2009年4月18日コスタ・クラシカが日本の東京港へ初入港した。
わたしは、慌てて出立して向かう。どこから撮影しようか思案した。
ちょうどレンボーブリッジを通過するところの前から撮影開始。
今日は午後曇天、少し晴れ間。
マンションがどうも撮影に邪魔で綺麗に見えなくさせる。都会だからしかたないが。
慌てて、走って行き、シャッターを切るが、焦っていてなかなか綺麗に構図が決まらない。
ちょうど、橋の真下のコスタ・クラシカ。
白い船舶は、海に映えて綺麗である。形は端正。わたしは、以前、イタリアのベニスでこの船を見かけたので、久しぶりの再会である。
わたしが、充実感あった頃の見慣れた船。
就航年は1991年、改装年は2001年。約53000トン。幅は約31メートル。
イタリアは、ほんとうに見所が満載で、ヨーロッパに行って、非常に良かったと思う。バチカンに伺えて、感動し、そこから消印を押していただいて手紙を友人に出したことがある。
海は広く、世界に通じていると思うと浪漫が広がる。
撮影は完璧ではなく、素人であるが、時間的にもう少し余裕があれば良かったと反省した。
東京港は横浜港に比べて交通が不便で、華やかさにひとつ欠ける。しかし、静かで撮影するのには良い。
デザイン的に、美しい形をしているなあと思う。
この右下の写真で旋回するとは思っていなかったが、直に向きを変えた。旋回して、反対側に向き直る。(左の写真)
これから何回か東京港 へまた立ち寄るらしいから、珍しくないかも知れないが、わたしは懐かしい。
イタリアの町並みの保存の良さに感心し、わたしは国内旅行しかエッセイにしていないが、海外は、日本にはもうない、遙か麗しい古い町並みが残っていて、内心は世界の国々の人の自国の文化への高い関心度の違いを感じている。
わたしは日本人だから、日本の良さを認めたいが、それでも海外では日本とは違う、眼を見張る風景や建築物があって、自分の故国だけ愛しなさいという教育は、もはや今の日本人にはもう通じないだろう。
それだけ国際化したのである。一昔、わたしの父母の時代は、渡航は若い頃、自由ではなかった。日本は敗戦し、ほんとうに貧しく、独立も危うかった。
わたしは、ここから、晴海埠頭へ向かう。そこで、最初に見たのは勿論、船体ではあったが、わたしがこだわったのは、右翼ではないが、日の丸の旗だった。
ハンサムな男性らしき方が佇んでいたが、勿論、その方が目当てではなく、旗に注目したのである。彼は、外国人であり、偶然いらしたのである。
コスタ・クラシカが日本へ帰航したと言うことである。家族は旗を見ても何も感じないらしいが、わたしには国旗が掲げられることに、戦後生まれでも特別な思いを抱く。
GHQ占領下、日本の国旗が掲げられない時期があった。それは日本という国が今とは全然違う姿になるかも知れない、そんな不安定な時期だった。
今が良かったかどうかわからないが、独立国であることがありえたかどうか(今も蔭ではどうか知らないが)、全く推測もできない時代を経ていた。
愛国心は、いや、愛郷心は自分の国だけが良ければいいとは思わない。加藤周一氏には敬意はあるが、違う感覚も持っている。
自分も愛せる、だから人も愛したい、自分と同じく他人も同じように思ってあげようと言う気持ちが沸く。自分なんて、自分の国なんて、どうでもいいのです、そういう考え方は怖い。
「己の欲せざるところ、人に施すことなかれ」
という儒教の教えの通りである。
遠くに、レインボーブリッジが見える。
甲板はどうなっているか、展望台へ上って見る。どうも見えづらい展望台である。これが、全部綺麗なただのガラス張りならと思ったが、残念である。
上は、こんな風で、プールになっている。ちょっと写真では見えにくい。
ここでも旗を見てし まう。綺麗に、旗が翻っていないか、シャッターチャンスを待っていたが、なかなか来なかった。
なんどかシャッターを切った。
わたしたちの国が植民地になっていたら、昔の黒人の方々と同じように、今よりもっとひどい人種差別を受けただろう。時代は変わり、アメリカの大統領も白人ではない。人種差別は少しづつなくなりつつあるが、国境はなくならない。どこの国ではなく、地球という思案をみんなが持っているわけではない。
白人と言われる方でも素晴らしい方は大勢いるし、人種は本来関係ない。確かに白人の方で惚れ惚れするほど美しい方は多い。しかし、違うと言われる人種が悪いわけでもない。
ただ、海外へ出ると、菊の紋様のパスポートを握りしめ、初めて祖国とはどこか思い知らされることは経験がある。
どの国も良いところがあり、ステキであるが、やはり自分が多少気楽にいられるのは、生まれ育った場所だったりする。しかし、他国に馴染める方もいるし、日本より気に入る国があっても全く不思議ではない。
ただ、わたしは自分の国の言葉や文化に馴染みがあるせいか、日本にはやはり特別な気持ちを抱いて、離れる気持ちにはなれない。
ただ、世界は丸く、みんな海や陸でつながっていて、ものすごく長い年月を経て、いつか世界はみな同じ人間だと認識し、国境もなくなるかも知れないし、それでもいいのかも知れない。
だが、間違った道を行くと、戦争が広がり、人間は滅亡する。そうならないことを願いつつ、やはり国境があり、世界に憎しみや差別がなくならない限り、自分の国は大事に思わなくてはならないだろう。今回は、ちょっと自分の主観が入ってしまい、読みづらかったかも知れませんが、最後までおつきあいくださった方、ありがとうございます。