赦いただきたい。』(204)
表紙の裏に印刷された次の言葉は、後半にある。
『21世紀の会社はどちらを目指すべきなのか。
経営指標が優れ株価は高く、市場で評価されなければ、利益を追求するための法人である株式会社としての存在価値が薄れるのは当然のことである。エクセレント・カンパニーになることは、いわば会社として存在るための必要条件である。その上で、会社がグッド・カンパニーを目指すことは、株主にとどまらず、社員、消費者、地域住民など多くのステークホルダー(利害関係者)から信頼を受け、尊敬され
る存在に進化することを意味する。会社が目指す目標は「エクセレント」にとどまるのではなく「グッド」に上げるべきなのだ。それが21世紀の会社の存在意義である。』(pp.142)
このことについては、「社是・社訓」が重要なのだが、それが守れない場合が多々ある。例えば、
『ほとんどの会社には社是や社訓、企業理念といったものがある。いずれもなるほど立派だと思うものが多い。だが、社員が社是、社訓を意識するのは入社時の研修ぐらいで、その後は見たこともない、ということになりがちだ。 住友家の家訓には「浮利を追わず」というものがあったが住友銀行(現三井住友銀行)がバブル時に「浮利」に走りイトマン事件に関わったのはあまりに有名だ。
なぜ社是や社訓は守られないのか。企業理念を実現し、グッド・カンパニーになるにはどうすればよいのかを考えてみたい。』(162)
住友の例と反対に、グッド・カンパニーの代表例は「リッツ・」カールトン」だった。
『ドアボーイら5人が集まっていた。「ラインナップ」と呼ばれる就業前の会議である。毎日15分程度、全世界66の同ホテルチェーンで同じテーマで「ラインナップ」が開かれる。
ゴールド・スタンダードは経営理念や客へのサービスの眼目を示したもので、16項目ある。そのうち12項目は「サービスバリューズ(サービスの価値)」。少し長いが紹介する。』(163)として、12項目が並べられている。いずれの文章も「私は、・・・します。」となっている。
つまり、「社是・社訓」をより具体化して、日常常に心に留め置かないといけないことを、繰り返し唱えることとしている。しかし、このことは日本企業の多くの現場で行われている。では、そこでの違いは何であろうか。
そこには、「なぜ」を理解しているかどうか、だと思われる。何故を理解せずに、ただ標語を唱えていては、何も良くならない。社是・社訓と標語の間が、Whyで繋がっているかどうかの違いがあるのではないだろうか。
トヨタの社長が、常に背広のポケットに入れて持ち歩いていると云われる「豊田綱領」が示されている。
『一、 上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
一 、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
一、 華美を戒め、質実剛健たるべし。
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。』(168)
なんと、具体的なことであろうか。