松岩寺伝道掲示板から 今月のことば(blog版)

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人は口の中に斧をもって生まれている

2018-05-02 | インポート

人は口の中に斧をもって生まれている。悪いことばを口にすれば、その斧で自分も他人もきりつけてしまう

(世間に生まれてより、口中に大斧有り。それを以て若し自他を斫れば、口中に悪語出ず)」(『正法念處経・巻一』)

(千田完治撮影)

ゴールデンウィークというのは、映画関係者の業界用語たったそうな。つまり、休日が続いて、観客がいっきょにふえる週間だから、そう名づけたという。でも、この映画の封切りは盆暮れだったのではないか。「男はつらいよ」シリーズです。
ふうてんの寅さんがおいちゃんやタコ社長に意見された時、たまらなくなって口にする、捨てせりふがあります。
「それを言っちゃあ、おしまいよ」
 言ったら、おしまいになるほど重大な「それ」とは何か。たとえば、おいちゃんが不用意に口にした、「ほんとうはみんな、お前に迷惑しているんだ」、なんていうせりふです。
 寅さんのまわりにいるおおかたの人が心の奥底にしまってあった真実を、言葉にしてしまった瞬間、傷ついた寅さんは柴又からふらりと出て行きます。言葉にだしてしまったほうも、「あんなことまで言わなくても」と後悔する場面です。そんなシーンを予想していたかのような文言が、仏教経典にあります。
「人は口の中に斧をもって生まれている。悪いことばを口にすれば、その斧で自分も他人もきりつけてしまう(世間に生まれてより、口中に大斧有り。それを以て若し自他を斫れば、口中に悪語出ず)」(『正法念處経・巻一』)
 寅さんの例でいえば、「ほんとうはみんな、お前に迷惑しているんだ」というのは悪口です。でも、真実です。真実が人を傷つけるならば、お世辞やウソでその場をごまかせばよいのでしょうか。口にしてはいけない四つの言葉を定義している、経典がありました。
「口には四つの悪行がある。一つはウソ、二つは二枚舌、三つは悪口、四つはおせいじ(謂口四悪行、一者妄語,二者両舌,三者悪口,四者綺語}」(『長阿含経・巻八』)
 まことを言ったら角が立つ。お世辞や二枚舌で固めたら、ウソになる。とかくことばは難しいものです。

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