愚ダメ記、真誤付き、思い津記

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太陽光発電の人工島

2020-11-06 | 日記

太陽光発電用人口島の画像があった。まだまだ小さな空き地程度の大きさで、被われる水面の大きさもそれほどではない。しかし、それを見ていて、以前に読んだある記事(というか、主張)を思い出した。「地球の表面の半分以上は海であり、その全てに太陽光発電を浮かべれば莫大な発電量になる」というもの。地球に優しい再生可能エネルギーの可能性をアピールする文章だった。

 「エコであり、クリーンだ」という意見も添えられていたように思う。それを読んだ直後、自分は「世界の海を太陽光発電で覆うなんて、エコどころかエコシステムの破壊だ」と呟いた。海洋生態系に大打撃を与えて地球に優しく無いし、「温暖化回避」どころか「再生不可能な大規模気象変動」を地球全体の気象に招くだろう。仮に海面全てを太陽光発電で被えば、水蒸気の供給と海面温度の低下で気象の大変動が起きるだろう。一歩進めて思い浮かべれば自明のこと、と。何故そのことにまで考えが及ばない?と正直思った。可能・不可能かはともかく、「海洋を被う」と思い浮かべる時、面積の広大さだけでなく、海と大気・地上との物質循環、海洋生態系・気象を動かす心臓であることをも思い浮かべて欲しい。「地球全体の生態系」、その想起無くして「地球に優しい」も「自然保護」も無いのだから。

 海面を被い太陽エネルギーを人が利用すれば、その下で生きている海の植物プランクトンの光合成を止めることになる。植物プランクトンが死に絶え、それを餌とする動物プランクトンも死に絶えることになる。当然、動物プランクトンを食べる魚も、それを食べる中型・大型の魚も死に絶えるだろう。海面のほとんどを被うことになれば、海洋生物はほぼ死に絶えてしまうのだ。それを見て「自然保護に叶った」と言うものは居ないだろう。表裏一体で予想できる破滅的影響を無視し(たとえ仮りの想定、宣伝文句だとしても)、「世界の海の全てを被いつくせば」などという想定が「環境保護」と結び付けられるとは、本当は環境に関心を持たない者の無責任な宣伝文句だと感じてしまう。

 もちろん、有明海や東京湾をかなり広く太陽光発電で被うような事をすれば、直ぐに異変が起きて中止せざるを得なくなるだろう。だから、先述の「主張」は「海での太陽光発電に目を向けさせるためのプロパガンダの宣伝文句に過ぎない「」という弁明も思い浮かぶ。その弁明を受け入れると同時に、「海面を被う太陽光発電を進める上での環境への影響を丁寧に検証すべき」という意見も同じくらいに強く発信して欲しいものである。気象現象を動かす原動力である太陽エネルギーの数%でも人が利用するならば、それだけで気象は攪乱されるのではないか?と。

 もし海面利用の太陽光発電が始まるなら、おそらく、波が静かで工事の簡単な浅い海から使われていくと思われる。最初に触れた「人工島」が浮かんでいたのも、サンゴ礁に囲まれたラグーンのように見えた。もし、それがある程度以上の大きさとなり一箇所に留まるなら、太陽を隠された海底のサンゴは死に、生態系は破壊されるだろう。実際、どのような配慮・検証が行われているか知らないので、すぐに非難するつもりは無いが、危惧・懸念は持たざるを得ない。

 これまで干潟や浅瀬の生物の住処を容赦なく奪い・破壊して来た過去を見せられて来たので、「生態系の保全を掲げた新たな環境破壊」が始まる予感に、どうしても過敏に反応してしまう。沖合で行うにしても、将来的に太陽光発電を大規模に行うならば、相応の面積の水の蒸発・植物プランクトンの生育・熱交換などの「場」を奪うという影響も理解しておかなければならない。