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ねがうこと、ゆだねること

水彩画家・大下藤次郎展

2014-06-24 | art
近代日本における水彩画のパイオニア、大下藤次郎(1870-1911)の
回顧展が千葉市美術館で開催されている。6/29まで。

千葉はちょっと遠いなぁと思ったんだけど、美術雑誌の「みづゑ」を
創刊した人ってことに惹かれる。そして何よりこのポスターを見て、
抽象性ももった水彩画っていいなぁって思った。



初期の頃はわりと、あちこち旅して有名な場所を具象的に描いていて、
そんなに興味がわかない。それが千葉・房総の旅で、自分で風景の美を
発見するようになり、独自の水彩画を見出しつつある。

それがオーストラリアへの旅行(1898)を半年行ってかなり、抽象性
が増してきて期待が高まる。


シドニー 明治31年(1989)


雲の観察 明治33年(1991)

ポスターの絵「水辺の風景」は制作年は不明だそうだけど、きっとこの
頃に違いないと思う。

『水彩画の栞』明治33年(1901)がベストセラーになり(25刷!)雑誌
『みづゑ』を明治37年(1905 )に創刊し、水彩画講座も盛んに行ったそ
うだ。(『みづゑ』の明治期のアーカイブスはこちら



ところが、念願のヨーロッパへ行って、特に印象派の影響を受けたんだ
と思うんだけど、油絵の対抗ではないかもしれないけど、油絵の様に水
彩で描くことに傾倒していく感じのあたりから、興味が薄れる。


湖水を望む 明治40年頃(1907頃)

1900頃~1905頃の短い期間の絵が好きだなぁということがわかる。



『みづゑ』は息子の大下正男 が昭和11年受け継ぐ。昭和18年には藤
本韶三と日本美術出版(のち美術出版社)を設立,社長に就任。戦後21年
『みづゑ』を復刊。「美術手帖」「美術批評」なども創刊した経営者
だとか。