ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(89)『靴下に穴があく冬』

2022年05月13日 18時40分59秒 | 日記
冬、
ちいチャンが小さかった頃、家にはストーブがありませんでした。
囲炉裏に炭を焚き、暖をとっていました。
ちいチャンの家は、障子(しょうじ)や襖(ふすま)で部屋が仕切られています。
障子の隙間や襖の隙間から、冷たい空気が入って来ます。
ちいチャンは、おばあちゃんが作ってくれた「綿入れ」を着て、靴下を重ねて履きます。
囲炉裏の赤く燃える炭の近くに足を伸ばし暖めます。
足は、冷たく冷えていて、暖かさも冷たさも感じません。
それで、炭の側に足を近づけすぎて、靴下がチリチリ焼けているのにも気が付きません。
ちいチャンの靴下のほとんどは、親指のあたりが黒く焼けて穴があいています。
おばあちゃんは、メガネをかけて針を持ち、ちいチャンの靴下をつくろいます。
コメント
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