昼休み近所の神社まで散歩に行きました。左の茶色の木はメタセコイヤ,右の緑の木は黒松です。正面奥の紅葉している木はハゼの木です。低地のモミジは寒暖差がないためにあまりきれいに紅葉しません。鹿児島の低地で,一番早く紅葉し美しいのがハゼの木です。
薩摩藩は街道沿いにハゼの木を植えることを奨励しました。実からとれるロウ(蝋)を売って藩の財源にするためです。時代が変わり,照明に蝋燭が使われなくなると街道沿いのハゼの大木は切り倒されてしまいました。実の利用価値が無くなるとともに,ウルシ科独特のかぶれの原因となる木は邪魔になったのでしょう。
もともと山野に自生していた木ですから,今でも雑木林ではシイの木などに混じって生えています。10年ほど前,山間の畑の土手に生えているハゼの木の実を採取している夫婦を見かけました。今時,蝋燭に使うはずはないと思ったので「何に使うんですか」と尋ねたところ,「高級化粧品の材料になるんです」という答え。実に含まれるロウ(=ワックス)成分が高級口紅の材料になるんだそうです。その時,奥さんはかぶれないように顔全体をタオルで覆って,目だけしか見えない重装備でした。
男女の区別もつかない重装備の奥さんと「高級化粧品」のギャップがとても印象に残りました。
ハゼの木から蝋が採れるとは知りませんでした。
派手な消費世界と地味な生産世界が一対になっているんですね。