奄美大島で焼酎といえば,100%黒糖焼酎のことです。原料は黒砂糖。地元の人で芋焼酎を飲む人はいません。だから店でもほとんど売っていません。
地元で見かけたのは写真にある「小鶴黄麹」,「さつま島美人」のほか「黒伊佐錦」だけです。
「芋焼酎みたいに臭いのをよく飲めるな」と地元の人は思っているようです。でも,あの臭さが芋焼酎好きには魅力なのです。黒糖焼酎には芋焼酎ほどくせはありません。でも黒糖焼酎独特の香りがします。その香りになじめないのでこちらに住んでいても芋焼酎を飲んでいます。
黒砂糖は奄美の特産品です。奄美大島でもたくさん作られていると思っている人も多いようです。でも,奄美本島では平地が少ないのでサトウキビはそんなに穫れないのです。平地は島北部の笠利あたりくらいにあるだけで島のほとんどは森林となっています。
大島本島だけでは黒糖焼酎の原料となる黒砂糖は足りません。そこで,黒砂糖は沖縄から大量に移入して作られているのが実態です。原料のすべてを島内でまかなえるのは与論島,徳之島,沖永良部島,喜界島くらいではないでしょうか。
10数年前に黒糖焼酎の工場を見学させて貰ったことがあります。原料の黒砂糖は紙袋に入って工場に積み上げてありました。20㎏ほども入る大きな紙袋には「沖縄産」と表示してあったのです。できあがった焼酎は奄美産なのですが,原料が沖縄産だったと知り,少し衝撃を感じたことを覚えています。