愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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デジタル化社会と個人情報

2021-04-20 | 日記

作っても作らなくても良いと思っていたが、何かのたびに行政から催促されるのが鬱陶しい気がして、マイナポイントに釣られて作ってしまえとマイナンバーカード申し込んだ。やっとカードを受取ることになった折も折、ニュース番組で4月初めに衆議院で可決された「デジタル改革関連法案」の解説を聞く。「世界に引けをとらないデジタル化された国を目指す」との国のリーダーの言葉の後ろには、「相当の理由があれば、個人情報の目的外利用ができる」という ”聞き捨てに出来ない一文" が潜んでいたことを知った。

 「マイナンバーカードに健康保険を紐づけるか」と聞かれたが、いずれはそれも自動的に紐づけして保険利用状況(つまり健康状態・治療歴)までを本人の了解無く芋蔓式に調べられるようにしたいということか。しかも「相当の理由」による収集目的以外の個人情報利用は行政だけに限られないという。銀行・保険機関などの利用も可能になるのではないかと聞くと、銀行・保険会社が保険加入や資金融資に際して加入者・借入人の医療情報や財産状況などを調べることも可能ということになる。「相当の理由」が何に当たるのかは具体的に書かれておらず、「適宜判断し、変更できる」ということだ。

 連日「コロナ関連の同じような議論ばかり続けているマスコミ・報道機関」は、この問題を何故もっと大きな声で取り上げなかったのだろうかと感じる。自分自身の勉強不足・不注意と言えばそれまでだが、国民全体に関わる重要な情報を取上げて報じ世論形成に供するのが報道の役割では無かったか。政府・与党に「コロナ問題」を上手く隠れ蓑に使われてしまったのか? もしかして、マスコミもその誤魔化しに加担していたか?と疑いたくもなる。残された参議院での議論の重要性については、十分に報道して欲しいものだ。

 もし「入試手続き、入社手続きの簡素化・スピード化」が「相当の理由」となれば、入試も入社試験もマイナンバーと本人確認だけで済むようになるのかもしれない。就職や入試で「本籍を聞かない」「家族状況を聞かない」などの原則も、あっけらかんと破られたわけだ。男女差別を撤廃するために「履歴書に性別を書かせない」という議論があったが、「家族構成、住所、病歴、資産状況」という個人情報を本人の了解無く利用する法律が通るのなら、「履歴書で性別を問うか?」など既に何の議論の種にもならない。

 解説では、法案は「個人情報の利用可否に関する本人の決定権」を認めておらず、「個人情報を保護」という言葉すら法案に出て来ないという。人事採用などで「本籍、性別、身体的不具合(色覚異常など)」を問わない方向を目指して来たはずのこの社会だが、たしかに「もはや個人情報を本人に問う必要性が無い」システムの構築に向け「大きく前進?」しつつあるらしい。それを利用する側には、せめて「誰が、いつ」「どのような ”相当の理由" で」情報を利用したか(する予定か)を開示する義務を課して欲しいものだ。