ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(103)『台所の天窓』

2022年05月22日 18時27分52秒 | 日記
ちいチャンの家の台所には、天窓がありました。
台所の天井は高く、三角形にとがっています。
三角形にとがった天井の斜めの所に、四角い天窓が付いています。
天窓は手の届く高さではなく、天窓から下へロープが下してあります。
そのロープは、台所の床の脇に、くるくると巻き込んで止めるようになっています。
おばあちゃんが、巻き込んであるロープを外すと、天窓は、ガラガラガラッと音をたてて、斜めにすべり落ち窓が開きます。
開いた天窓は、まっすぐに空を写し出します。
晴れた日は、青一色の天窓です。
そして、そこからこぼれ落ちる太陽の光を、台所の床に四角に映します。
ちいチャンが、四角に映った床の光を覗き込むと、ニョロっと、ちいチャンの影が映ります。
面白くて、四角い光の中へ、出たり入ったりしてみます。
そして、中指と親指でキツネを作って、影絵遊びをします。
両手で鷹を作ってみます。
両手で犬を作ってみます。
天窓からのライトと台所の床のスクリーンで、ちいチャンは、影絵師です。
夜、天窓が開いている時、ちいチャンは、台所の床にあおむけに寝ころびます。
見上げると、天窓の向こうには、キラキラとお星様が光っています。
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