質問7:市民の意識の高さを生み出すものは何か。
世界に共通する環境問題、エネルギー問題、そのほかの経済・社会問題に対して、スウェーデンがほかの先進工業国とは一味違う先進性のある取り組みを展開するのは、私は人口の大小や経済規模の違いというよりむしろ、「国民の意識」と「民主主義の成熟度」の問題だと思います。
スウェーデンには古くから、民主主義を支え、健全に機能させるための制度が形づくられていました。たとえば、
①「情報公開制度」(240年前の1766年から)、
②行政、国会、マスメディアのチェック機能である「オンブズマン制度」 (196年前の1810年から)、
③投票率80%を超える「国会議員選挙や地方議員選挙」、
④省益をともなわない政治主導の「中央政府の行政組織」、
⑤世界で最も非中央集権的な「地方分権制度」(1974からの「課税権」と 「税率の決定」、79年からの「起債権」および93年からの「自治体の自由裁 量で使える一括交付金」の導入)、
⑥伝統的な「市民参加・男女共同参画」、
⑦開かれた民主主義に支えられた国会・地方議会を中心とする「合意形成システ ム・意思決定」
などです。
もう一つは教育です。スウェーデンでは、“いつでも、どこでも、誰でも、無料で”学べる社会ができています。安倍新首相が掲げている「再チャレンジできる社会」がすでに存在しているのです。
橘木俊詔・京都大学大学院経済学研究科教授の最新著「格差社会 何が問題なのか」(岩波新書 2006年9月20日発行)によれば、公的教育支出は、対GDP比で比較した場合、先進諸国19カ国の中で日本は18位(4.1%)で最低レベルだそうです。1位がデンマーク(8.4%)、2位スウェーデン(7.5%)、フランス(6.0%)、英国(5.0%)、米国(4.9%)・・・・・・・
橘木さんは次のように述べています。日本は、公教育への公共支出が異常に低い国です。にもかかわらず、現在さらなる支出削減が進行しています。こうなってくると、日本の教育それ自体が心配にさえなってきます。どこの国でも、次世代を担う優れた国民を育成するために、公的な教育支出はある程度のレベルを確保しています。しかし、日本の現状は、そうした世界の事情とはまったく逆の方向へ向かっているのです。
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