遅くなりましたが、1月18日に行われた持続可能な国づくりの会・第1回定期学習会についてご報告します。
今回は講師に環境問題スペシャリストで元スウェーデン大使館環境保護オブザーバーとして活躍されている小澤徳太郎氏をお迎えし、
「日本のビジョンつくり ―GDP志向とHPI志向を超えて―
21世紀のモデル探し スウェーデンは21世紀のモデルたり得るだろうか」
というテーマに基づいた講演と自由討論が行われました。
日本は20世紀、欧米をモデルにひたすら経済成長を目指してきました。そうした経済の成長と発展は、20世紀のイデオロギーでした。21世紀に入ってすでに8年が経過しましたが、20世紀型イデオロギーでは今の現実問題(少子高齢化・環境問題)に対処することが難しくなっています。
今後、私たちはどうするべきでしょうか。どのような方向に進むべきなのでしょうか。21世紀の日本がモデルとすべき国は果たしてあるのでしょうか。あるとすれば、それはどんな国なのでしょうか。
「1人あたりのGDP ランキング」で1位のルクセンブルク、「HPI (幸福な惑星指数)ランキング」で上位のバヌアツ共和国、「GNH(国民総幸福)」を世界に提唱したブータン、そして「持続可能性ランキング」でトップのスウェーデン。
私たちの会は、環境政策に積極的で高福祉のシステムも運用し、国際競争で優位に立てるほどの経済力をバランスよく構築した「緑の福祉国家」を実践しているスウェーデンこそ、日本がこれからモデルにするべき国だと考えています。
すでに発展の恩恵を受けた私たち日本人は、皆が農業をし夕食に自分で鶏を絞めるといったバヌアツ共和国のような暮らしに戻ることは難しいと思われます。しかしながら、私たちが今の生活レベルを維持するためには、21世紀型の経済成長―資源とエネルギーの成長を抑えながらのGDP成長を達成せねばなりません。そのヒントがスウェーデンにはあると考えています。
よく質問をいただくことなのですが、当然、スウェーデン国内も課題を抱えてはいます。ですから、私たちはスウェーデンをすべて真似する必要はないわけです。概念・ルール・制度・技術などの合理性を徹底的に、かつ真剣に検証することによって、将来の日本の社会の方向性を見極めることに意義があると考えます。合理性がある、好ましいと判断した事例に関しては、その方向性に注目したいと思っています。
そのような観点で小澤先生に講演をしていただき、参加した会員の方は改めてスウェーデン・モデルについて確認することができたのではないでしょうか(一般参加の方も、同じように思われたのではないでしょうか。現に3名の方が新たに会員になってくださいました)。
講演の後は自由討論の形式がとられ、さまざまな意見・思いが口にされました。
中でも、徳島県上勝町の笠松町長(当会の運営委員)は、リアルな地方の状態を語ってくださり、それをきっかけにして日本の農林業の問題点について意見が交わされました。
(詳しくは、連載中の上勝町視察記をご参照ください)
最後に参加者の方から、これからの日本に必要な理念・政策を話し合いによって検討し、構築していこうという積極的な意見が出されました。
スウェーデンの強みは、先頃まで長期政権を維持していた社会民主労働党の高い理念にあると思われます。また、民主主義の成熟した国民がその理念に合意し参加していくことにもあらわれています。今回の学習会は、この長年主権政党を担ってきた社会民主党の党綱領を読み込み、その理念を土台として、日本の進むべき方向を見出そうという合意のもとに終了しました。
参加者の皆さん、お疲れ様でした。次回の学習会にもぜひご参加ください。
講師プロフィール
小澤徳太郎(おざわ・とくたろう)氏
1973 年スウェーデン大使館に入館。科学技術部環境保護オブザーバーとして環境・エネルギー問題、労働環境問題を担当。95 年に独立し環境問題スペシャリストとして執筆、講演活動を続けるとともに、多くの大学の講師を務める。93 年「環境基本法案等に関する衆議院環境委員会中央公聴会」公述人。96 年「第11 回原子力政策円卓会議」招聘者。著書『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』『21 世紀も人間は動物である』他。
次回学習会はみずほコーポレート銀行顧問の藤井威さん(元・駐スウェーデン特命全権大使、元・内閣官房内政室長)を講師に、「スウェーデン型社会という解答(仮題)」というテーマで語っていただくこととなりました。
お申し込み:当会ホームページ受付フォームまで。
日時:3月15日(日)13時~17時
会場:横浜市スポーツ医学センター中研修室にて。
*詳しくはのちほどこのブログでお知らせします。ふるってご参加ください!
