武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

080. 桜 -Flor de cerejeira-

2018-12-10 | 独言(ひとりごと)

 毎年桜の時期に合せたかのように日本での個展があります。
 昨年は岡山で滞在したホテルの前の西川沿い図書館公園の枝垂桜が部屋の窓から眺めることができましたし、横浜でも運河沿いの桜並木を通って高島屋まで通いました。

 でも今年ほど日本の桜を満喫した年はいまだかつてなかった様にも思います。


01.
 宮崎空港ギャラリーでの個展が1ヶ月早い3月にあったこともあるし、その前に高校美術部OB展NACK展が40周年を迎えたのですが、それが1月下旬に展覧会があって、それに会わせての例年より随分早い1月中旬の帰国でした。

 40回NACK展も終えて宮崎に入ったのが2月初旬。あちこちの庭先では梅がまさしく満開でありました。高岡「月知梅」の花見に行ったのが2月21日。


02.「月知梅」の梅。
 個展が始まる前、霧島神宮の温泉地に向う途中、山之口あたりでの山桜もちらほら花を咲かせ始めていました。
 個展が始まってすぐの3月3日。堀切峠の山桜が見事に満開を迎えたのを義妹の運転するクルマで出掛けました。


03.「堀切峠」の山桜。
 宮崎空港ギャラリーでの個展が始まってからも、温かくなったり、異常に寒かったりでソメイヨシノはなかなか開花しなかったのです。
 自転車で空港までの間の公園や庭先にもたくさんソメイヨシノが植えられていますが、1分、2分咲きのまま、なかなか満開にはならなかった様です。
 宮崎空港横の特攻基地記念碑脇にも20本ほどの桜が植えられていまして、それを横目で見ながら自転車を漕いでいたのですが、やはりなかなか満開にはなりませんでした。それが個展の終盤に差し掛かる頃、あちらこちらで満開を迎えたのです。

 個展が終わった翌日の3月31日、友人の能面展が西都でありました。それを観に行ったのですが、そのついでに西都原古墳群の桜祭りに出掛けました。そこの桜と菜の花のコントラストも噂に違わず実に見事なものでした。女狭穂塚の前に特設された屋台の手打ちそばと草饅頭で桜祭りの雰囲気を堪能することもできました。


04.西都原。
 4月3日、今まで見たいと思っていた、宮崎神宮の流鏑馬(やぶさめ)にも出掛けました。流鏑馬会場にも桜がたくさん植えられているのは以前から知っていましたが、その時は既に満開は過ぎていて、花吹雪がそよ風に舞い散る様は息を呑む見事なものでした。


05.宮崎神宮の「流鏑馬」
 宮崎県立美術館前の公園の桜も満開を迎えていて、家族連れなどがお弁当を広げていたのをほほえましく眺めながら美術館の企画展を鑑賞しました。


06.「宮崎文化公園」
 宮崎駅裏、科学技術館横の公園では桜の下で焼肉パーティーの若者たちでぎっしり満員でありました。そこでは桜の花よりも焼肉の匂いが勝ち誇っていましたが、それも日本的で良いもんだと思いましたが、あのブルーシートは興ざめで、何とかならないものか?と思いました。せめて昔ながらのゴザ(畳表)を使うとか。芝生色のシートを売り出すとか…。

 大阪に向った飛行機から見下ろす大阪城公園の桜もランダムで見事でありました。
 大阪の実家の近くには今川という大和川からの支流が流れています。
 僕の子供の頃はメタンガスが噴出すドブ川でありましたが、最近は少し水も綺麗になっている様で、暇人たちが釣り糸を垂らしています。
 万葉の時代にはカイツブリが生息する美しい川だった様で万葉歌にも唄われている川なのです。
 その中洲は漆堤(うるしづつみ)という公園に整備されていて区民の憩いの場になっています。今、漆はありませんが、その代りたくさんの桜が植えられ現在では桜の名所になっている様です。
 殆どのソメイヨシノや枝垂桜は盛りを過ぎていましたが、2~3本のソメイヨシノは満開を少し過ぎたばかりで桜吹雪を惜しみなく散らして川面を桜色に染めていました。
 漆堤公園の一角には八重桜ばかりが植えられたところもあり、いろんな色の八重桜がどっぷり今が盛りと満開を迎えていました。


07.漆堤の「緑の八重桜」
 そしてニュースでは今日から造幣局の通り抜けが始まります。と流れていました。
 そんな中、ポルトガルへと戻る日になりました。
 関空へ向う車窓からも未だ名残桜がちらほらと咲いていたほどです。3ヶ月弱の日本滞在、本当にこれ程長い間桜を楽しんだ年はなかったと思います。


08.
 ポルトガルには桜はないのですが、1月下旬には桜にそっくりのアーモンドの花が楽しめますし、今年はもう過ぎてしまったのですが、ベイラ地方に行けば一面のサクランボの花を見ることができます。
 もう暫くすると街中を紫色に染めるジャカランダの季節がやってきます。そしてまさしく今、アレンテージョのお花畑が満開の時を迎えています。パソコンの前はこの位にして早く郊外へ出かけなければ…。
VIT

(この文は2010年5月号『ポルトガルの画帖』の中の『端布れキャンバスVITの独り言』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルの画帖』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)

 

 

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