今回は講師に環境問題スペシャリストで元スウェーデン大使館環境保護オブザーバーとして活躍されている小澤徳太郎氏をお迎えし、
「日本のビジョンつくり ―GDP志向とHPI志向を超えて―
21世紀のモデル探し スウェーデンは21世紀のモデルたり得るだろうか」
というテーマに基づいた講演と自由討論が行われました。
日本は20世紀、欧米をモデルにひたすら経済成長を目指してきました。そうした経済の成長と発展は、20世紀のイデオロギーでした。21世紀に入ってすでに8年が経過しましたが、20世紀型イデオロギーでは今の現実問題(少子高齢化・環境問題)に対処することが難しくなっています。
今後、私たちはどうするべきでしょうか。どのような方向に進むべきなのでしょうか。21世紀の日本がモデルとすべき国は果たしてあるのでしょうか。あるとすれば、それはどんな国なのでしょうか。
「1人あたりのGDP ランキング」で1位のルクセンブルク、「HPI (幸福な惑星指数)ランキング」で上位のバヌアツ共和国、「GNH(国民総幸福)」を世界に提唱したブータン、そして「持続可能性ランキング」でトップのスウェーデン。
私たちの会は、環境政策に積極的で高福祉のシステムも運用し、国際競争で優位に立てるほどの経済力をバランスよく構築した「緑の福祉国家」を実践しているスウェーデンこそ、日本がこれからモデルにするべき国だと考えています。
すでに発展の恩恵を受けた私たち日本人は、皆が農業をし夕食に自分で鶏を絞めるといったバヌアツ共和国のような暮らしに戻ることは難しいと思われます。しかしながら、私たちが今の生活レベルを維持するためには、21世紀型の経済成長―資源とエネルギーの成長を抑えながらのGDP成長を達成せねばなりません。そのヒントがスウェーデンにはあると考えています。
よく質問をいただくことなのですが、当然、スウェーデン国内も課題を抱えてはいます。ですから、私たちはスウェーデンをすべて真似する必要はないわけです。概念・ルール・制度・技術などの合理性を徹底的に、かつ真剣に検証することによって、将来の日本の社会の方向性を見極めることに意義があると考えます。合理性がある、好ましいと判断した事例に関しては、その方向性に注目したいと思っています。
そのような観点で小澤先生に講演をしていただき、参加した会員の方は改めてスウェーデン・モデルについて確認することができたのではないでしょうか(一般参加の方も、同じように思われたのではないでしょうか。現に3名の方が新たに会員になってくださいました)。
講演の後は自由討論の形式がとられ、さまざまな意見・思いが口にされました。
中でも、徳島県上勝町の笠松町長(当会の運営委員)は、リアルな地方の状態を語ってくださり、それをきっかけにして日本の農林業の問題点について意見が交わされました。
(詳しくは、連載中の上勝町視察記をご参照ください)
最後に参加者の方から、これからの日本に必要な理念・政策を話し合いによって検討し、構築していこうという積極的な意見が出されました。
スウェーデンの強みは、先頃まで長期政権を維持していた社会民主労働党の高い理念にあると思われます。また、民主主義の成熟した国民がその理念に合意し参加していくことにもあらわれています。今回の学習会は、この長年主権政党を担ってきた社会民主党の党綱領を読み込み、その理念を土台として、日本の進むべき方向を見出そうという合意のもとに終了しました。
参加者の皆さん、お疲れ様でした。次回の学習会にもぜひご参加ください。
講師プロフィール
小澤徳太郎(おざわ・とくたろう)氏
1973 年スウェーデン大使館に入館。科学技術部環境保護オブザーバーとして環境・エネルギー問題、労働環境問題を担当。95 年に独立し環境問題スペシャリストとして執筆、講演活動を続けるとともに、多くの大学の講師を務める。93 年「環境基本法案等に関する衆議院環境委員会中央公聴会」公述人。96 年「第11 回原子力政策円卓会議」招聘者。著書『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』『21 世紀も人間は動物である』他。
次回学習会はみずほコーポレート銀行顧問の藤井威さん(元・駐スウェーデン特命全権大使、元・内閣官房内政室長)を講師に、「スウェーデン型社会という解答(仮題)」というテーマで語っていただくこととなりました。
お申し込み:当会ホームページ受付フォームまで。
日時:3月15日(日)13時~17時
会場:横浜市スポーツ医学センター中研修室にて。
*詳しくはのちほどこのブログでお知らせします。ふるってご参加ください!
その後、スウェーデン社会民主党党綱領を再読しましたが、理念が提示された後、近未来の好ましい姿がビジョンとして描かれ、そのビジョンを実現するために取組むべき戦略課題が明確に表現されていることにあらためて感銘しました。だからこそスウェーデン国民が社会民主党を支持し、スウェーデンの国づくりが成功したのだと、得心がいきました。
報告が遅くなりましたが、このように言っていただけると報告した甲斐があります。
それにしても、スウェーデン社会民主党党綱領は格調が高いですね。それでいて、とてもプラクティカルなところが、更に凄いです。
読書会など、開催できたら良いですね。
今後とも宜しくお願い申し上げます。